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第1小隊と第2小隊


独立遊撃部隊輸送機コクピット


 「え・・・、マジ」

 軍の無線を聞いている上田が驚いた声を出した。

 「古川さん、ちょっと大変」

 上田は輸送機コクピット内のスピーカーに無線の音声を切り替えた。

 『・・・ダメだ。動かない』

 第1小隊田沼の声だった。

 『こっちも動きません』

 『自分もです』

 『動け!』

 『どうして動かない!』

 無線には混乱した声が飛び交っていた。

 『どうした?何があった』

 『第1小隊、機体の制御不能』

 『第2小隊も全機行動不能』

 『動いた・・・。いや勝手に動いている』

 『乗っ取られたのか』

 『第1小隊は基地の緩衝地帯に向かっています。外に出るようです』

 『機体を破壊できないか』

 『あの動きに追従できる通常兵器はありません』

 『第2小隊は?』

 『第2小隊は滑走路に向かっています』

 「遠藤!」

 古川の声と同時に遠藤は輸送機のエンジン出力を上げていた。

 「レーダーで確認。第2小隊の機体5機と、無人機10機がこちらに向かっています」

 上田が乗っ取られた機体の位置を確認した。

 「ここにNCBMがあるのがわかっているのか?」

 古川が誰になく言った。

 輸送機は滑走路に向けタキシングを始めていた。

 「どうせ混乱している。離陸許可は取らなくていい」

 「敵機体がこの輸送機に向かってるの。このまま出られる?」

 『大丈夫』

 『はい』

 『オッケーでーす』

 滑走路に出た輸送機は加速を始めた。

 「後部ゲートは離陸の邪魔になる。左右だけで頼む」

 遠藤は輸送機のゲートを開けて離陸するつもりだ。

 「左右ゲートオープン」

 ゲートが開く。

 「いいよ出て! もう敵機体が来てるから」

 『先にふたりが出て』

 輸送機は機首を上げた。

 梅原と市ノ瀬の機体が同時に飛び降りた。

 ゲートが開いていることによって不安定になった機体が大きく揺れる。

 さらに報瀬が降りた。

 「敵機体のライフルの射程に入ります」

 敵機体の撃ったライフルが輸送機をかすめた。

 滑走路に着地した3機のNCBMは、向かってくる敵機体に向けて一斉にライフルを撃った。

 アフターバーナーをかけた輸送機が空に上がる。

 「こっちは無事離陸したから、あとは任せたよ」

 上田が3人に声をかけた。



 「あたしはこのまま第1小隊に行くから。こっち頼むね」

 報瀬はもう一度敵機体に向けてライフルを撃つと、敵集団を大きく飛び越えていった。

 報瀬の銃撃を受けた無人機が足を飛ばされ、派手に滑走路を転がった。

 

 「どうしてまた第2小隊なのかな」

 梅原が敵集団の右に回り込みながらライフルを撃つ。

 「よっぽど恨みを持ってんじゃない」

 左から回り込んだ市ノ瀬もライフルを撃つ。無人機の集団が左右にばらけた。その中央に固まるように第2小隊の5機がある。

 「でもケルベロスに乗っ取られてるんだよ。パイロットの意思は関係ないでしょ」

 1機が梅原に向け、大きくジャンプしながらライフルを撃った。梅原はそれをかわし、敵機体が着地したタイミングで膝の装甲の隙間に向けライフルを撃ち足を破壊した。

 「神経乗っ取るくらいだから、パイロットの感情くらいわかるんじゃない」

 市ノ瀬は狙いをつけた無人機の足もとに滑り込むように入ると、そのまま後方に回り込み左手に持った刀剣で敵機体の腹部を突き刺した。

 「そんな設定、何かのアニメになかったっけ? 操縦者の怒りがパワーを生む、みたいな」

 梅原のライフルはさらにもう1機の足を吹き飛ばしていた。

 「ないよ、そんな設定」

 市ノ瀬の機体に無人機2機が同時に襲いかかった。気付いた梅原がジャンプし、空中でその1機に向けライフルを撃つ。梅原に気づき振り返ったところを市ノ瀬が刀剣を刺した。梅原も着地と同時にもう1機の腹部に刀剣を突き刺していた。





 「怒り・・・、か」

 報瀬は移動中に梅原と市ノ瀬の会話を聞いていた。

 機体を大きくジャンプさせる。すでに市街地に入っていた。破壊された建物が筋状に続く。

 その先に第1小隊の5機とそれを囲むように進む無人機が見えた。

 「こちら独立遊撃部隊0番機、フェイクワン。田沼中尉交信できますか」

 『田沼だ。来てくれたか』

 報瀬の接近に気付いた無人機が一斉に振り返った。

 「どんな状態です?」

 報瀬の着地と同時にライフルが撃たれた。すかさず回避すると、地面で銃弾がはじけた。

 『コクピットにいながら全く操作できないのは、情けないものだ』

 第1小隊の機体は、完全にケルベロスに乗っ取られているようだった。

 無人機の集団が報瀬に襲い掛かる。その中の1機に、報瀬は機体をぶつけるように寄せた。

 次の瞬間、報瀬は左手で持った刀剣を突き刺していた。

 すかさず別の無人機の背後に回り込む。報瀬の素早い動きに追いつけない敵機体は何もできないまま腹部を貫かれた。

 距離をとった1機の無人機が報瀬を撃つ。同時に残りの2機が刀剣を持って報瀬に飛びかかった。

 報瀬は銃撃を交わすためにジャンプすると、そのまま襲ってきた敵機体の腕を蹴飛ばした。刀剣が手を離れて飛んでいく。

 着地と同時にもう1機の刀剣が振り下ろされた。報瀬はその攻撃を自分の刀剣で跳ね飛ばし、敵の姿勢が崩れたところで腹部を突き刺した。そのまま刀剣を飛ばした無人機の足にライフルを撃つ。足を破壊された無人機が倒れる前に、報瀬は腹部を突き刺していた。

 最後の無人機が報瀬の背後からライフルを撃った。報瀬はわかっていたように軽く回避すると、振り向きざまにライフルで足を吹き飛ばした。さらに腹部を刀剣で刺し、完全に動きを止めた。

 なぜ、第1小隊の機体は襲ってこないのだろう・・・

 報瀬は疑問を感じていた。

 「田沼さん、ひょっとして何か企んでます?」

 報瀬が冗談ぽく言った。

 『そのようだな。迷惑をかける。いざとなれば機体を爆破してくれ』

 「そんなことしたら、うなされて眠れなくなっちゃいますよ」

 『動き出したぞ』

 第1小隊が動きを見せた。





 「ねえ、ねえ、第2小隊の機体が襲ってこないけど、なんで?」

 無人機に突き刺した刀剣を抜きながら市ノ瀬が聞いてきた。抜くと同時に還流液が吹き出す。

 「さぁ、僕たちが消耗するのを待ってるとか」

 梅原も無人機の腹部に刀剣を突き刺していた。

 「ああ、なんだか卑怯な作戦。ますます嫌いになった」

 市ノ瀬は動きを止めることなく、次の無人機に向かった。敵2機が同時に市ノ瀬を撃つ。

 「無線で聞いてみようか」

 刀剣を持った無人機が梅原に迫った。

 「また嫌味言われると嫌だからいいよ」

 銃撃をかわしながら飛び上がった市ノ瀬は無人機の頭部を蹴飛ばした。頭部が吹き飛び、火花が散った。

 梅原は振り下ろされた刀剣を体をひねりかわすと、そのまま背後に回り込み腹部に刀剣を突き刺した。すぐさま刀剣を抜き、市の瀬を襲う無人機に向かった。

 頭部を破壊され姿勢を崩した無人機に市ノ瀬が刀剣を突き刺す。背後の無人機が市ノ瀬の機体に至近距離でライフルの銃口を当てた。市ノ瀬は咄嗟に右手に持ったライフルをぶつけ、銃口の向きを逸らした。マズルフラッシュが光ると同時に、無人機は力なく倒れ込んだ。その腹部には梅原の刀剣が突き刺さっていた。

 『ケルベロスがあたしたちの動きを見てる。気をつけて』

 報瀬から二人に通信が入った。

 「そう言うことか」

 「うん」

 警戒する梅原と市ノ瀬に、第2小隊が動きを見せた。



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