53 ゲーマーの意気投合(中)
二人の会話が盛り上がっていたちょうどその時、コートではまた一人、千野柊斗の重砲のようなスマッシュによって選手がコートから吹き飛ばされていた。
「次!日向駆!」コーチの大きな怒声が響いてきた。
「うわっヤバい、俺の番かよ!」
日向駆はビクッと身を震わせると、慌ててベンチから飛び起き、ラケットを掴んでコートへ向かって走り出した。走りながらも振り返って柏木奏に叫ぶのを忘れなかった。
「柏木、ちょっと待っててくれ!この1球を乗り切ったら、戻ってあのポジショニングのバグについて詳しく話すからな!」
柏木奏は、まるで英雄のように死地に赴くような彼の後ろ姿を見て、珍しく親切心を起こした。
彼は少し声を張り上げ、天然パーマの後ろ姿に向かってゆっくりと声をかけた。
「この後サーブを打つ時、トスの高さを5センチ低くしてみて。あいつのバックハンドの一番端の死角を狙って、できるだけ角度をつけて打つんだ」
「え?何が5センチだって?」
日向駆はよく聞き取れなかったが、足を止める勇気もなく、頭にハテナマークを浮かべたままコートに足を踏み入れた。
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「ドパンッ!」
ネットの向こうからまたしても容赦のないベースラインからの痛烈なショットが打ち込まれた。日向の前の選手はボールの残像にさえ触れることができず、テニスボールはすでに後ろのフェンスに激しく叩きつけられていた。
その選手は息を切らしながらラケットを下ろし、まるで闘いに敗れた軍鶏のように、重い足取りで交代させられた。
日向駆のそばを通り過ぎる時、彼は力なく手を上げ、日向の肩をポンポンと叩き、同情と絶望に満ちた視線を残していった。
「兄弟、生きて帰れよ」
日向駆は、まるで魂を吸い取られたかのようなチームメイトの惨状を見て、思わず大きなため息をつきたくなった。
こんな非人道的な連続試合に、一方的に蹂躙し、無情にも彼らの意志をへし折る以外に、一体何の価値があるというのか?
千野柊斗の打ってくる球は、まるで小型爆弾のように暴力的であるだけでなく、落下点も極めて意地悪で、息をつく暇も反撃の隙も全く与えてくれない。
「日向駆!グズグズするな!行け!」コートの脇からコーチの怒声が飛んだ。
日向駆は頭皮が粟立つのを感じ、慌ててラケットを握りしめてベースラインへと走った。
真昼の太陽はすでに傾きかけていたが、コート上の熱気は依然として凄まじかった。
日向駆はサーブラインに立ち、顔を上げた。
ネットの向こう側にいる、青と白のジャージを着て白いキャップを被った長身のシルエットを見ただけで、日向の心は恐怖で震え上がりそうだった。
千野柊斗はただ無造作にそこに立っているだけで、構えすらしていないのに、全身から放たれるその息が詰まるような威圧感だけで、対戦相手はラケットを振る前に気力を三割削られてしまう。
「深呼吸だ……たった1球、さっさと終わらせてさっさと上がろう……」
日向駆は心の中で必死に自分を奮い立たせた。
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彼は習慣的にテニスボールを地面に2回バウンドさせ、一番得意とする高めにトスを上げるサーブの動作に入ろうとしたその時、脳裏に突然、先ほどコート脇で銀色のサイボーグのように着込んだあいつがゆっくりと言い放った言葉が前触れもなくよぎった。
(トスの高さを5センチ低くしてみて)
日向駆の動きが、妙にピタッと止まった。
5センチ低く?
なぜだ?
パワーを持ち味とするレギュラー選手として、彼のサーブは常に高いトスからの絶対的な滞空時間と強烈なインパクトを追求してきた。トスの高さを下げるということは、テイクバックのパワーとサーブのスピードを一部犠牲にすることを意味する。
千野柊斗のような異常な反応速度を持つ相手にそんなことをするのは、自ら死にに行くようなものだ。
「ええい、ダメ元だ!」
日向駆は歯を食いしばり、脳内で一瞬にして決断を下した。左手を振り上げ、黄緑色のテニスボールを宙に放る。
しかしボールが手から離れる瞬間、彼は意識的に力を抑えた。——高さはいつもの習慣よりも、間違いなく約5センチ低くなっていた。
その5センチの落差のせいで、日向の打球リズムは半テンポ早まることを余儀なくされた。完全に力を乗せきれず、手首がスナップし、ラケットはやや慌ただしくボールをカットするように捉えた。
「ポンッ!」
サーブの音は明らかに先ほどのような重みも力強さもなく、球速も目に見えて一段階遅かった。
日向駆は打ち終わった瞬間、すでに血の気が引いていた。
案の定、ネットの向こう側の千野柊斗は、ボールがネットを越えた瞬間にすでに動いていた!
その恐ろしい初速は、まるでボールの軌道をあらかじめ読んでいたかのようだった。
少年のすらりとした両脚が地面を強く蹴り上げると、その体は隕石よりも爆発力に満ちた残像と化し、一瞬にして絶好の打球位置に出現した!
「終わった、こんなのすぐにあのバケモンに打ち殺されるじゃねえか!」
日向駆は心の中で絶望的な悲鳴を上げ、テニスボールが顔面に直撃する覚悟すら決めていた。
しかし、次の瞬間――
「パァン!」
千野柊斗のラケットがボールと接触した瞬間に発せられた音は、あの心臓が縮み上がるような爆音ではなかった。
日向駆はカッと目を見開いた。
彼は気づいた。千野柊斗が打ち返してきたこのボール……なんと普段より遅いのだ!
球速が遅くなっただけでなく、日向が先ほどトスを5センチ下げたことで、ネットを越えた後のボールのバウンドの高さに微妙な変化が生じていたのだ。
千野柊斗が元々慣れ親しんでいた打点が崩されたのである。
リズムの狂ったこのボールに素早く対応するため、彼のスイングのフォームにほんのわずかな乱れが生じた。その結果、返球の威力が弱まっただけでなく、いつもならサイドラインぎりぎりを狙ってくる厄介なコースの角度が、なんと丸々50センチも甘くなっていたのだ!
この50センチの隙は、素人にとっては一瞬で消え去るものかもしれない。だが、長年悪魔のような特訓に耐えてきたレギュラー選手である日向駆にとっては、真っ暗な夜空に突然打ち上げられた信号弾のようなものだった!
「いける!」
日向駆のレギュラーとしての肉体の本能が、この瞬間「暴君」に対する恐怖を完全に打ち負かした。
彼は目を輝かせ、両脚の筋肉を爆発させて、すっかり「大人しく」なったボールに向かって猛ダッシュした。
いざラケットを振ろうとしたその瞬間、あのサングラスをかけた奴の声が、再び神の啓示のごとく彼の脳裏で炸裂した。
【あいつのバックハンドの一番端の死角を狙って、できるだけ角度をつけて打つんだ。】
日向駆はギリッと歯を食いしばり、脳が一瞬にして極度に研ぎ澄まされた無の境地に突入した。
彼は一番得意なフォアハンドの強力なスマッシュを選ばず、体を強引に横へ切り返し、何百回という練習で培われた最もえげつない角度へと、手首を思い切り捻り込んだ!
「パァン――ッ!」
テニスボールは空中でスリリングな、むしろ不気味とさえ言える対角線を描き、ネットの白帯をかすめるようにして、信じられないほどの鋭角で、千野柊斗のコート左側(バックハンド側)の最も端の死角へと一直線に突き刺さった!
これは単なるバックハンド狙いではない。ダブルスのサイドラインすら飛び出しそうなほどの極端な角度の限界ショットだ!
キャップのつばの陰で、千野柊斗の瞳孔が急激に収縮した。
彼は極めて素早く左側へスライディングしてボールを拾いに行き、足元のシューズがゴム製のコートと擦れて耳障りな甲高い音を立てた。しかし、先ほどリズムを崩されたことによるコンマ数秒の硬直が、結局は致命的な隙となってしまった。
「シュッ――!」
千野柊斗の長い腕が限界まで伸び、黒と赤のラケットが空中で残像を描いたが、フレームの縁でテニスボールのフェルトをわずかに掠めただけだった。
テニスボールは強烈なスピンをかけられたまま、インの白線上に重々しく叩きつけられ、そのままコート外へと弾んで、金網の端まで転がっていった。
「……」
一秒。
二秒。
この瞬間、テニスコート全体が、まるで誰かにミュートボタンを押されたかのように静まり返った。
ベンチでぐったりと息を切らしていたチームメイトたちは皆、水を飲んだり汗を拭いたりする動作のまま固まり、まるで幽霊でも見たかのように口をぽかんと開けていた。コート脇に立っている鬼コーチでさえ、手に掲げたタクティクスボードを空中でピタリと止めていた。
誰かが……この過酷な連続試合の中で、正々堂々と、あの魔王から、1ポイントをもぎ取っただと?!




