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3話 陛下

ゆっくり、ゆっくりと扉を空け、閉める


そうして、夜の闇に溶け込むように


抜き足、差し足、忍び足


気分は忍者、近くに誰もいないか確認しつつ進む


しかし、このお城とてつもなく広い


最初は逃げるつもりだったのだが、深夜テンション&初めての場所 という


シチュエーションが、夜の探検を始めさせていた


最初に思ったのが、何もかもがでかいだった


部屋、その扉、廊下、装飾品、肖像画


美術館の展覧会にでも来てるよだ


明かりはついていなかったが、夜の月明かりが、廊下を照らして、


とても明るかった


最初は少し背徳感を感じながら歩いていたが


次第に それも薄れ、今では堂々と廊下の真ん中を歩いている


「なかなか、いいな」


いや 最初は、こんなことせずに早く逃げたほうがいいんじゃない


と思っていたりもしたが、


今では完全に深夜テンション


もう誰も俺を止められねえ


そんなハイテンションでも歩いていると


「だれかいるのか!」


向こう側から、兵士の声がしたので とっさに隠れてしまった


ビビったー、でも 隠れる 必要なかっただろう


しかし、今頃出て行っても、怪しまれるだけ だし



そう思った瞬間


「こっちじゃ」


声がした、

そう反応するまもなく、強く手を引かれた


体が思いっきり引っ張られる、

「うぉ!!」


ばたん



扉が閉まり、さっきまで いた場所にはもうだれもいない


月明かりが何もない空間を照らしていた


「はぁ はぁ あの ありがとうございます」


緊張が一気に解けた反動で、息切れが激しい、肺を上下しながら必死に呼吸をする


「ほほ いいんじゃよ、暗闇を冒険する勇者様には助太刀が必要じゃろ?」


「はは、そんな たいそうなものじゃないですよ」


粋なジョークを飛ばしてくれる、おそらくおじいさん


こんな時間に部屋をであるく人間をかくまってくれるのだから


さぞ親切なのだろう


暗闇で覆われた部屋に目が慣れてくる


目に入るのは寝間着姿の老人


「んーーどこかでお会いしました?」


暗闇に目を細め、記憶の中に老人の姿が思い浮かばないか、考えるも、なかなか出てこない。


んーーー


「おっと申し遅れた、わしはジェール・アルケミナ この国の王を務めておる」


白一色、一瞬で自分の頭の中の思考が停止した


「へ  へいか!」


思わず大声で叫びそうになる、が周りの静けさと暗やみが、俺を冷静にさせてくれた


おれは慌てて膝をつく


「えっと えと こんな夜分遅くに あの えっと」


やばい、偉い人の前だと思考が回らない


なにより、この状況が意味不明すぎてどうしたらいいかわからない


「ほほ そうかしこまらずともよい 」


そういって、膝をついた俺の肩をポン とたたき 


「さぁ 顔をおあげなさい」


とささやいた、顔をあげその表情を見ると


穏やかさとわくわくのまじった、まるで客人を待っていた、子供のような表情だった」。


「ささ こっちへおいで、 我が王室、秘伝のミルクティーをいれてやろう」


窓辺のソファに案内される、月明かりが照らすテーブルとソファ、そのテーブルの上には、ティーセットがおかれていた。


あっ! この人、絶対優しい人だ!!


怒っていないことに安堵し、同時にいったい、こんな時どうすればいいかわからず


ただ言われるがままにしている。


席に着くと陛下はうきうきした表情でティーポットを手に取る


「ほほ こんな風に客人を招くのは初めてでの、年甲斐もなくワクワクしておる」


純粋で赤子のような笑みだった。


なんて、気持ちのいい人だろう、こっちまでニコニコしてしまう。


老人の笑顔につられて笑みがこぼれる、月明かりの照らすこの空間は不思議と


暖かさで満ちていた。


「ほーれ できたぞ、熱いからさまして飲むんじゃぞ」


さしだされる


さっきまで、おどおどしていたのに今は楽しい


この人の出す雰囲気がそうさせるのだろうか、自然と肩の力が抜ける


ミルクティーをとって口に運ぶ


ほっとする味だ


「おいしいです」


「ほほ、そうじゃろ、そうじゃろ」


陛下はこの後いろんなことを話してくれた


王様という立場の束縛とか


神官に対する小言とか


魔王や勇者のこととか


「ほほ、 おぬしはわしの若いころににておる」


「え!陛下の若いころめちゃくちゃきになります」

思わず本音が出てしまった、今のは流石に不敬だったか


と思い、陛下のお顔を除く


「ふむ いいじゃろう、せっかくのお客さんじゃ、」


とても、機嫌よく話し始めた


話が終わると、名残惜しそうに


「また いつでもおいで」


といって見送ってくれた

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