秘密
俺が目を覚ました頃にはもう、レインは出発した後だった。
天人族について話をしてみたかったんだか、まぁ、また来るからいいか。
「ご主人様、遊ぼう!」
モリオンが呼んでいる。
今日は何をして遊ぶつもりなのだろうか。
「庭でとびっこしない?」
とびっこか。
前に出来なかったから埋め合わせだ。
でも、本当に、そんな事をしてていいのだろうか?
あの夢のことが気になってしかたない。
「…どうしたの? ご主人様、考え事?」
モリオンは不安そうにしている。
「あ、いや、何でも…」
「ご主人様?」
怪しまれまくった。
俺は隠し事は苦手なのかもしれない。
「ご主人様、秘密、嫌だよ?」
うるうるした目で見つめてくる。
お前、男、だよな?
「お話、してよぅ」
言えというのか。
あんな事を信じてくれるのか?
「…また、神様みたいに内緒、なの?」
「分かった、言うから」
神様みたいに内緒。
その言葉で竜の話を思い出した。
モリオンは自称神様が俺に大事にしてくれと頼んだ。
内緒にするのは、騙しているようで嫌だ。
「ごめんね、ご主人様、無理やり聞き出そうとしたりして、言ってくれるの、待ってるべきだって分かってるのに」
なのに、泣きそうな声でモリオンが謝った。
庭に行くのは中止、部屋に戻る。
誰かに聞かれないようにエレナに誰も入れないようにと言っておいた。
……変な誤解は無いように言ったぞ?
「…何から話そうか」
全部、話すことにした。
これからのことを考えて、話した方がいいと思った。
ニートだったとは言わないけど。
「俺は生まれる前、別の世界で人間だったんだ。色々あって、死んだらモリオンの言う、神様っていうのに会って雇われた」
とんでもバイトだったが。
「世界を救えって、邪神を復活させてくれって……」
包み隠さず、全て説明した。
「それで、何で悩んでるの?」
普通悩むだろ。
あんなのが神で大丈夫か、とか。
「なんか、これからヤバいって言われた」
「あー、あの方ならありそう、ムダに不安を煽るの」
「モリオンは知ってるのか?」
「うん。何となくだけど、昔からの知り合いみたいな感じ。覚えてるけど、生まれてから一度も会ったことはないよ」
そういえばモリオンも前世の記憶、あるんだよな。そう思うと少し安心した。
もしかして、自称神様はこういう効果を狙って記憶を消さなかったのか?
考えすぎだな。
「でもヤバいってどんな状況だろう?」
「さぁ? でも強くなれって言ってた」
二人で首をひねる。
あの神は大事なことは言わない。
自分で考えろ方針だ。
「なら、ラドルフさんの所で鍛えよう。
だってさ、ご主人様、洞窟の魔物に手も足も出なかったんだよ? ヤバい状況っていうのが何か知らないけどあれぐらいの相手に苦戦しちゃ駄目だと思う」
それは思った。
魔王の娘が魔物に負けましたなんて笑えない。
「それと、また神様にあったらぼくに教えてね」
***
「鍛えたい?」
「うん」
庭で休んでいたラドルフに話しかけてみた。
勿論、猫かぶり状態で。
「嫌だ」
「駄目?」
アイリスもたじろがせたお願いのポーズだ。
案の定、ラドルフは撃沈。
「…わ、分かった、分かったから。だが魔法ならアンディの爺の所に…」
魔法も磨きたいがそれだけでは駄目だと初陣で学んだ。
何をするのも基礎的な体術がなっていなければ無駄、逃げるのも、戦うのも。
「体術を教えて下さい」
いつになく真面目な声にラドルフは少し気圧されながらも了承してくれた。
「だがな、やるからには真剣だ。何が何でも練習、させるからな」
とびっこしないの?
しません。
多分、この先もしないと思います。
次回予告
訓練したり、暖かく見守られたりする




