第三章第一話『カフェ①』
「それでねぇ、それでねぇ!! ねーちゃんと話聞いてるのイチカちゃん?」
「ちゃんと聞いてますよリンさん」
今日はギルドの休日。リンは王都の街に出て、美味しいケーキを食べに来ていた。
勿論一人ではない、ユダが遠征に行っていた時に知り合った友人。イチカも一緒だ。
本当はノアやリリといったギルドの友人とも遊びに行きたかったのだ、ノアは人見知りすぎて外に出れないし、リリも一応副隊長なので忙しく中々時間がない。
が
そんな感じで今までずっと一人で遊んでいたリンからしたら、イチカはかけがえのない大切な遊び友達だった。
今日はギルドの休日。リンは王都の街に出て、美味しいケーキを食べに来ていた。
勿論一人ではない、ユダが遠征に行っていた時に知り合った友人。イチカも一緒だ。
「もー! 聞いてるならもっとこう、前のめりになってよー! ユダがね、遠征から帰ってきたときに『ただいま、リン』って、すっごく優しい声で言ってくれたんだから!」
「はいはい。それで、リンさんは顔を真っ赤にしてフリーズしちゃったわけですね」
イチカは慣れた手つきでフォークを動かし、上品にショートケーキを口に運びながらクスリと笑った。彼女の落ち着いたトーンは、テンションが上がりっぱなしのリンと良い対比になっていて、見ていて微笑ましい。
「う、うるさいなぁ……! だって、あんな顔されたら誰だってびっくりするでしょ!?」
「それはどうでしょう。付き合ってもいない幼馴染にそこまで熱を上げられるのは、リンさんくらいだと思いますけど」
「つ、付き合ってないってば! もう、イチカちゃんまでノアたちみたいなこと言うんだから!」
リンはぷうっと頬を膨らませて、自分の分のチョコレートケーキにフォークを突き立てた。
王都の賑やかなカフェのテラス席。
温かい木漏れ日と、甘いお菓子の香りに包まれながら、二人の少女の笑い声が響く。
ギルドでの過酷な任務や、間近に迫る共和国への遠征の準備など、普段は張り詰めた世界に身を置いてるリンにとって、こうして歳の近い友人とおしゃれをして恋バナに花を咲かせる時間は、何よりも心を癒やしてくれる特別なものだった。
「でも、いいですね。そうやって誰かの無事を心から喜べたり、帰りを待てる人がいるっていうのは」
イチカがふと、窓の外の街行く人々を見つめながら、少し大人びた表情で呟いた。その横顔には、どこか寂しげな、けれど温かい光が宿っているのだった




