EP535:伊予の物語「痴嫉の骨(ちしつのほね)」 その1~伊予、責められる~
【あらすじ:やっと宮中に戻れることになったのはいいけど、公卿達との会合に忙しいのか、最後に会った日から十日間も時平さまに無視されっぱなし!
九頭龍川で誘拐された事件に関係ある証言もチラホラ飛び出すし、何か理由があるの?って信じたいけど、ただでさえヤキモキしてるのに、恋敵とイチャついてるのを見せつけるから疑心暗鬼で目の前が真っ暗!
私は今日も人生で何度目かの『最後の決断!』を突きつける!】
今回は一話ずつ毎日23:00~公開します!
よろしくお付き合いお願いいたしますっ!!
伴家から左大臣邸へ向かう牛車の中で、私と時平様は目も合わせず黙って座ったまま、牛車の振動にただ揺られていた。
兄さまは後簾越しに通り過ぎる景色を見つめ、私は車箱の床の木目を見つめたまま。
牛車の軋む音と砂利を踏む音だけが響く車内で、会話のないまましばらく過ごしているとキッ!と牛車が止まり、外から
「若殿っ!姫っ!つきましたよっ!」
竹丸ののんきな声がした。
「ん、よし、降りるっ!」
兄さまが独り言のように呟き、沓を履きサッサと後簾をおして飛び降りた。
私も草履をはいて後ろから降りようとすると、竹丸が榻(四脚の踏み台)を用意してくれ後簾を上げてくれたので
「ありがとっ!」
お礼を言いながら降りた。
ホントは牛を外して前から降りるのが正しいんだけど、兄さまがサッサと後ろから降りてしまったので私も焦って降りたって感じ。
兄さまはすでにどこかに行ってしまって姿が見えないので、私の荷物の葛籠を竹丸に運んでもらって、普段使わせてもらってる東北の対へ渡った。
冬の寒い間は、塗籠のない三方の格子と壁代を降ろして、出入り口は妻戸だけにしている。
竹丸に葛籠を無事、塗籠まで運び入れてもらったので、お礼を言ってお白湯とお菓子でも出そうと厨へ向かう。
妻戸から出ようとすると、白い狩衣の胸にぶつかった。
濃淡のある黒で龍の体と角とたてがみ、銀で輝く鱗、金でいかつい目が刺繍してある。
焚き染めた白檀の香の匂いがフワッと漂い、ゴワゴワした衣の感触の奥に胸の筋肉の硬い感触を思い出して、自然と鼓動が速くなった。
硬い、低い、不機嫌そうな声で
「竹丸、ご苦労だった。浄見と二人にしてくれないか。」
私が母屋の中に引き返すのとすれ違いに、竹丸が母屋から出ていきながら
「は~~い。あっ!でも若殿っ!これから参議さまたちとの会合があるんでしょっ?!」
兄さまはチッ!と舌打ちして
「わかってる。すぐに行くから馬を用意しておいてくれ。」
バタンッ!
竹丸が立ち去ると兄さまが中に入り後ろ手に扉を閉めた。
怒った表情で睨み付け、無言で近づいてくるので、後ずさりながら
「影男さんとのことでお説教?
でも兄さまにも責任はあるわっ!
そもそも影男さんを焚きつけたのは兄さまだしっ!」
几帳で囲ってある寝所まで追い詰められ、立ち止まると
グイッ!
私の腰に腕を回し、体が密着するぐらい強く引き寄せた。
腰を掴む指に意識が集中し、そこから痺れるような快感が這い上がる。
指の微かな動きに敏感に反応し、声を上げそうになる。
顔の近くにある胸から匂う体臭の混じった白檀の香りに、頭が真っ白になる。
湿った熱い吐息が途切れ途切れに頬に触れる。
耳に唇を寄せ
「影男の痕跡を調べる」
ボソッと囁く。
ワケが分からずパニックになって
「はぁっっ??!!!
何のことっ??!!
ど、どーーーーやってっっ??!!
し、調べるってゆーーのよっっ!!」
唾をとばし言いつのる。
ゴソッ!
兄さまがしゃがみ込んだと思ったら、膝立ちになり、袿、単、をかき分けて袴の腰紐に手をかけ、ほどこうとしてる。
慌ててやめさせようと、腰を後ろに引いて兄さまの手を掴み
「ちょっとっ!!何っっ??!!
どうするのっ??!!
何してるのっ??!!」
兄さまが膝立ちのまま私に近づき腰紐を掴んでグイッ!と引き寄せた。
もう一度ほどこうと結び目に指をかけ、ほどき始め
「だから、調べる。」
焦り散らかして
「はぁっ?!!
見るのっ??!!
見ればわかるのっ??!!
なぜっ??!!」
証拠が残るの??!!
どこにっっ?!
どんなふうにっっ??!!
ホントにっっ??!!
ホントなら知りたいっっ!!・・・・けどっっ!!
見られるのっ??!!
この昼間の明るい光の中でっっ??!!
恥ずっっ!!!
やっぱダメッ!!
焦って兄さまの手を掴むけど、すごい力で結び目を掴み、サッサとほどくので止められない。
「に、兄さまっっ!!
ね、まだ昼間よっ?!
こーゆーのは夜にしましょっ?!」
袴の腰紐をほどき終えた兄さまが、袴を掴んで強引に引きずり下ろした。
大丈夫っっ!!
だって下着の小袖が覆ってるので、まだ下腹部の大事な場所を見られてはいないっっ!!
小袖の裾を握って押し下げ大事な部分を隠し、見られないように腰を曲げる。
「チッ!」
舌打ちした兄さまがスクッ!と立ち上がった。
私の腰に腕を回してグイッ!と引き寄せる。
背が伸び下腹部が兄さまの腿に押し当てられる形になった。
「じゃこれで調べる」
呟きながら、小袖の裾をかき分け、指が敏感な部分に滑り込んだ。
冷たい指先が熱く潤んだ感じやすい部分に入り込む。
ゾクッ!とするほどの快感の痺れがそこから下腹部に広がった。
「・・・・っふっんんっっ!」
思わず鼻から抜けるような声が漏れる。
頭がクラクラした。
(その2へつづく)




