今なんて言ったの。他の事考えてた訳じゃないけど。
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リード様はじっとサードさんを見て考えこまれていたが、
「ところで、リーリエ。」
と、クノイチに呼びかけられた。
「はい。」
「キミは残務処理が終わったら、こちらに帰ってきたまえ。」
「了解いたしました。」
「え?彼女、いなくなるのですか?」
慌てるサードさん。
「そりゃそうだよ。リーリエはルルゥ姫の護衛だったんだ。後からは、彼女のやらかしを防いで他の娘さん達の警護をしていたがね。もう彼女もいないのだから。」
お茶を飲んでため息をつかれるリード様だ。
「そんな。」
「ふふふ。私はそれなりに優秀でしたからね。抜けたらお困りになるのはわかりますけどね。」
リーリエさんが艶やかに笑う。
「はい、正直に言いますと、かなりの打撃です。」
呆然として固まるサードさん。
「そりゃあねえ。何カ国も話せる、文字も書ける彼女がいないと困るよねえ。」
「はい。それに年配のスタッフとも上手くやってくれてましたし。」
「まあ、私はね。シンママで子供のために働いてるって隠してませんでしたからね。みんな同情してくれたんですよ。」
「え、そうなんですか。」
「それに、アンディ様の前で言うのもなんなんですけど。」
チラリとアンちゃんを見るリーリエさんだ。
「あのシンディに弄ばれた、と言ったら更に同情を買えましたよ。」
「 ! 」
アンちゃんの顔が見る見る強張る。
「……フフン。アイツの悪評がそんなに回っていたのか。」
「ええ、知り合いの娘さんがダマされたと言う人がいましたわ。」
リード様は目を見開く。
「シンディはハニトラ専門だろう?任務だったのではないか?」
「ええ、リード様。私には任務で近づきましたね。
だけどその他にも色々と。ねえ。」
あー、リーリエさんはシンディにまだ恨みがあるんだな。
でもなあ、アンちゃんに言うのはお門違いだぞ。
「まあな。アイツは息をするように女を口説いていましたからね。
で、ハニトラにひっかかったアンタが、今度はハニトラ用のクノイチになるんだからなア。
ふふん、世の中わからねえって言うか。適材適所だったって言うか。
アンタもお盛んだったじゃねえか。」
アンちゃんの顔にあの皮肉屋の笑みが浮かぶ。
うわあ。ギスギスしてる。
「とにかくサード君は仕事が大変になりそうだ。」
リード様がため息をついて二人の皮肉の応酬を断ち切る。
「リーリエと一緒に今すぐ戻るなら特別通路を使わせてあげるよ、どうだい?
何、荷物はあとから送ってもらいなよ。」
「あの、王族と忍びしか使えない奴ですか?」
アンちゃんが腕を組む。
「それよりも、キューちゃんに頼んであげるでござるよ。な、キューちゃん。二人をグランディに送ってくれるかな?」
キュー。
エドワード様の所にキューちゃんが現れた。
「パイセンが嫌ならオイラに乗るカイ?サードサン。」
「龍太郎君。今すぐ帰ることは確定なんだね。」
サードさんがため息をつく。
「リーリエ。」
「はい、リード様。」
「引き継ぎが終わったら、しばらくはこちらにいたまえ。次の任務が決まるまでは息子さんやミミ様と過ごすと良い。」
リーリエさんの目が見る見るうちに涙ぐむ。
「ありがとうございます!リード様!」
うむ。これでリーリエさんの心からの忠誠心もゲットだ。相変わらず人心掌握に長けてらっしゃる。
「さあ、すぐに戻りましょう!サード様。仕事が待っていますよ!」
サードさんの手を握るリーリエさん。そして潤む目で上目遣いで見つめる。
おや、赤くなってるぞ!サードさん!
「では、キューちゃん頼むね。」
キュー。
リード様の声で青い光に包まれる二人。
「え、待っ……」
あっという間に消えて行く。
「ネエ、サードサンって女性に免疫ナイノ?」
「貴族のお嬢様とは手を握ることもそんなにないですし。それに誰とも付き合った事ないはずだもの。
我が兄ながらチョロいですわね。」
そして真面目な顔をして続ける。
「ウチはね、父が交友関係に厳しかったから。
特に異性とはそうそう触れ合ってないのよ。」
サードさんもシスコンだったしな。それに公爵ともなればそう簡単に付き合えないんだろう。
「ウウン。フォークダンスとか無いのかア。」
「普通のダンスはあるわよ。だけど婚約者もいないし、ギラついた瞳のお嬢様達は苦手で避けていたようだわ。」
「リーリエが面白がってハニトラをかけなきゃ良いのでござるが。」
エドワード様が頭を覆う。
「大丈夫でしょ。メリイさんの前だが、あんなお坊ちゃんのお守りも飽き飽きしたと、言ってたみたいだよ。ヤマシロの話だとね。」
アンちゃんが薄く笑う。
「あの人は逆に男性をもう、憎んでいるように見えます。」
ヴィヴィアンナ様が静かに言った。
「え、そうなんですか?」
「ええ、レイカさん。だからこれからも男性を罠にかける任務は喜んでやると思いますよ。」
「ナンカ可哀想ダナ。男性不信に人間不信カナ。」
「ほほほ。でもねえ、龍太郎君。始末されるよりもいいと思うのよ。お子さまもいるし。義理とはいえ母親もいる。」
エリーフラワー様は言い切る。
そうだよね。命あっての物だねだ。
そこへ、ピーターさんがやってきた。
「我が君、リード様。レプトン様が戻って参られました。」
「レプトンくぅん?どうしたんだい?」
「え、アキ姫さまを送り届けましたから。他に御用があればと。」
うわあ。真面目。
「そうか!レプトンさんはリード様の側近でござるからな!任務が終わったら戻ってくるでごわすな!」
「おほほほ。現地解散と言ってあげないからですわよ!リード様。」
頭を抱えるリード様。
「どうしてそこでお茶とかに誘わないかな…」
「え、今日はメリイの付き添いにも来ておりますし!
お茶のお誘い?え?」
真面目だ。本当に真面目だよ。
「やはり兄君よりキミの方が気性がまっすぐで良い奴だな!」
「ええと、単純とは言われますけど。」
リード様に褒められて嬉しそうなレプトンさんだ!
「あれ?サード兄はどこへ?」
辺りを見回す。自分が褒められて嬉しいがサードさんに気まずいと思ったんだな。とことん良い人だ。
「もうグランディに帰ったのよ。」
「そうか!メリイ。お仕事大変だものね。」
安心したんだな。ほっとした表情をみせる。
散々帰るの渋ってたけどねえ。サードさん。
「こほん。ところで、アキ姫のことはどう思う?感じの良い御方だろう?」
リード様が切り出す。
「はい、そうですね。話していて楽しいです。大国のお姫さまなのに偉ぶったところがなくて。気さくで。」
レプトンさんの顔に優しい表情が浮かぶ。
「一緒にいると胸が温かくなったりしないかい?」
「はい。春の陽だまりのような御方です。」
リード様の誘導にも素直に乗ってくる。
「うん、ではね、はっきり言うけれど。
レプトン君、キミね。アキ姫さまとね、お付き合いしてみないか?
もちろん結婚を前提としてね。」
麗しき王子様はにっこりと微笑んでおっしゃった。
「あらあらあら!」
エリーフラワー様が面白そうな顔をする。
「まあまあまあ!」
メリイさんも口元に手をやって笑顔になる。
「――は、はあい?い、今何とおっしゃいました?」
目を丸くするレプトンさんだ!
きよし師匠や華丸さんみたいに目玉がデカくなって落っこちそうだよ!
オフコースのYES・NOからですね。タイトルネタ




