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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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夏色のお菓子に寄せて、海に連れて行ってよ。

「ねえ、レイカ。」

「なんですか?カレーヌ様。」

「先日、ヴィヴィアンナ様がいらしたそうじゃないの。呼んでくれれば良かったのに。」

頬を膨らませるカレーヌ様。

淡い金色のゆるくカールした髪が揺れる。


いつまでも少女っぽい仕草が似合う人だな。


 今日は子供達を連れてカレーヌ様のところに遊びに来ているのだ。彼女のお店のカフェコーナー。貸切である。

ランとアスカとビレイーヌちゃんは子供用のテーブルと椅子に座って、お絵描きをして遊んでいる。

美老人執事のペー爺や、カレーヌ様の部下の女の子達が交代で見てくれている。


「レイカ様。カレーヌ様と存分にご歓談下さいませ。お子様は見ておりますから。」

とのことだ。



昨日、

「カレーヌ様からのお手紙です。」

カレーヌ様のところで働く、ザック君の姉のカルラさんが手紙を届けてきた。


あー、すぐに返事を書けってことね。


中を見る。

「招待状。明日お茶をしにこない?お子様達と一緒に。楽しくおしゃべりしたいわ。」


なるほど。


「そうか、カレーヌ様も身重だし。どこにも出かけられなくてご退屈なのねエ。

レイカちゃん。是非行ってあげなさいよ。明日は何もないんでしょ。」


ヒョイと横からアンちゃんが手紙を覗きこむ。

相変わらずアンちゃんはカレーヌ様には激甘である。


「カルラさん、お使いご苦労様。レイカちゃんがお返事を書くまでお茶でも飲んで待っていなよ。ハンゾー、お茶をお出しして。」

「はっ。」

ハンゾー君を見て顔を染めるカルラさんだ。


カレーヌ様の目的はこれか。

アンちゃんにもちゃんと伝わっている。

少しずつ二人の触れ合いを増やして…お茶会の護衛はハンゾー君になるんだな。



その通りだった。


本日のお茶会。離れたところにハンゾー君は立って私達を見ている。

「ねえ、ハンゾーさんと言ったわよね?アンディの代わりの護衛ご苦労様。」

「はっ。」

カレーヌ様の声に頭を下げるハンゾー君。


「カルラ、新作のお菓子を持って来て。子供達にもね?レイカ、味の感想をお願い。

ハンゾー君、カルラと毒味をしてくれる?

何も無ければレイカやランちゃん達にも出してよ。」

「はい、かしこまりました。」


ヒナゲシの花のように可憐に微笑むカレーヌ様。

私や娘は毒味をされるような要人ではないし、今まで何十回とカレーヌ様のお菓子を食べているのに、今更ではある。


もちろん、カルラさんと毒味の名目でお茶をさせようという茶番である。

カルラさんも店のみんなもわかっている。多分ハンゾー君も。


カルラさんは嬉しそう、ハンゾー君は無表情だ。


「新作ってこのゼリーですか?」

「そうなの。」

「ああ、これは。琥珀糖ですね!」

「流石レイカ!わかるのね!前世の記憶?」

「ええ、懐かしいです。」


水分を飛ばした固めのゼリー。ザックリとした断面が宝石の様です。


子供達も歓声を上げている。

「きれえ。」


「本当、宝石みたいでしょ。上手く再現出来ているかしら。

サードさんの商会…まあ、ダンさんの手腕かもね。

コハク国から色んなものが入ってきたでしょ。

そしてコハク国の琥珀糖を知ったのよ。

粉寒天で作るんですってね?材料を手に入れてやってみたの。」


本当に。コハク国は前世日本人が作った国だから懐かしい食材が色々とある。


アレだけ苦労した昆布や鰹節だって、簡単に手に入るようになったのだ。


「お上手ですよ。この青い色のお菓子。グラデーションがついてて海みたいです。」

私の感想に、

「こっちはひまわりみたいな色ですよね。」

カルラさんも相槌を打つ。


「赤いのはスイカ色みたいですね。美味しいです。」

ハンゾー君が口に入れてにこやかに笑う。



「ねえ、お母さん。海ってなに?」

アスカがキョトンとした顔で聞いてきた。


あー、そうか。ウチの娘は海を見た事なかったか。

「ねえ、モルドール領には海があるんでしょ。」

「ええ、カレーヌ様。」


今度見せてあげるか。波打ち際で遊ばせれば危険はないだろう。

母も動員すればいざという時神獣様も呼べるし。


「私は身重でいけないけど…。ね、レイカ、ビレイーヌも連れて行ってくれる?」

「いいですよ。」


そしてカレーヌ様はニッコリと花の様に笑った。

「カルラ、私の代わりにビレイーヌの世話お願いね?

…アンディ、そこにいるんでしょ?宜しくね。」


「はっ。」


すっ、とカーテンの後ろから現れたアンちゃん。


「え、いたの!」

「ふふ、気になって影から見守っていたワよ。」


「気がつきませんでした!」

ハンゾー君も慌てる。


カルラさんとの触れ合いのため、ハンゾー君メインの護衛でアンちゃんは来ないのだと思っていたわ。


「カレーヌ様。私とハンゾーでちゃんと、子供達を見てますよ。

カルラさんはブルーウォーターから出たらマズイでしょう。

だから、ブルーウォーターの海にしませんか?」


あ、そうだった。アンちゃんは気が回るなあ。



ブルーウォーターこと、旧レッド領には海は無かったが、最近ネモさんの母上、アリサさんの故郷を吸収合併した。

そこには海があるのだ。


「そうですね、アンディ様。モルドール領の海よりそちらの方が穏やかですよ。」

ハンゾー君も同意した。


「久しぶりに海を見られるのは嬉しいです。ビレイーヌちゃんのお供をさせていただけて幸運ですわ。」

カルラさんの目が輝く。

「それは良かったですね。」

ハンゾー君の目が優しい。


そしてカレーヌ様にしてやったりの表情が浮かぶ。




…相変わらず二人の接点を増やしてあげるのに熱心だな。




「カレーヌ様は(ご自分の部下に)お優しいですね。」

「やだ、レイカったら。今頃わかったの!」


頬を赤いスイートピーの花の様に染めて、はにかむカレーヌ様だった。







「赤いスイートピー」からですね。

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