青衣(しょうえ)の麗人。
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さて私は今グラン湖のほとりに立っている。
七月の朝靄の中見え隠れする青い湖と神殿。
アンちゃんとショコラさん、ブラッキー君も一緒だ。
「ショコラが海竜様のお気に入りなのはわかっておりますけど、」
ブラッキー君が所在なさげにしている。
「なんで私まで?」
ふっ。
アンちゃんが笑う。
「オマエも気にいられてるみたいじゃん。」
「えええ。」
そうだよ。海竜・グラッシーはこの兄妹がお気に入りなのだ。
「そ、それにこちらのルビー鉱山のズリはわかりますが、こっちのもお喜びになるので?」
ブラッキー君の足元には二つの麻袋があって、ひとつはウチのモルドール領のルビー鉱山のズリ。
もうひとつには黒く光る玉が沢山入っている。
ウチの子供たちや若者が総出で作った泥団子である。
キラキラと黒光りしているよ。
鉱物しか食べないグラッシーへのお土産だ。
「うん。綺麗でしょ。泥団子。それに子供たちの無邪気なチカラが入ってるもん。」
神獣と言うものは子供や純真な心を持つものが好きなのだ。
「まア、忍びの嗜みとしてね?急拵えの武器の一環として泥団子作りは必須だワよ。」
アンちゃんがニヤリとする。
「今回はさ、俺はやめて綺麗な心の奴らにやってもらった。
オマエら兄妹も含めてな。海竜様のお口にあうようになア。」
そうなのだ。
先日龍太郎君が赤い光を放ってブルーウォーターに入る子供達を見極めた時、ケロリとしていたのは我が母や私で、シンゴ君やアンちゃん、ハンゾー君だって脂汗を出して苦しんでいた。
比較的元気だったのがショコラさん兄妹である。
まっすぐな心を持つものが耐えられるのだ。
(単純な人とも言う)
「だからヨーゼフさんやロランにも声を掛けたんですね、泥団子作り。」
「ああ。あの二人の気性のまっすぐさは折り紙付きだからな。海竜様ことグラッシーも喜ぶだろうよ。」
アンちゃんは薄く笑う。
ザババババン!
その時湖面が波打ちグラッシーが現れた。
「もう。さっきから声をかけてくれるのを待ってましたのにい。
レイカさんったら。いけずう。」
朝靄の中からにゅっとこちらに顔を伸ばしてくるグラッシー。
そのコバルトブルーの頭を撫ででやる。
「ごめんねえ。もう1人いらっしゃるの。みんな揃ってからと思っていたのよ。」
「もうひとり?あら、そこにいるのはレイカさんのご夫君と…キレイドコロのショコラさんじゃないの。
ワタシに会いに来てくれたんですねえ。嬉しおす。」
目を細めるグラッシー。
ブラッキー君をあえて無視していじってるなあ。
「おい!」
「ショコラさあん、お元気そうで何よりです。」
「こら!尊い海竜様!無視すんなよ!」
無視されたブラッキー君が怒っている。
「尊い海竜に随分と雑な口を聞くじゃないか。ブランブランさん。」
「ブラッキーだ!」
「ごめんごめん!ブラッシングさん!」
「何がブラッシングだ、きいっ!」
わあ。気にいられてるなあ。
グラッシーは目を細めて喜んでいる。
その時。
馬車がこちらに近づいてくる。
「ああ。王家の馬車だな。お出ましだ。」
きゃあ♡お待ちしてましたっ!
「おや、どなたさんですかい?」
グラッシーが目を見開く。
馬車は止まり、護衛兼御者のピーターさんがドアを開ける。
白い虎を護衛に従えて青い服の女性が降りてくる。
背を伸ばしこちらに歩みを進める麗人。
その時、朝靄が晴れて柔らかい日差しが彼女の姿を照らす。
どこまでも白い肌。輝く青い瞳。
その素晴らしいプロポーションをきわ出させる青いドレスは、美しい光沢に煌めく。
ああ。このドレスの色はグラッシーの色じゃないの!!!
合わせてらっしゃったのね!素敵い!
豊かなプラチナブロンドの髪はドレスと共布のリボンで綺麗にまとめられ、前に垂らされている。
私と目が合うとふんわりと微笑まれた。
ああ!貴女は青い薔薇の妖精ですか!
シャルムですかっ!
(それは明日○りおさんの卒業公演)
「きゃあっ!ヴィヴィアンナ様っ!!」
思わず私の口から出る悲鳴。
「レイカちゃん、落ち着いてっ。」
アンちゃんが私を抱き止める。
「こほん。海竜様。こちらはリード王子様のお妃、ヴィヴィアンナ様です。」
アンちゃんの紹介に
「尊き神獣グラッシー様。先日は夫のリードがお世話になりました。妻のヴィヴィアンナでございます。」
胸に手を置いて礼をなさるヴィヴィアンナ様。
そして胸元のペンダントをかかげ、
「ふふ。レイカさんとのお揃いのブルーダイヤのペンダント。
ありがとうございます。」
「そう!そうなの。ヴィヴィアンナ様っ。
私もお揃いのペンダント、つけてますわよ!」
胸から出して見せるわたくし。
「おおっ!これはワタシが作ったブルーダイヤ!
そして貴女様はあのブルートパーズの持ち主でやんすね!
あの宝石から感じた友情のオーラの清い波動を感じるったい!」
ぐいっと首をのばす首長竜。
「ああ…なんちゅうべっぴんさんや。こんな別嬪さん今まで見たことないわいなア。」
恍惚の表情を浮かべるグラッシー。
美人好きだからなあ。
「ふふふ。とかなんとかおっしゃって。」
「いやぁ、ホンマですわあ。」
聞いている私の心もフニフニと浮いてくるのだった。
青衣の女人は二月堂の伝説ですね。
こんなべっぴん見たことない
なんて歌もありましたね。フニフニではなくホニホニだったかな




