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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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331/356

若い僕らにゃ、明日があるさ。夢もある。

 怒涛のバーベキューは終わった。

もう夕方である。長い一日だったよ、盛りだくさんでおばちゃん、気疲れしちゃったよ。


「カルラさん、もういいわよ。帰宅して。明日もお仕事なんでしょ。片付けは私達がやっておくから。」

母が声をかけている。

やはりなんとなく疲れが顔に出てるよ、カルラさん。

彼女の場合は肉体的に疲れてるんじゃないか。


「そうだよ、カルラ姉ちゃん、帰ってゆっくりしなよ。」

ミルドルも真顔で労う。

「ホラ、お守り石、忘れないでね。」

加護がついた緑色の石(推定・翡翠)をカルラさんに手渡す。

「まあ、ありがとう、ミルドル君。…あら、ほんのり温かくて、なんだかチカラが湧いてくるような…。

今度ペンダントにするわね。」

「良かった。」


ザックはテーブルを片付けながら口元を片方上げる。

「ミルドル、幾ら歳上が好きだからってウチの姉ちゃんにまで色目を使うなよなあ?」


「ば、バーロ!俺をなんだと思ってるんだよ!」


慌てるミルドルである。

しかし、この世界で初めて聞いたわ、バーロー。

「真実はいつもひとつ。」

おっと、口から出ちゃった。

「レイカおばちゃん?何言ってるの?」

「…ミルドルはエメリンが好きなだけでしょ。」

わかってるんですよ、犯人は。じゃなくて、本命はね。

…って感じです。

「もう、やだな。からかわないでよ。」

汚れた皿を持ってミルドルは立ち去る。


あははははは。

ドギマギもドンやリッキー、ザックも大笑いである。


「さて、カルラさん。お送りしますよ。後の片付けは本当にロラン達に任せて。」

ハンゾー君がカルラさんに声をかける。


そうだ。

「二人なら、ミノちゃんの人力?車で送ってもらえばいいわ。」

きっと、ワクワクドキドキの体験になるだろう。

二人で揺られて吊り橋効果で仲が深まるかもね?

「えっ!」

カルラさんの目が丸くなる。

「いいわね!レイカ。」

母も諸手を挙げて賛成だ。

「なるほど、くくっ。」

シンゴ君も楽しそうです。


「レイカさん、それは!」

「ミノちゃあああん!カモーーン!

送って欲しいのーー!」

ハンゾー君が慌てて何か言ってきたが被せるようにミノちゃんを呼ぶ。


五分程経つと。


ドドドドド!

「レイカだん、おまだぜじまった!」

満面の笑みを浮かべてミノタウロスのミノちゃんが人力車を引いて現れた。

「おがえりでっか、おぐりまずよ。」


「ひええええ!伝説の生きものっ!」

悲鳴をあげるのはゾフィーさんにリサにアニー。

「わあ!ミノタウロスだっ!カッコいいっ!

握手してっ!」

喜ぶロラン。

「ハイ…ダス。」

ミノちゃんも戸惑いながらも満更でもないようだ。

ロラン。アンタ流石だね。

料理人より動物園やサーカス勤めがいいのでは。

このまっすぐな気性。

さぞかし動物にもUMAにも好かれるのではないか。


「ミノちゃん。今日はね、このお嬢さんをカレーヌ様のところに送ってほしいの。ハンゾーくんはね、お供なの。一緒にね?」

「オッゲーダス。おふだりさん、乗っデ。」

親指を立ててにこやかに笑うミノちゃんだ。


おっ、そうだ。

「ミノちゃん、ハチマキはどう?このフキンをね、こう巻いてっと。ヨーシ!男前だ!」

台所にあった長めのサラシのふきん。

(私が用意したもの。新品。)

本当に似合う。ねじりハチマキにハッピ着て♫の可愛い魚屋さん…ではなくねじりハチマキの粋な車屋さんだ。

「照れるダス。」


「カ、カルラさん、大丈夫ですか?確かに早く着けるでしょうが、怖くないですか?」

ハンゾーくんが眉間にシワを寄せながら、人力車に彼女を乗せようと手を伸ばす。

「…ええ。ハンゾーさんと一緒なら。」

彼女は花のように微笑んで、そっとハンゾー君に手を添えた。

「ハイ、では行くダス。ツカマッデネ?」


風のようにミノちゃん人力車は走りさった。



二人が走り去った後。


「…姉さんは、ハンゾーさんが好きなのかな。あの反応…」

ザック少年はいつまでもカルラさんが消えた方向を見ていた。


「ザック。」

ミルドル達は気まずそうに顔を合わせる。

「ザック君、ハンゾー君は悪い人じゃないよ。」

おっ、父がまたまた語り始めたよ。

ワインのグラスを掲げてのウインクだ。

(真澄様…!!ではなくて岡田真澄のようである。)


「ミルドルのおじいさま。そうなんですか?」

「ええ、そうね。セピア君みたいに女癖は悪くないし。」

あら、母よ。容赦ないな。


「ねえ、シンゴ兄ちゃん。ハンゾーさんには…今彼女はいないんでしょ?」

「ああ。…それは間違いないよ。ミルドル。

先日アンディ様がおっしゃってましたし。」

シンゴ君が苦笑する。

アンちゃんがまわりの人間関係を知らない訳がないからな。

「で、でも、二人きりで人力車に乗って帰るなんて。」

ザックは安心したような、でもやはり気にいらないような、複雑な表情を浮かべる。


どきっ。

ミノちゃん人力車は余計なお世話だったかしら。

よかれと思ったんだけど。

ちょっと揺れたらハンゾー君が、

「大丈夫ですか?カルラさん。」

といって身体を支え、

「はい♡」といってカルラさんが体重を預ける。

そういうラブラブな展開を予想していたんだけどな。



「…アイツは苦労人だよ。女性が嫌がることはしないさ。」

ヤマシロ君も言葉を添える。

「ヤマシロさんのおススメなら大丈夫だよ!」

「そうよ。」

ロランやアニーも頷く。


「そうか、そうだね。」

ザックがため息をついた。


「姉さんも前に進むんだな…」


背中を丸くするザック。


「じゃあ俺らも帰るよ。」

「ミルドルまたな。レイカさん、おばあさん、おじいさん、お世話になりました。」

「ええ、またいらっしゃい。」

「ありがとうございます。ロラン、また遊ぼうぜ。」

「そうだね、リッキー。また魚を一緒にとろうな。」

「さっき河原で歌ってた歌。すごく良かったわ!

また聞かせて下さいな。」

「うん、ジンとした。」

アニーとリサもドン達に声をかける。


「そうかい?嬉しいな。俺ら将来のスターだもんな!ラ・ラ・ララ♫」

ドンも満更では無さそうだ。声を張り上げて手を振る。


うむ。仲良きことは美しきかな。


終わり良ければ全て良し。だよね、きっと。


「あしたがあるさ」ですね。

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― 新着の感想 ―
まさかのかわいい魚屋さんでした・・・ お父様は、ファンファン大佐ばりのイケオジなんですね。 真澄様の二十年後くらいかな。 みんな、きちんとお礼を言って挨拶をして、良い子たちだ。
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