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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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327/359

人はそれを青春と呼びます。

 ミルドルの学校の友人達が来たら、みんなで川に行くことになっているのだ。彼等を待ちながら庭で準備をする子供達。

弾けるような笑い声が青い空にこだまする。


 私と母はお留守番で(シンゴ君とラーラさんもいる)、お昼ご飯の準備をする予定だ。

父とヒデジーニアスも奥にいるよ。


「おばあちゃん、レイカ叔母さん。川で魚を沢山取ってくるからね。バーベキューで一緒に焼こうよ。」

「坊ちゃん、私達も頑張りますよ。」

「私らも。」

ドギマギやロラン達も微笑む。


やはり同年代だ。仲良くなるのは早い。



カルラさんには中でゆっくりしてもらおう。

お茶を勧めた。

「カレーヌ様はお元気?」

「ええ。今度レイカさんのお子様のお誕生日ですから、お祝いのケーキを作るって張り切っておいでですわ。

飴細工も。」

「そうなの?嬉しいわ。」


六月二十日だ。もうすぐである。

ラーラさんの予定日でもあるし、ミネルヴァちゃんの誕生日でもあるのだ。


「猫ちゃんの飴細工を沢山作るのですって。アンディ様もお喜びになるでしょうし。」


あー、どこから食べるか悩むアンちゃんの顔が目に浮かぶよ。


……うん?何か外が騒がしいぞ。


「ザックの声もするみたい?」

様子を見に行くか。カルラさんも立ちあがった。


「え?、なんでだよ?なんでコイツがいるんだよ!」

ミルドルの声?怒っている?


庭には子供達が集まっている。ミルドルの友達が来たら、すぐに川辺に行こうとスタンバイしてたのは前述の通りだ。


「…ごめん、ミルドル。」

「なんかついて来ちゃった。」


ドンとリッキーが眉尻を下げている。

隣に立っているのは見事な金髪の美少女。

ケイトちゃんだ。

ミルドルのクラスメイトでケンカ友達の。

口を尖らせて怒り眉になっている。


「ザック、来たの?」

カルラさんが声をかける。

「姉さん。」

ザック君も困り顔だ。

「あ、あらあら。ケイトちゃん?」

「カルラさん!?」


そうか。この二人は顔馴染みか。

ケイトちゃんはカレーヌ様のところでバイトをしてたんだもの。しかもカレーヌ様には気にいられていた。



「ほらな?俺と姉さんが会うって言ってただろ?」

ぐったりした顔のザック。


「…だって!ほ、ほら!こんなに女の子が!みんなで集団デートのつもりだったんでしょっ!

勉学に励まなきゃいけないの、私達は!特に奨学金をもらったりしてる寮生はね?

ちゃらちゃらと不純異性交際はしちゃダメっ!

特に中等部の間はっ!」


ケイトちゃんは巻くしたてる。

おや、そんな校則あったのかしら?


「は、はいいい?デートお?」


目を丸くするマギーにアニーに、リサ。


「こっ、この人なんか、年上みたいだしっ?ミルドルは年上好きだしっ?」

ケイトちゃんはゾフィーさんを指さす。


「はああああっ?」

口をポカンと開けるゾフィーさん。


「……何を言ってるの?ケイトちゃん。」


「あっ、おばあさま。」

母が奥から出てきた。


そうか。母とも顔馴染みだったな。ケイトちゃんはモルドール領でも、バイトをしていたのだ。

そして、母も彼女を気に入っていた。

「良く働く良い子だもの。」

だ、そうだ。


「だ、だって!ドンもリッキーもここんとこ、ソワソワしちゃって!『今度の日曜日楽しみだな。』『天気が良いといいな。女の子もいるんだろ?』『ああ、ミルドルの所に集まるって。』『えええっ、いいじゃん、いいじゃん。』って!」


あら。それで乗り込んで来たわけか。


「あのね?ケイト。俺はキミに説明したよね?

ここでミルドルやドン達とバーベキューをする、それを手伝うと言うことにして、カレーヌ様が姉さんを寄越してくれたんだ。」


ザック君は静かに怒っている。


「そ!それは。だって。」


「そこにこちらの三人はおばあちゃんの所で働いているんだ。難癖つけるなよ。勝手に押しかけて何を言ってる。」

ミルドルがドギマギとゾフィーさんを指差す。


「…えっ?じゃ、この女性達はミルドルと…住んでるって事?」

ケイトちゃんの顔が真っ青になる。その視線の先はゾフィーさんだ。


「あのな、俺らが浮かれていたのもいけないかも知れないけどさ。ケイト、アンタには関係ないだろ。

俺らは楽しく川遊びとバーベキューをしたかったんだよ。久しぶりに、ミルドルのおばあちゃんにも会いたかったんだ。」


「あら。ドン君たら。」

母の顔がほころぶ。

「それに俺達だってマーズさんに見出された戦災孤児なんだ。

レイカさんところのお三人さんも、ハンゾーさんに孤児院から連れ出してもらったんだろう?話は聞いてるよ。

ちょっとだけ親近感を持ったんだよ。」


リッキーも言葉を添える。


「えっ、そうなの?」

ロラン君の顔がほころぶ。他の子達も緊張感が解けたみたいだ。ゾフィーの顔も優しくなる。



「…それに、わかってるだろ?ケイト。

ミルドルはエメリン先生に夢中だ。

他の誰にも興味を持ってないよ。

例え、一緒に住んでる侍女さん達がどんなに素敵でもね?」

「…ザック。」

ケイトちゃんが後退りをする。


「そして…クラスメイトの女子がどんなに美人でもね、眼中に無いのさ。」


ザック君の言葉は容赦なかった。



タイトルネタは中島みゆきさんの「糸」からですね。


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― 新着の感想 ―
ケイトの気持ちはわかるけど、悪い方向にばっかり考えて動いてしまってますね。 ザックが怒るっていうのは相当な気がします。 せっかくのお姉さんとの時間を邪魔されてるし。 大人からしたらそれこそ「青春」と呼…
うむ まだケイトは変われないままか 行動する度にミルドルからマイナス印象になってる まぁ言動がね 周りもそろそろ切れるよね
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