ナイショの話は、あのねのね。って事だね?
誤字報告ありがとうございました。
「じゃあ、ハンゾー。今猫カフェに納品に来ているカルラさんに、会っていけよ。
カレーヌ様をあちらで待ってると思うからな。」
ここは隠れ家レストラン。
普段は選ばれた人しか入れない。(アンちゃんの部下は警備やら手伝いをするからオッケーだよ。)
「は、はあ。」
「オマエにお礼を言いたいそうだぞ、色男。」
「別に良いんですけどね…」
ハンゾー君は頭を掻きながら猫カフェへ行った。
カレーヌ様がじっとその背中を見つめている。
「ねえ、アンディ。あのハンゾー君はどんな人なの。」
「…うーん。人柄は悪くないですよ。」
アンちゃんがつぶやく。
「そう。ウチの大事なカルラが、彼を気にいってるみたいだから。
ハンカチに刺繍を刺してね、コレを御礼に渡すんだと、頬を染めていたの。」
カレーヌ様の目は真剣だ。
ま、まあああっ。それって?
私とアンちゃんは顔を見合わせた。母とシンゴくんも微妙な顔になっている。
「…アイツには今、親しくしてる女性はおりません。」
アンちゃんは告げる。
そうね。それに今日はショコラさんは休みだ。
グランディでヨーゼフ君とデートらしいよ。
カレーヌ様。貴方やメリイさんが言っていた、親族に配られた特別券を使ってね。
昨日ハイド君が持ってきたの。
カレーヌ様はショコラさんとヨーゼフ君の恋を応援していたけれど、
―――まさかその裏でハンゾー君が失恋したとは思うまい。
「…後は…そのうちわかるでしょうから言いますが、メアリアンさんの遠い親戚です。あまり公には出来ませんけどね。
その…父方の。」
遠い親戚なあ。やはり異母兄妹とは言いにくいな。
「えっ!そうなの?…ああ、そう言うことか。楽師の方のね。」
カレーヌ様は後半部分をささやくように付け加えた。
このまま、カレーヌ様がハンゾー君に注目していればすぐに気がつくことだ。
あの二人が仲が良いのが。それを邪推する前に言っておくんだね。
「…メアリアンさんはアイツを気にかけています。
アイツもそうなんです。
お互いに口に出しては…血縁とは言わないですけど…」
奥歯にモノが挟まった言い方をするアンちゃんを見て、
カレーヌ様は真顔で頷く。
「だいたいのことはわかったわ。メアリアンさんが彼を嫌がって避けていないのなら、人柄や本質は悪くないってことよね。彼女は人のオーラが見えるんでしょう?」
「ええ。」
「なら、安心ね。」
カレーヌ様は花の様に笑った。そしてジュースを口にする。
「カルラもね、なかなか辛い目に遭ってきたでしょ。お互い前の夫に苦労したバツイチ同士。
私も気にかけているのよ。」
ああ、そうか。カルラさんは自分の兄やザック君以外の弟妹、そして夫に虐げられた。
それで死を偽装してここに来た。
彼女をもっとも苦しめた兄はもうこの世にはいない。
他の弟妹も安穏とは暮らせていない。夫もそうなんだろう。
苦労人同士上手くいくかも知れないな。
ザック君によく似たカルラさんの顔を思い浮かべた。
その薄い茶色の髪、透明感がある瞳はレモンティーの様な色だ。
「痩せ細っていたけれど、もうすっかり回復しているの。
それに男性恐怖症の所があってあまり外出していなかったけど、ここひと月ぐらい外に出たがるようになっていたのよ。その矢先にごろつきに絡まれて荷物を盗られそうになったわけ。」
カレーヌ様は今度は水のグラスに口をつけながら言う。
「ああ、そうだったんですか。」
頷くわたくし。
「ふうむ。ハンゾーはシンゴや俺みたいに人に警戒心を与えないし、セピアみたいにずうずうしく寄っていく女好きではありませんからね。」
アンちゃんはアゴに手をやって考えこむ。
「お義父さん、どう言う意味ですか。」
シンゴ君が苦笑する。
「俺もオマエも一目で影の者だとわかる見かけなのさ。
目つきも悪いしな。
ま、それはそれで良いんだ。威圧をかけることも俺らの仕事には大事だ。
だけどよ、ハンゾーは一見したら農夫か屋敷の下男かなって感じだ。それは潜伏する任務には最適だしな。」
「あー、ハイド君みたいな美形だと目立ってしまうわよねえ。」
カレーヌ様の言葉に、
「ま、そうです。」
アンちゃんは苦笑した。
「アイツは見かけで女性を萎縮させない。カルラのガードをしばらくさせましょうか?
アイツにもいい気分転換になるでしょうよ。」
「アンちゃん、ハンゾー君は孤児達のお世話係でしょ。」
こら、いくらカレーヌ様に弱いからって。
「あ、そうか。」
「ねえ、アンディさん。」
母がつつつ…と寄って来た。
「何ですか?お義母さん?」
「今度ミルドルにザック君達をウチに遊びに連れてらっしゃいよ、と言うわ。
そこにカルラさんも呼べば、ね?
久しぶりにザック君もお姉さんに会いたいでしょ。」
にこにこ。
善人パワー全開の母である。
「あ、なるほど。そこにハンゾーも行かせるんですね。」
「ええ、今でも定期的にゾフィーさんの様子を見に来てるんでしょ。」
「まああ!素敵ですわ。おばさま。私からもカルラに弟に会ってらっしゃいよ、と送りだしますわ。」
カレーヌ様も手をたたいて賛成するのだった。
そう言う童謡ありますね。タイトルネタ。




