まっすぐな心ということ。
蒼き光を纏って美しき神獣が現れた。
キュウウウウ。
「ああ!白狐様!」
跪くダンさん。
「あいかわらずのこうごうしさ。」
「そのすがた、はんぱないっす。」
膝を折るコハク国ツインズ。
「ごめんなあ、キューちゃん。うちのやつが呼び出して。」
「あいかわらず綺麗だねえ。」
「ヨシヨシ。来てくれたのね。」
動じないウチの家族。上から父、兄、母の発言です。
「流石に善良なるモルドール一族ですわね。少しも神獣様に怯まない。」
ため息をつくメアリアンさん。
母なんか撫でまわしてるぞ。
キューちゃんの目がゾフィーさんを見た。
そして凝視する。
「あー、そうか。龍の字チェックは終わったし、ブルーウォーターの結界もなんなく通れたから気にしなかったけど。
ゾフィーとは初対面かあ。しかもこの子は15歳以上だものね…」
アンちゃんが頭を掻く。
「で、伝説の神獣様…お目にかかれて光栄でございます…」
軽く震えるゾフィーさん。
「キューちゃん、この子はね、ウチの新しいメイドさんなのよ。イジメたらダメよ。」
キュウン。
嗜める母。そちらを向いたキューちゃんの目は優しい。
「今日はね、アンディさんが頼みがあるんですって。
さあ、まずお蜜柑はどう?」
ポイポイポーイ。
ためらいなくキューちゃんの口に夏みかん(前世で見たニューサマーオレンジに似ている)を投げこむ母。
目を細め尻尾をふる九尾の狐、キューちゃん。
辺りに立ち込める柑橘系の芳しきフレーバー。
(龍太郎君の時は魚の匂いだったなあ。)
「お、奥方様、凄い。」
ゾフィーさんは震えながらも目が釘付けだ。
「やはり、あのかたはしんのらすぼす。」
「ええ、しつれいなことをしたら、ぶれいうちまったなし。」
顔色悪いよ!ツインズ!
「あー、そうか。ガキだから問題ないと思うケド。
他の子もキューちゃんと面通しするかア。」
「はい、アンディ様。連れて参りました。」
ショコラさんがアニー、リサ、ロランを連れてきた。
「ま!まあ!神獣様!」
「ぐ、グランディとブルーウォーターの守り神!」
恐れおののく女の子達。
フン。
キューちゃんが鼻を鳴らす。怒ってないからOKか。
「うわあ!綺麗な御方だ!あのあの!触っていいですか?ダメですかあ!?」
目を幼子のように輝かすロラン。
キューコーン?
戸惑うキューちゃん。
「あらあ、そうなのよ。キューちゃんは綺麗なのよね。ふかふかしてるし。撫でてみたいの?」
「はい!」
「オイ、ロラン、お前それは!」
流石に慌てるアンちゃん。
「駄目?キューちゃん?」
キュー…。
母のお願いに頷く美獣。
「大丈夫かな…」
気を揉むショコラさん。
「今日がアイツの命日になるかもしれんなあ。」
目を閉じるアンちゃん。
え、大丈夫でしょ?母もついてるし。
「あの子ってエドワード様みたいだよね!」
「まっすぐさが眩しいな!」
兄と父は微笑んでいる。私もそう思う。
ロランには邪心を少しも感じない。龍太郎君にも平気だし。
キューちゃんは15歳以下には優しいし。
キュー。
キューちゃんが手を差し出す。
この手を触ってよい。ってことかな。
「口付けを許しますわ。」って感じの貴婦人の様である。
「え?お手なの?はい、お手。」
バタン!
「な、なんてぶれいを!」
「ひいいい!」
何故ツインズがぶっ倒れる。
「オイ!失礼だぞ、流石に!」
アンちゃんが叫ぶ。
「神獣様になんてこと。ああ、ここで人死に見ることになろうとは…」
ダンさんの顔色は青い。
キュウ?
大丈夫!キューちゃんは困ってるだけだ。
「ほほほ。キューちゃんはね、この手なら触っても良いよって言ってるの。」
「なあんだ、そうか!すみません。」
「ねえ。キューちゃん、ケチケチしないで頭ぐらい触らせてあげなさいな。」
母の言葉に仕方ないな…という感じでキューちゃんが伏せる。
「ヨーシ、ヨシヨシ。ん、やはり素敵な触りごごちね!」
安定の母は良いとして、
「ウワア、ふかふか。素晴らしい!」
動じないんだな、ロラン君。
「いいなあ。」
羨ましげなのはランド兄だ。
「…貴方も撫でさせてもらったら?……え?大人の男はエドワード様とネモさん兄弟以外はダメだって?
あら、そうなの。
…ん?リード様ならおまけでなんとか、なるほどねえ。」
「ありがとうございました!キューちゃん様!あ、名乗るの遅れてすみません!僕はロランといいます!
孤児なんで名字は無いんですけどね、えへへ。
料理人目指してます!いつか僕が作ったものを食べてくださいね!」
キューコーン!
「楽しみにしてるって。キューちゃんは甘いものが好きなんですってよ。」
「はっ、了解しました!」
「すげえな、アイツ。」
アンちゃんがつぶやく。
「ええ、大物ですね。」
ショコラさんも頷く。
「ほほほ。子供らしくていいわね。ところでアンディさん、キューちゃんに加護をつけてもらうんじゃなかった?」
母の言葉に、
「あ、そうなんだ。頼めますか?」
アンちゃんが頭を深く下げる。
「このブローチはお義母さんのもあるんですよ。」
「まあ!悪いわあ。キューちゃん。お願いね?こっちのペンダントトップはきっとね、リード様のお子様のものなの。」
土地神に愛されているリード様。神獣達も一目置いている。
キューちゃんの目が光った。




