君たちの前に道はなくても、その後にはできるよ。
「とりあえず、他の子供達は採用でいいんですよね。」
ヤマシロ君が満面の笑みを浮かべる。
あら。揉み手まで。
「それで良いよね?レイカちゃん。」
えっ、決めるのは私なのか?
まあいいや。人手は欲しいしね。
「アッハイ。三人さん、宜しくね。それからゾフィーさんも。」
「はい。…宜しくお願いします。
行くところがないのも本当なんです。」
ゾフィーさんは下を向く。気丈そうだが安心したのか目に涙が浮かんでいる。
「大丈夫よ、私も母も理不尽なことはしないから。
ねえ、ドギーにマギー。」
「はい!レイカ様。私達がゾフィーの面倒を見ますよ。仕事を教えますし、すぐモルドール家に馴染んで、お役に立てるようにさせますから。」
「ドギー…あんた私よりひとつ下なのに。背も伸びて体格も良くなって。」
「うん、いつも庇ってくれてたよね、ゾフィー。
前の院長から私達を…今度は私に頼って?」
「マギーも…」
ゾフィーさんの目から涙が溢れ落ちる。
ハンカチを貸しながら背中を撫でるのは我が母だ。
「よーし、よしよし。気が緩んだのね。」
母よ。…神獣様と同じなだめかたですね?
「オイ。オマエ達。レイカサンの言ウコトヲ良く聞くンダゾ。無礼な言動はユルサネエカラナ。
オイラの転生者仲間ナンダカラ。」
シュウウウ。
ナチュラルに圧をかける龍太郎君。目が光ってる。
「は、はいい。」
もう。そんなにビビらせないでよね。
「ねえ、貴女たちのお名前はなんて言うの?」
女の子二人にまず視線を送る。
「は、はい。私はアニーです。」
赤茶っぽい髪の娘だ。髪の量が多くて天然パーマかな。
うむ。アニー(ミュージカル)っぽいぞ。
(キャン○ィの親友の方ではない。)
…ま、そのミュージカルは見た事ないけども。
良くテレビの特番でやってたね。オーディションに挑む子供達を。
♫トゥ○ロー♫
「私はリサです。」
この子はグレーっぽい銀髪か。ゾフィーさんと似てる色だな。
「ちなみにゾフィーさんと髪の色が似てますが、姉妹ではありません。」
苦笑するリサさんだ。
ああ。きっと何十回と言われてきたんだな。
「オマエは?」
「ハイ、神竜様。ロランと言います。」
この子は薄い金髪だ。
直立不動で龍太郎君を見ている。
「…フウン。オイラは野郎にはアンマリ興味はネエケドサ。
オマエが1番オイラにビビらなかったナア!見どころアルゾ!」
では、この男の子が1番清い心をお持ちなのか。
「フン、ヒョロリとしてるがな。レイカちゃんのご飯を食べてりゃ、肉もつくだろうよ。
頑張って蕎麦打ち名人になってくれや。」
アンちゃんがニヤリとする。
「それからな、カレールーを作る名人にもな?」
あら。お気遣いいただいて。
「ハイ…本当に忍びへのスカウトじゃ、ないんですね?」
キョトンとしているロラン君だ。
「ハハハ。ロラン。忍びには飛び抜けた運動神経が必要なんだ。悪いが素質がある子はとっくに声をかけているぞ。」
ヤマシロ君が苦笑する。
「まあ、まだ小さい子はわからねえけども。それはまあ、これから、これから。」
シンゴ君も付け加える。
ランとアスカの護衛にする案のことかな。
あの腕輪があれば要らないとは思うけど…
「王家の影は常に何人も必要だからな。リード様のお子様の護衛とかな。何人かはもうグランディで育てられてはいるんだ。
だからロラン、アンタは料理人だ。いいかい?」
アンちゃんが駄目出しをするのだった。
「はい!わかりました!立派な料理人になるように精進します!」
「よし!いいぞ!」
「私たちと頑張りましょうね!」
コハク国のツインズも声をかける。
「まず賄いのお手伝いからお願いするわ。」
母の言葉にショコラさんも頷く。
こうして子供達の配置も決まっていくのだった。
「良かったな、オマエ達。俺は嬉しいぞ!」
ヤマシロ君は後輩思いだなあ。
選ばれなかった子供達は、何かしらやらかしているのだろう。きっと。
盗みとか、暴力とか。
上手く隠していたのかもしれないが、ドラゴンアイはすべてを見通す。
これから詳しく調べられるのだろうね。
「それなりに鍛え直す所に送られるよ。…それから先はそいつらの自覚と資質次第だな。」
あ、また口から出てたかな。
アンちゃんは苦笑するのだった。
高村光太郎さんの道程ですね。元ネタ。
国語の本に載ってましたね。




