表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇属性の方向性  作者: 稲垣コウ
修行編?
96/99

96.え? これ本当にD級冒険者を目指す訓練ですか(笑)

 僕は元より暗殺術なんて教わる気はないから、困ることもないと思ったけど、グレンさんとスイルーさんは悩んでいる。


「ナイフとが一番相性いいと思ったが、というかそれ以外に使えそうな武器がないんだが」

「暗殺術に直結するね」


 なるほど、暗殺術でなくても、暗がりからナイフ振るったらそりゃ暗殺術だわ。


「今まで魔法はどんな風に使ってたんだ?」

「影の中移動して、死角から剣で攻撃したり、煙玉投げたりですね」

「あんまり当たらないけどな」

「うっさいよ」


 ネニトスのツッコミに僕は顔をしかめるが、否定はできない。今のところ死角からの投球での命中率は六割程度だ。


「それだ」

「そうだな、武器と魔法の訓練として、ヨナハンはボール投げだ」


 僕の訓練メニューが決まった。ボール投げだ。

 え? これ本当にD級冒険者を目指す訓練ですか(笑)


 笑えるくらい低級訓練だけど、僕がそのレベルなんだから仕方がない。グレンさんの指示に従ってテキパキと訓練場を作っていく。

 ネニトスはさっきまでの休憩時間を取り戻すように、再びスイルーさんにボコボコにされていた。


 僕の方は別に大した準備ではない。訓練場の真ん中くらいに投擲練習用の的を立てて、その周りにいくつか板を立てる。影を作るためだ。

 あとは腰に付けた袋に玉入れ競技用の玉みたいなものを詰めて、準備完了だ。


 とにかく、影から影に移動して、影の中から的を狙って玉を投げまくるだけ、と言う簡単な訓練だ。簡単でも、やっぱり終わりと言われるまで続けるので、体力と魔力が大変しんどい訓練になるだろう。


 早速、僕は影の中に潜って、影の中から的を狙って玉を投げる。当たらない。他の影に移動して玉を投げる。当たらない。また移動して投げる。当たった。まあ、的から一番近い影だったからね。


 持っている玉は二十個、全部投げて、当たったのは八個だけだった。


 え、自分でもショックなんだけど。


 命中率六割程度だと思っていたけど、ぜんぜんもっと低かった。考えてみれば、モンスターに投げる時はできる限り近付いてから投げてたし、なんなら顔と腕だけ影から出して投げてた。

 これじゃあ、影の中を音もなく移動できるのも、誰も見えないところから攻撃できるのも、まったく活かせていないということになる。


「下手だな~」

 グレンさんの率直な感想が堪える。


 しかし、言い訳させてほしい。僕だって影に潜らずに普通に投げたらもう少し当たる。全部当てられるとは言い切れないところが情けないけれど。


「影の中から外を見ると全部真っ黒なんですよ、だから距離感がつかめなくて、それに足場がないからずっとフワフワした状態なんです」


 玉を拾い集めながら説明する。言い訳じゃない。現状をわかってもらわないことには的確なアドバイスも貰えないから、ただ僕が雑魚いだけじゃないことをわかってもらいたい。


「成程な、視界については、俺はよくわからんから慣れろとしか言えないが、水の中泳ぎながらボール投げているようなもんか」

「もっと抵抗ないです、空中に浮いているみたいな感じです」

「ふむ、腕力だけで投げてるんだな、通りでヘロヘロの投球だと思った」


 グレンさんはもう一度考えてから、的の周りの板は片付けて、異様に分厚い防具を出してきた。


「これ着て、とりあえず投球練習だな」


 防具は胸当てと、腕周りに着けるものだけだったから、肩や腰の動きの邪魔にはならない。ただ異常に重たい。これを着けて投球練習をして、とにかく肩と腰を鍛えようというわけだ。


 この重たい防具を着けて影の中に入ると確実に溺れるので、地上での訓練だ。とうとう魔法訓練でも戦闘訓練でもなくなった。ただの筋トレだ。


 本当に僕、戦う域に達してないね。


「腕だけで投げるな、腰の捻りを意識しろ」

 こんな戦闘訓練でもない訓練だけど、グレンさんは意外と真面目にアドバイスをくれる。というのも、投擲も立派な攻撃手段だという。


 冒険者の戦いと言えば相手はモンスターやならず者だから、戦いにルールがあるわけでもない。とにかく相手を倒せばいいのだから、そこら辺の石を投げるというのも常に攻撃の選択肢にある。


 それから重たい防具を着けてひいこら玉を投げまくって、拾いに行って、また投げて、拾ってを繰り返す。利き腕だけではバランスが悪いので両腕を交互に使う。

 終わりと言われるまで玉投げをした後、休憩を挟んで、魔力切れになるまでダークネスとシャドウウォークを使い続ける。


 スイルーさんにボコボコにされていたネニトスも、最後に魔法の訓練をしていたが、こちらは使える魔法が初級の風魔法ウィンドブレイクだけだということが判明して、怒鳴られていた。


「半年冒険者やってて使えるのが一つきりって、どんだけやる気ないんだバカタレ!」

 冒険者やってれば、魔法メインじゃなくても初級魔法の三つや四つは使えるのが普通らしい。


 結局、ネニトスは風属性の素人の杖を使い、初級魔法【風刃】ウィンドカッターを魔力切れになるまで使いまくった。


 これで一日が終わり。


「ぐえ~~これで本当に強くなれるのか~~」

「強くなるレベルですらなかった~……」


 夕飯を食べて気絶するように眠った。先が思いやられる状況だけど、疲れ果てていて先の心配をする余裕もなかった。

風属性の初級魔法ウィンドブレイクはただ一瞬強風を吹かせるだけの魔法です。ネニトスくらいの体格があれば大きめの板振り回すのと大差ないです。


少しでも面白いと思ったら是非ブックマークお願いします。

リアクションや★付けていただけると嬉しいです。

感想やレビューも待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ