第二十八話 生い立ち
「僕らはクローンなんだ」つ、と一筋の涙が俺の頬を伝う。
俺の方が涙を流しているのに、目の前の自分と同じ顔をした男の子は俺よりずっと苦しそうだった。認めたくないことを突きつけられた痛みより朔に言わせてしまったことの方がずっとずっと痛くて苦しかった。俺はまた誤った。
「ごめん」俺は謝った。
「知ってること。教えてくれないか」縋るように俺は尋ねた。
「いいよ。僕の知ってることは話すよ。僕らは鈴木 紅という人物のクローン。君も聞かされていたでしょう? 殺人一族の話」
俺は黙ってうなずいた。
「あれはその鈴木 紅っていう人の話。僕らは生物兵器として作られたんだ。対吸血鬼用、奴らはそう言っていたけど、それはついで。不思議に思ったことはない?戦闘訓練とかの内容はすべて人間を想定としたものだった」
「それは……」言われてみればナイフ一つで吸血鬼を殺そうという方針は明らかにおかしい。いくら憎しみにとらわれていたといってもそんなことにすら気が回らないとは恥ずかしい。
「いいんだよ。憎しみは人の目を曇らせる。それも込みの狙いだったんだろうしね。話を戻すけど、奴らの目的は暗殺用の便利な道具を作ることと非人道的研究の国の許可と協力を得ること。クローンである僕らはその存在を認められていないから、人権なんていうのからも逃れられる上に意思疎通が可能。暗殺者っていうのは家族がネックでしょう? そのしがらみもない、奴らにとってはいいことづくめだ。それに、人間にとって脅威に成り得る吸血鬼を倒すためだといえば国もクローンやキメラなんていう少数の犠牲は仕方ないと考えるだろうし、国としても自国の機関が吸血鬼を倒したってなれば国際社会での発言権が強まる。そうやって、奴らは俺たちと国をも騙して自分たちの目的を達成したんだ」俺は言うべき言葉も見つからず口を開き、ゆっくりと閉じた。




