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第二十六話 混沌
「離れろ」頭に手を当てた女王が言う。
「え?」
「いいから、早く!」切羽詰まったように女王が言う。姉崎が言われた通りに離れた途端、女王は頭を抱えて苦しみ始めた。人間の姿と女王の姿が目まぐるしく入れ替わる。
「ノア!」近づこうとした姉崎の前に『悪魔』が手を出し制止する。
「君は、彼女に触れて首の付け根の魔女化が始まっています。これ以上彼女に触れてはいけません」
「でも」
「彼女はあなたとそこの男の子が『地下』の住人になることを望んでいません。だからどうか聞き分けてください」
「……わかったよ」姉崎はさらに一歩、女王から距離をとる。
ふっ、と光が消えると女王は気を失って倒れ込んだ。
「ノア!」
「璃芭。あなたはここに。私が見てきますから」
「うん」姉崎は『悪魔』の目を見て力強くうなずいた。
「そこまでだ! 卑しいものどもよ!」高飛車な女の声がする。見れば、図書館で俺を案内した女がさらに多数のキメラと、人間の部下を従えそこに立っていた。その女の登場で女王の力におびえていたキメラも元の勢いを取り戻したようだった。
「そこの娘。そこに転がっている薄汚い化け物をここに運んで来い」
「いや! ノアはアンタたちには渡さない」姉崎は目に涙を浮かべて叫んだ。
「そうか、残念だよ。ものども! 化け物の味方は人類の敵だ! あの女を拘束しろ!」




