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導き
水橋の眼前で、組みあっていた二匹の竜の形がゆるりとその形を崩した。
銀竜の喉笛に牙を突き立てていた翼竜の咢が大きく開けられ虚空を向く。
二匹を取り巻く様にひしめいていた無数の黒霧の翼が耳障りな金属音を思わせる羽音を響かせて二匹から距離を取った。
荒れ狂っていた暴風が消え突然の静寂が辺りを支配した。
周囲はシンと静まり返り。
思わず耳を澄ませた水橋の鼓膜が聞こえる筈も無い虫の鳴き声を聞かせた。
「何が……」
呆然と呻く水橋の声に背後の美咲が告げた。
「お見送りを……」
唐突に発せられた少女の言葉に、少年達よりは遥かに大人の筈の水橋が少女の白い貌を呆けたように見つめるしか出来なかった。
「わたしには見送る事しか出来ないけれど」
今や竜共の巻き起こす惨状を照らす青い燐光へと姿を変えた太一が淡く照らすバンの車内にあって。たおやかな指を綺麗に組み合わせた美咲が祈るように見上げる校庭の虚空に。
星の灯りがひとつまたひとつとその数を急速に増やして、周囲を取り巻いていた霧が押し広げられていく様を水橋と美咲に教えていた。




