フレンズ
乳が張る。
男の子と手も握った事も無いのに
チリチリと疼くような痛みが順子の乳首の先を刺激する。
無意識のうちに周囲に視線を走らせ、あの子を探している自分に気付く。
霧から逃げ惑う路上で良平の手によって救い出され、順子の胸の内で寛いだ乳児。
順子に乳児を預けた良平はもう居ない。
順子達避難民を守る為、良平は自ら霧に飛び込んだ。
生きて会えるとは思えないのに、彼は今何処で何をしているんだろうかと順子は辻褄の合わない事を考える。
控えめな順子に似て人付き合いが苦手そうだった良平。
周りのクラスメートが彼をどう思っていたかは知らないが、順子には共感するところが有ったのだ。
周囲の眼からすれば小太りオタクの良平と大人しい少女順子。
不釣り合いだろうし、順子も別に良平に異性としての好意を持っていた訳でも無い。
強いて言うならば、リズムが合っていた、とでも言うべきか。
クラスメート達がまるで何かに急き立てられているかのようにする会話も、生き急ぐかのように繰り広げるあれこれも順子には正直息苦しかったのだ。
クラスメートに話しかけられてもおどおどし、慌てて答えては話を滑らせ場の空気を冷やしてしまう良平。
おっとり型の順子が、答えを急かさず話しかける時にはちゃんと、それも意外に気の利いた返事を返して来た良平。
「良平君に会いたいな…」
職員達が忙しく行き交う廊下で、まるで路頭に迷っているかのように順子はあたりを見回す。
「良平君、教えて。あたしどっちへ行けばいいの?」
無駄と知りつつ順子は呟く。
「良平君…」




