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ガキ大将

第四十一話 ガキ大将


⸻


 シンの一時就職先は、保育士になった。


⸻


 もちろん、この時代に保育士という仕事はない。


 資格もない。


 試験もない。


 名前もない。


⸻


 そもそも、子供だけを集めて専門の大人が見る、という形でもない。


⸻


 子供は、集落全体で見る。


 火の近くにいれば誰かが叱る。


 川へ近づけば誰かが呼ぶ。


 刃物に触ろうとすれば誰かが手を叩く。


 知らない草を口に入れようとすれば、たぶんアサメが目で殺す。


⸻


 そういう仕組みだった。


⸻


 ただ、その中でシンは、なぜか子供のそばにいる係になった。


⸻


 弱い者の失敗に気づく。


⸻


 アサメはそう言った。


⸻


 タダは、


「子供はすぐ死ぬ。見ていろ」


 と言った。


⸻


 言い方が怖い。


⸻


 だが、意味は分かる。


⸻


 子供は、強い。


 よく走る。


 よく叫ぶ。


 よく転ぶ。


 よく笑う。


⸻


 そして、すぐ危ないことをする。


⸻


 火に近づく。


 川に近づく。


 刃物に触る。


 食べられるかどうか分からないものを口に入れようとする。


 山鳥を追いかける。


 煙の中に突っ込む。


⸻


 だいたい昨日見た。


⸻


 だから、シンの仕事は「子供のそばにいること」になった。


⸻


 それが簡単かと言えば、全然簡単ではなかった。


⸻


 なぜなら、炉の集落には悪ガキ三人組がいたからだ。


⸻


 トン。


 チン。


 カン。


⸻


 最初に聞いた時、シンは冗談だと思った。


⸻


「本当にその名前なの?」


⸻


 三人は同時に胸を張った。


⸻


「トン」


「チン」


「カン」


⸻


 順番に言った。


⸻


 完璧な間だった。


⸻


「いや、名前というより効果音じゃん」


「こうかおん?」


「叩いた時の音みたいなやつ」


「炉の音だ」


 トンが言った。


⸻


「鉄の音」


 チンが言った。


⸻


「失敗した時の音」


 カンが言った。


⸻


「最後だけ不吉だな」


⸻


 三人は笑った。


⸻


 トンは一番背が高い。


 丸い顔で、声が大きい。


 考えるより先に走る。


⸻


 チンは目が細い。


 手先が器用で、いつの間にか物を持っている。


 悪知恵が働く。


⸻


 カンは一番小さい。


 だが、妙に勘がいい。


 危ないものを見つけるのが早い。


 そして、一番危ない方向へ行く。


⸻


 三人そろって、だいたい問題になる。


⸻


 その三人が、シンの周りをぐるぐる回っていた。


⸻


「うろおぼえ」


「川の男」


「保育士」


⸻


「保育士って言ったの誰だ」


「シン」


「それ俺の心の声じゃなかった?」


「聞こえた」


「怖いな」


⸻


 トンが木の枝を持って、シンの前に立った。


⸻


「今日、何する」


「俺が決めるの?」


「ガキ大将だから」


⸻


 シンは固まった。


⸻


「誰が?」


「シン」


「俺が?」


「うん」


⸻


 チンが頷く。


⸻


「弱いけど」


 カンが付け足した。


⸻


「ガキ大将って、弱くてもなれるのか」


「煙の時、助けた」


「草には負けたけど」


「鳥にも負けたけど」


「木にも負けたけど」


⸻


「負け星の確認やめてもらっていい?」


⸻


 三人は笑った。


⸻


 馬鹿にされている。


⸻


 たぶん、されている。


⸻


 でも、昨日までとは少し違った。


⸻


 完全に外の人間を見る目ではない。


 変な大人。


 弱い大人。


 でも、煙の時は助けた大人。


⸻


 そのくらいの位置に、シンは置かれていた。


⸻


 そして、どうやらその位置は、ガキ大将と呼ばれるらしかった。


⸻


(ガキ大将って、そんな年齢でもないのに……)


⸻


 釈然としない。


⸻


 だが、悪くはなかった。


⸻


「じゃあ、今日は川へ行く」


 シンは言った。


⸻


 三人の目が光った。


⸻


「魚?」


「魚」


「獲る?」


「獲る」


「食う?」


「獲れたら」


⸻


 トンとチンとカンは同時に走り出した。


⸻


「待て待て待て!」


⸻


 シンは慌てて追いかけた。


⸻


 ガキ大将初日。


⸻


 すでに部下の方が速い。


⸻


⸻


 山の集落の近くには、小さな沢があった。


⸻


 オキの集落の川とは違う。


⸻


 細い。


 浅い。


 石が多い。


 水が冷たい。


⸻


 山の雪解けが流れ込んでいる。


 手を入れると、指がすぐ痛くなる。


⸻


 シンは沢の前で立ち止まった。


⸻


「ここで魚を獲るのか」


「いる」


 トンが言った。


⸻


「石の下」


 チンが言った。


⸻


「逃げる」


 カンが言った。


⸻


「情報が断片的すぎる」


⸻


 沢には小さな魚がいた。


⸻


 川魚だ。


⸻


 銀色の細い影が、石の間を走る。


 水が澄んでいるので見える。


 だが、見えるからといって獲れるわけではない。


⸻


 トンが両手を水に突っ込んだ。


⸻


 魚が逃げた。


⸻


 チンが石で挟もうとした。


⸻


 魚が逃げた。


⸻


 カンが上流から追い込もうとした。


⸻


 魚がいなくなった。


⸻


「お前ら、魚を散らす天才だな」


「シンが獲って」


「ガキ大将」


「仕事」


⸻


「急に責任を押しつけるな」


⸻


 シンは沢を見た。


⸻


 魚は速い。


 手で掴むのは無理だ。


⸻


 網があればいい。


 でも、今はない。


⸻


 罠。


 追い込み。


 石。


 水の流れ。


⸻


 何かあった気がする。


⸻


 昔、テレビで見たのか。


 川遊びで聞いたのか。


 サバイバル動画か。


⸻


 分からない。


⸻


 だが、ウロオボエ様が小さく咳払いをした気がした。


⸻


(石で、細い道を作る……?)


⸻


 シンは沢の浅いところを見た。


⸻


「石を並べよう」


「石?」


「魚の道を狭くする」


「魚に道?」


「ある。たぶん」


「たぶん?」


「ウロオボエ様が言ってる」


⸻


 三人は顔を見合わせた。


⸻


「うろおぼえさま」


「煙の神?」


「雑な神!」


⸻


「雑な神で覚えるな」


⸻


 シンは石を並べた。


⸻


 沢の流れを全部塞ぐのではない。


 そんなことをすれば、水が濁る。


 魚も逃げる。


⸻


 流れを少し狭める。


 小さな石を積む。


 隙間を残す。


 下流側に、浅いくぼみを作る。


⸻


 正しいかどうかは分からない。


⸻


 だが、完全な手探りよりはましだ。


⸻


 トンが大きな石を持ってきた。


⸻


「それは大きすぎる」


「強い」


「強いけど、沢が怒る」


「沢、怒る?」


「たぶん」


⸻


 チンは小さな石を器用に積んだ。


⸻


「こう?」


「うまい」


「チン、器用だな」


⸻


 チンは少し嬉しそうにした。


⸻


 カンはじっと水を見ていた。


⸻


「そこ、逃げる」


「どこ」


「そこ」


⸻


 カンが指した場所に、確かに隙間があった。


⸻


 シンは石を足した。


⸻


「カン、見つけるのうまいな」


「勘がいいから」


「名前通りだな」


⸻


 カンは胸を張った。


⸻


 しばらくかけて、小さな追い込み場ができた。


⸻


 立派なものではない。


 石を並べただけだ。


⸻


 それでも、水の流れは少し変わった。


⸻


「トン、上からゆっくり来い」


「走る?」


「走るな」


「叫ぶ?」


「叫ぶな」


「魚、びっくりする?」


「俺じゃないんだから、びっくりさせるな」


⸻


 トンは慎重に上流へ回った。


⸻


 珍しく慎重だった。


⸻


 チンは下流で待つ。


 カンは横の隙間を見る。


 シンはくぼみの前に手を入れた。


⸻


 冷たい。


⸻


(ひゃっけぇ……)


⸻


 だが、我慢する。


⸻


 トンが上流から石を少し動かした。


 水が濁る。


 魚が一匹、走った。


⸻


 石の間を抜ける。


 狭い道へ入る。


 くぼみへ来る。


⸻


「今!」


⸻


 シンは両手で水をすくうようにした。


⸻


 魚が跳ねた。


⸻


 ぬるっと滑る。


⸻


 逃げる。


⸻


 だが、チンが横から手を入れた。


 カンが石で隙間を塞いだ。


⸻


 トンが叫んだ。


⸻


「獲れた!」


⸻


 魚が、シンの手の中で暴れていた。


⸻


 小さい。


 かなり小さい。


⸻


 でも、魚だった。


⸻


 三人は歓声を上げた。


⸻


「うろおぼえ、すごい!」


「石の道、すごい!」


「シン、ちょっとすごい!」


⸻


「ちょっとなのか」


⸻


 シンは魚を見た。


⸻


 小さな命が、手の中で跳ねている。


⸻


 食べるには小さい。


⸻


「これは逃がそう」


「なんで」


「小さいから」


「食える」


「食えるけど、でかくなってから食おう」


「戻ってくる?」


「たぶん」


「たぶんばっか」


⸻


 子供たちは少し不満そうだったが、シンが魚を水へ戻すと、黙って見ていた。


⸻


 魚は一瞬止まり、それから石の陰へ消えた。


⸻


 カンが言った。


⸻


「また獲る」


「大きくなったらな」


「大きくなったか、どうやって分かる」


「……勘で」


⸻


 カンは真剣に頷いた。


⸻


「分かった」


⸻


(今のでいいのか)


⸻


 沢の魚獲りは、結局ほとんど食料にはならなかった。


⸻


 大きめの魚を二匹だけ獲り、あとは逃がした。


⸻


 でも、三人は満足していた。


⸻


 石で道を作る。


 魚を追い込む。


 小さい魚は逃がす。


⸻


 それは遊びでもあり、仕事の真似でもあり、暮らしの練習でもあった。


⸻


 シンは、少しだけ仕事をした気になった。


⸻


⸻


 午後、シンは未来知識で遊びを教えた。


⸻


 最初に教えようとしたのは、鬼ごっこだった。


⸻


 しかし、口に出しかけて止めた。


⸻


 鬼。


⸻


 その言葉は、ここでは軽く使えない。


⸻


 子供たちは普通に使うかもしれない。


 遊びの中なら、笑うかもしれない。


⸻


 でも、シンにはまだ無理だった。


⸻


 ミコの父。


 オキの言葉。


 イヌの警告。


 モモの声。


⸻


 鬼。


⸻


 その言葉が、もう赤鬼青鬼のものではない。


⸻


「じゃあ、別の遊びにする」


「何?」


「止まったら勝ち」


「動いたら?」


「負け」


「つまらなそう」


「やると意外と面白い」


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 シンは地面に線を引いた。


⸻


 一人が背を向けて、ゆっくり数える。


 その間に、他の者が近づく。


 振り向いた時に動いていたら負け。


⸻


 だるまさんがころんだ。


⸻


 そう言いそうになって、やめた。


⸻


 だるまはまだいない。たぶん。


⸻


「火が寝た」


 シンは言った。


⸻


 三人は首を傾げた。


⸻


「火?」


「火が寝てる間に近づく。火が起きたら止まる」


「火は寝ない」


 トンが言った。


⸻


「寝る火もある」


 チンが言った。


⸻


「灰の中の火」


 カンが言った。


⸻


「そう。それ」


⸻


 シンは頷いた。


⸻


 適当に言ったつもりだったが、妙にこの集落らしい名前になった。


⸻


 火が寝た。


⸻


 遊びは、すぐに広まった。


⸻


 トンは動きすぎる。


 チンはずるい。


 カンは止まり方がうまい。


⸻


 シンは振り向く役をした。


⸻


「火が寝た、火が寝た、火が——起きた!」


⸻


 振り向く。


⸻


 トンが片足を上げたまま止まっている。


 チンは明らかに一歩動いた。


 カンは完全に石になっている。


⸻


「チン、動いた」


「動いてない」


「動いた」


「風」


「風で人は一歩進まない」


⸻


 子供たちは笑った。


⸻


 何度もやった。


⸻


 炉の男たちが少し離れて見ていた。


⸻


 最初は呆れていた。


 しかし、途中から一人が小さく笑った。


⸻


 やがて、年下の子供たちも混ざった。


⸻


 シンは完全に遊びの中心にいた。


⸻


 ガキ大将。


⸻


 その言葉が、少しだけ馴染んできた。


⸻


 次に、シンは三すくみの遊びを教えた。


 いわゆるジャンケンだ。


⸻


「手で勝負する」


「殴る?」


「殴らない」


「つまらない」


「剣呑な子供だなオイ……」


⸻


 シンは手を握った。


⸻


「石」


⸻


 指を二本出した。


⸻


「刃」


⸻


 手を開いた。


⸻


「葉」


⸻


 三人は真似した。


⸻


「石は刃に勝つ。刃は葉に勝つ。葉は石を包む」


「葉、弱そう」


 トンが言った。


⸻


「でも包む」


「石、強い」


「でも包まれる」


「刃、痛い」


「でも石に負ける」


⸻


 チンはすぐ理解した。


⸻


 カンはしばらく手を見ていた。


⸻


「全部、勝つ。全部、負ける」


「そう」


「変」


「それがいい」


⸻


 三人は夢中になった。


⸻


「石!」


「刃!」


「葉!」


⸻


 勝った負けたで騒ぐ。


⸻


 途中から、トンが「岩」を出した。


 チンが「槍」を出した。


 カンが「山」を出した。


⸻


「増やすな」


「山は全部に勝つ」


「山、強すぎるだろ」


「川なら?」


「川は山を削る」


「火は?」


「葉を燃やす」


「雨は?」


「火に勝つ」


⸻


 遊びはすぐ崩壊した。


⸻


 だが、かなり盛り上がった。


⸻


 最終的に、トンが「タダ」を出した。


⸻


「タダは全部に勝つ」


⸻


 全員が納得した。


⸻


 シンも納得した。


⸻


 少し離れた場所で薪を運んでいたタダだけが、意味が分からない顔をしていた。


⸻


⸻


 そうやって、数日が過ぎた。


⸻


 シンの仕事は、少しずつ増えた。


⸻


 水を運ぶ。


 子供を見る。


 小さい火を見る。


 煙が溜まりそうな場所を気にする。


 トンが走り出したら止める。


 チンが何かを隠したら探す。


 カンがじっと見ている場所を確認する。


⸻


 薪割りは相変わらず遅い。


 鉄はまだ重い。


 山菜は怖い。


⸻


 だが、シンは少しずつ集落に馴染んでいった。


⸻


 子供たちは、もうシンを完全な客扱いしなかった。


⸻


「シン、魚」


「シン、火が寝たやる」


「シン、トンがまた変な石拾った」


「シン、チンが干し肉隠した」


「隠してない」


「口が肉」


「チン、お前……」


⸻


 毎日、何かが起きた。


⸻


 大きな事件ではない。


⸻


 でも、暮らしの中の事件だった。


⸻


 シンは疲れた。


 かなり疲れた。


⸻


 子供を見るのは、狩りより疲れるのではないかと思った。


⸻


 少なくとも、獲物は喋らない。


⸻


 子供は喋る。


 逃げる。


 嘘をつく。


 泣く。


 笑う。


 突然、川へ入る。


 突然、鳥を追う。


 突然、火のそばで踊る。


⸻


 それでも、嫌ではなかった。


⸻


 むしろ、少し楽しかった。


⸻


 シンはそのことに、自分で驚いていた。


⸻


 夜になると、くたくたになって炉のそばに座る。


 タダが肉をくれる。


 アサメが火を見る。


 子供たちは少し離れたところで寝落ちする。


⸻


 その景色を見ていると、胸の中に何かが積もっていく。


⸻


 白い煙ではない。


 川の石でもない。


⸻


 炉の灰のようなもの。


⸻


 熱の残る、静かな灰。


⸻


 それが、ここにいる時間の形なのかもしれなかった。


⸻


 そして、事件はだいたい、油断した頃に起きる。


⸻


⸻


 その日、トンが言った。


⸻


「アサメが水浴びに行く」


⸻


 シンは魚の骨を取っていた手を止めた。


⸻


「だから?」


「見に行く」


「行くな」


⸻


 即答した。


⸻


 チンが言った。


⸻


「見つからなければいい」


「そういう問題じゃない」


 カンが言った。


⸻


「水の音、聞く」


「聞くな」


「シン、行かないの?」


「行かない」


⸻


 三人は顔を見合わせた。


⸻


 そして、同時に言った。


⸻


「弱い」


⸻


「その挑発には乗らない」


⸻


 シンは立ち上がった。


⸻


「俺は大人だからな。そういうことはしない」


「大人なのに草に負けた」


「大人なのに鳥に負ける」


「大人なのに薪少ない」


⸻


「やめろ。俺の大人性が削られる」


⸻


 トンが言った。


⸻


「じゃあ、止めにこいっ!」


⸻


 三人は走り出した。


⸻


「あっ、こら!」


⸻


 シンは追いかけた。


⸻


 この時点で、もう半分負けていた。


⸻


 止めるため。


⸻


 そう。


 止めるためだ。


⸻


 覗くためではない。


⸻


 断じて違う。


⸻


 シンは心の中で何度も言い訳しながら、三人のあとを追った。


⸻


 アサメが水浴びをする場所は、集落から少し離れた沢の上流だった。


⸻


 岩陰があり、木が茂っている。


 外からは見えにくい。


⸻


 つまり、覗こうとする者にとっても、見えにくい。


⸻


 いや、そういうことではない。


⸻


 シンは頭を振った。


⸻


「戻れ」


 小声で言った。


⸻


 三人は岩の陰にしゃがんでいる。


⸻


「声、大きい」


 チンが言った。


⸻


「お前らが悪い」


「シンもいる」


 カンが言った。


⸻


「俺は止めに来た」


「同じ場所にいる」


「痛いところを突くな」


⸻


 沢の向こうから、水音がした。


⸻


 シンは目を逸らした。


⸻


 本当に逸らした。


⸻


 見る気はない。


⸻


 ただ、三人を引っ張って戻るタイミングを探しているだけだ。


⸻


 そう言い訳していた。


⸻


 トンが、少しだけ岩から顔を出そうとした。


⸻


 シンはその頭を押さえた。


⸻


「駄目」


「ちょっと」


「駄目」


「アサメ強いから平気」


「何が平気なんだよ」


⸻


 その時だった。


⸻


 背後の藪が揺れた。


⸻


 ばさっ。


⸻


 シンの全身が跳ねた。


⸻


 丸い山鳥が、藪から飛び出した。


⸻


 トリビックリクンだった。


⸻


 なぜここにいる。


⸻


 いや、鳥に理由を聞いても仕方ない。


⸻


 トリビックリクンは、いつものようにやたら大きな羽音を立てた。


⸻


 ばさばさばさっ。


⸻


「うわっ!!」


⸻


 シンは叫んだ。


⸻


 トンも叫んだ。


 チンも叫んだ。


 カンは無言で転んだ。


⸻


 岩陰から、四人まとめて転がり出た。


⸻


 水音が止まった。


⸻


 恐ろしい沈黙が降りた。


⸻


 シンは地面に伏せたまま、ゆっくり顔を上げた。


⸻


 アサメがいた。


⸻


 濡れた髪を片手で押さえ、もう片方の手に布を持っている。


 体は布で覆われていた。


 何も見えていない。


⸻


 だが、見えていないから許されるという空気ではなかった。


⸻


 アサメの目が、静かだった。


⸻


 静かすぎた。


⸻


 それが一番怖かった。


⸻


「シン」


「はい」


「何をしている」


⸻


 シンは土下座に近い姿勢になった。


⸻


「止めに来ました」


⸻


 三人が同時に言った。


⸻


「一緒に来た」


⸻


「裏切りが早い!!」


⸻


 アサメはシンを見た。


⸻


「止めたのか」


「止めようとはしました」


「結果は」


「ここにいます」


「そうだな」


⸻


 終わった。


⸻


 シンはそう思った。


⸻


 アサメは布を肩にかけたまま、沢から上がってきた。


⸻


 足音が静かだった。


⸻


 近づく。


⸻


 トン、チン、カンは完全に固まっている。


⸻


 シンも固まっている。


⸻


 トリビックリクンだけが、少し離れた枝で丸くなっていた。


⸻


 原因のくせに、無関係そうな顔をしている。


⸻


(あいつ……)


⸻


 アサメは四人の前に立った。


⸻


「見たか」


⸻


 トンが首を横に振った。


 チンも振った。


 カンも振った。


⸻


 シンも全力で振った。


⸻


「見てません」


「見てない」


「水だけ」


「鳥」


⸻


 カンの答えだけ少し違った。


⸻


 アサメは枝の上の山鳥を見た。


⸻


 トリビックリクンが、ばさっと羽を揺らした。


⸻


 アサメは少しだけ目を細めた。


⸻


「鳥のせいか」


「はい」


 シンは即答した。


⸻


「全部ではない」


 アサメが言った。


⸻


「はい」


⸻


 逃げ場はなかった。


⸻


 アサメは言った。


⸻


「タダに言う」


⸻


 それは、斬られるより怖かった。


⸻


⸻


 タダは何も言わなかった。


⸻


 アサメから話を聞いたあと、シンとトンとチンとカンを順番に見た。


⸻


 そして、薪置き場を指した。


⸻


「運べ」


⸻


 それだけだった。


⸻


 罰は、薪運びだった。


⸻


 しかも、かなり多い。


⸻


 トンが小声で言った。


⸻


「鳥が悪い」


「お前らが悪い」


 シンは言った。


⸻


 チンが言った。


⸻


「シンも来た」


「止めに来た」


「来た」


「はい」


⸻


 カンが言った。


⸻


「ガキ大将だから、一番悪い」


「責任だけ大将扱いするのやめろ」


⸻


 タダが薪を持った。


⸻


 一度に大量に。


⸻


 シンたち四人がそれぞれ抱えた分を、タダは片手で持った。


⸻


「ずるい」


 トンが言った。


⸻


「強いだけだ」


 タダが言った。


⸻


 反論できなかった。


⸻


 薪運びはつらかった。


⸻


 腕が痛い。


 肩が痛い。


 足元が滑る。


 木の皮が服に引っかかる。


⸻


 子供たちは最初こそ文句を言っていたが、途中から競争にした。


⸻


「トン、三」


「チン、四」


「カン、二」


「シン、一」


⸻


「また数字にされてる」


⸻


 シンは息を切らしながら薪を運んだ。


⸻


 タダは、また数えきれないほど運んでいた。


⸻


 罰が終わる頃には、夕方になっていた。


⸻


 腕が重い。


 足も重い。


 背中も痛い。


⸻


 だが、不思議と嫌な気分ではなかった。


⸻


 トンが地面に座り込んだ。


⸻


「シン」


「何」


「次は、バレないようにする」


「反省の方向が違う」


⸻


 チンが言った。


⸻


「鳥を先に見つける」


「そこじゃない」


⸻


 カンが言った。


⸻


「アサメは怖い」


「それは正しい」


⸻


 四人はしばらく黙った。


⸻


 それから、誰からともなく笑った。


⸻


 馬鹿みたいな一日だった。


⸻


 でも、ちゃんと一日だった。


⸻


 シンはそう思った。


⸻


 こういう一日が、暮らしなのかもしれない。


⸻


 魚を獲って。


 遊んで。


 怒られて。


 罰を受けて。


 肉を食べる。


⸻


 その繰り返し。


⸻


 その繰り返しが、誰かの帰る場所になる。


⸻


 夜、シンは炉のそばで肉を食べた。


⸻


 腕が痛いので、肉を持つ手が少し震える。


⸻


 タダがそれを見て、肉を少し小さく切った。


⸻


「優しい」


「落とすから」


「理由は優しくない」


⸻


 アサメは少し離れたところにいた。


⸻


 髪はもう乾いている。


 いつもの紅い衣を着ている。


⸻


 シンは正座に近い姿勢で言った。


⸻


「本日は大変申し訳ございませんでした」


⸻


 アサメは肉を食べながら見た。


⸻


「変な言葉だな」


「謝罪の言葉です」


「謝るなら、次は止めろ」


「はい」


「一緒に転がるな」


「はい」


「鳥に負けるな」


「それは難しい」


⸻


 アサメは少しだけ口元を動かした。


⸻


 笑ったのかもしれない。


⸻


「ガキ大将」


⸻


 アサメが言った。


⸻


 シンは顔を上げた。


⸻


「何でその言葉を」


「子供が言っていた」


「広まってる……」


「大将なら、先に危ない方へ行け」


⸻


 アサメは静かに言った。


⸻


「後ろで命令するな。先に見ろ。先に転べ。先に怒られろ」


「それ、かなり損な役じゃないか」


「そうだ」


「そうなんだ」


「だが、子供はついてくる」


⸻


 シンは黙った。


⸻


 今日のトン、チン、カンを思い出した。


⸻


 魚を獲る時。


 遊ぶ時。


 水浴びを覗こうとした時。


 薪を運ぶ時。


⸻


 確かに、ついてきた。


⸻


 いや、引きずられたとも言う。


⸻


 だが、それでも一緒にいた。


⸻


「俺、向いてるのかな」


「知らん」


「そこは励ましてほしい」


「向いているかは、続ければ分かる」


⸻


 アサメは炉を見た。


⸻


「火も、人も、続けなければ分からない」


⸻


 シンはその言葉を噛んだ。


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 肉と一緒に。


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 続けなければ分からない。


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 ここで暮らす。


 それも、続けなければ分からない。


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 その時、甘い匂いがした。


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 シンは顔を上げた。


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 集落の外れ。


 木の陰。


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 モモが立っていた。


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 白い衣。


 黒い髪。


 桃色の飾り。


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 刀は抜いていない。


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 今夜も、見ているだけだった。


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 アサメも気づいていた。


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 しかし、弓を取らない。


 ただ、視線だけを向ける。


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 モモは、シンを見ていた。


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「……対象シン」


「うん」


「……幼体群、統率」


「統率ってほどじゃない」


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 モモの視線が、少し離れたところで眠りかけているトン、チン、カンへ向いた。


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「……危険行動、多数」


「それはそう」


「……対象シン、危険行動に同行」


「止めに行ったんだよ」


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 アサメが言った。


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「一緒に転がった」


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「そこ言わなくていいだろ」


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 モモは少し沈黙した。


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「……統率失敗」


「ぐうの音も出ない」


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 アサメの口元が、また少し動いた。


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 モモは表情を変えない。


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 だが、以前より少しだけ、反応が細かい気がした。


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 シンは肉を持ち上げた。


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「食う?」


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 モモの視線が、肉へ落ちた。


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「……不要」


「またそれか」


「……摂食、不要」


「今日は罰で薪運びしたから、必要だぞ」


「……対象モモに、薪運び該当なし」


「じゃあ見学料」


「……」


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 モモは沈黙した。


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 アサメがシンを見た。


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「それは何だ」


「見てるだけでも金がかかる、みたいな……いや、金はないけど」


「分からん」


「俺も言ってから違うと思った」


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 シンは肉を少し火に近づけた。


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 脂が温まり、匂いが強くなる。


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 モモの視線が、わずかに動いた。


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 肉ではなく。


 煙へ。


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 その動きに、シンは気づいた。


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「煙を確認してるな」


「……確認」


「肉の煙だぞ」


「……煙」


「肉の煙」


「……煙」


「粘るなぁ」


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 アサメが立ち上がった。


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 モモの方へ、一歩だけ近づく。


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 空気が少し変わった。


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 戦う空気ではない。


 だが、山の者が外の者を見る空気だった。


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「桃色」


 アサメが言った。


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 モモはアサメを見た。


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「……対象アサメ」


「シンを斬るのか」


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 直球だった。


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 シンは少し息を止めた。


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 モモは沈黙した。


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 長い。


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 前より長い沈黙だった。


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「……即時討伐、停止中」


「今は斬らないのか」


「……保留中」


「なら、見ていろ」


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 アサメはそう言った。


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「ここで、こいつが何をするのか」


⸻


 シンはアサメを見た。


⸻


 アサメはモモを見ている。


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「子供と転ぶ。鳥に負ける。草に負ける。煙には少し勝つ。薪は遅い。だが、見る」


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 ひどい評価だった。


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 だが、不思議と嫌ではなかった。


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「見て、決めろ」


 アサメが言った。


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 モモは何も答えなかった。


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 ただ、シンを見た。


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 炉の火が揺れた。


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 肉の煙が上がった。


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 トンが寝言で何か言った。


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「タダは全部に勝つ……」


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 シンは思わず笑いそうになった。


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 アサメも少しだけ目を細めた。


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 モモは、その寝言の意味を処理できなかったのか、わずかに首を傾けた。


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「……タダ」


「全部に勝つらしい」


「……照合不能」


「だろうな」


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 夜の山に、少しだけ笑いが残った。


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 モモは消えなかった。


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 アサメも弓を取らなかった。


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 シンは肉を食べた。


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 腕は痛い。


 足も疲れている。


 今日もかなり怒られた。


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 でも、ここにいる感じがした。


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 トン、チン、カン。


 タダ。


 アサメ。


 トリビックリクン。


 そして、木陰のモモ。


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 妙な集まりだった。


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 まとまりなんてない。


 危険もある。


 春にはヤマトが来る。


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 それでも。


⸻


 この夜の炉の周りには、少しだけ居場所があった。


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 シンはそのことを、肉の熱と一緒に飲み込んだ。


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(第四十二話へ)

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