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マギカ・バディ ―魔術とカバディが融合した、究極のノベルスポーツー   作者: 宇枝一夫
第一部 第三章 VS 大凶魔學院 前半戦
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嫌がらせ

 火室を挑発しながら、目黒はまるで獲物を狙う肉食獣のように少しずつ距離を縮め、狩りの瞬間に向けて体の隅々まで力を溜める。

 そして火室の顔も徐々に狂気へと変貌していく。まるで氷耶麻の心の声が届いたかのように……。


「……夜長様のおっしゃっていました。我が大凶魔が目指すのは完全勝利! 龍堂学園なぞ! 我一人で全滅させてくれるわぁ!」


”ボンッ!”


 火室の足下が氷の破片を撒き散らしながら爆発し、龍堂学園コート上を華麗に滑る。

 それと同時に十指からは再び【氷の槍】が形成され、その先端を目黒へと向ける。

「楽にダウンできると思うなぁ!」

 指先から放たれた【氷の槍】は目黒へ向けて一直線にコート上を貫く!


「やべぇ! 【加速】! 【跳躍】!」

 慌てて己の体に術を掛けた目黒は、すぐさま飛来する【氷の槍】を全力でよける。

「ぬおおぉぉ!」

 そして目黒は、コート上を滑る氷室を追いかけ始めた。


「愚かなり! 貴様に出来ることは最早、力尽きるまで犬のように追いかけることしか出来ぬ! 我を挑発したことを後悔するがいい!」

 そんな二人のやりとりを眺める、大凶魔學院キャプテン夜長は、

”トントン!””トントン!”    

と、左右の脚のつま先で、交互にコートを叩く。


((((【マギディ】中止!?))))


 大凶魔のメンバーは再び沈黙し、火室と目黒の追いかけっこを眺める。

 氷耶麻が表情には浮かべぬが、心の中で夜長へ問いかける。

(夜長様、なぜ【マギディ】中止を? 火室の勝ちが確定したから? それとも……)


 後ろに滑りながら十指の先を目黒へと向け、【氷の槍】を断続的に放つ火室。

 自身に向かってくる【氷の槍】を寸前でよけながら氷室を追いかける目黒。

「な! なぜだ! なぜ我の【我が蒼き血で作られし白銀の投槍(ジャベリン)】を易々と避けられるのだ!」

「へっへっ! 目黒流秘伝の回避術だぜ!」


 そんな二人の攻守を眺める倉。

(火室よ。ストライカーの見切りを甘く見るな。ヤツは見てから避けるのではなく、【氷の槍】が生成され発射されるタイミングを見切って回避行動をとっている。いや、もしかしたら


『体内に流れる魔力』


を感じ取っているのかもな)


 そして倉は心の中で妖しく唇を歪めた。

(ただの猪突猛進、脳筋野郎と思っていたが、なかなかどうして、ヤツも戦いながら進化するストライカーの血が流れているという訳か。次に俺と戦う時、果たしてどこまで高みに到達しているやら……。だが! 勝つのは俺だ!)

 

 そんな二人の追いかけっこを寝そべりながら眺めている龍堂学園メンバー。

 白鳥が「ところで……我々はここでくっちゃべっていてもいいのですか? 《神の眼》から警告が来そうですが?」

 甲斐が「意図的にレイダーの攻撃を邪魔したり、話しかけたり、あと、生き残った味方のアンティーに向かって指示をしなければたぶん大丈夫だけど、私もこんなことは初めてだから、もし《神の眼》より指示や警告が来たらおとなしく従いましょう」


 稲津が目黒をジト眼で眺めながら

「あの馬鹿……あれじゃそのうち力尽きるわよ」

 金剛が「でも、あっちもかなりの魔力を消費しているよ。これはもうチキンレースだね」

 鳥居があきれ顔で

「でもさ、あの中二病に向かって【マギディ】が唱えられているんだろ? 目黒の負けは確定だな。おとなしくダウンないし場外に出ればいいものを……」


 そこへ甲斐が「いえ、ちょっと前に大凶魔學院から【マギディ】が唱えられなくなったわ。火室君の勝ちが確定したからなのか……それとも」

「「「「それとも?」」」」


『……火室君を見捨てたか』


「「「「な、なんだってー!」」」」


 甲斐がすぐさまみんなに向かって、人差し指を唇に当てる

 そして、白鳥が冷静に分析する。

「いえ、可能性はあります。楽に五点入るところをちっぽけなプライドにこだわって試合を長引かせているメンバーに、貴重な魔力を送れませんからね。……どうでしょう、ここはひとつ残念な貴公子に向かって嫌がらせをしてみては?」

 白鳥を中心に額を合わせる龍堂学園メンバー達。


 鳥居が「お、おい白鳥! ウチらを殺す気か!」

 金剛が「ねぇ? 下手したら反則にならない?」

 稲津が「しかし、うまくいけばもうけもの。もし正面で滑っているなら無理ですが、背面でコート上を滑っていますし。キャプテン、いかがいたしましょう?」


 甲斐が「……ダウンしたアンティに攻撃することは反則だけど、流れ弾、いえ、もし目黒君との射線上にいたらそれこそ不可抗力で串刺しにされるわ。……みんな、目黒君を信じられる?」 

 甲斐は念を押すように言葉を続けた。

「あと、決して火室君や目黒君に話しかけてはダメよ」

 四人の首が頷いた。


「お、おい! 何だ、龍堂学園の奴ら」

「ダウンしたんだろ? あんなことしていいのか?」

 甲斐を始めダウンしたメンバーの行動は、龍堂学園応援席の男子学生A、Bのみならず、観客席全体をざわつかせる。


 それはデッドエンドラインの中央付近から両翼のサイドラインに向かって芋虫のようにコート上を匍匐前進(ほふくぜんしん)している甲斐、白鳥、鳥居、稲津。


 そして

「ごろごろ~。ごろごろ~」 

 コート中央付近に向かってゆっくりと、丸太のように体を転がしている金剛の姿だった。。

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