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マギカ・バディ ―魔術とカバディが融合した、究極のノベルスポーツー   作者: 宇枝一夫
第一部 第三章 VS 大凶魔學院 前半戦
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吸血

 龍堂学園の初めての【マギディ】に、観客席も男子学生ABもざわめき出す。

「そういえば、この試合で初めての【マギディ】だな。今までチキンレースみたいに【マギディ】なしでレイダーしていたけど」

「ああ、龍堂学園、何か仕掛けてくるな。いきなりの生着替えといい、あのタキシードが何か大技でも……」

「俺的には女子メンバーの生着替え……いや、なんでもないです」 

 突き刺さるような女子、女性からの視線に、再び男子学生Aは下を向いた。


『四……三……』


”バァサァッ!”

 《神の眼》のカウントダウンが続く中、どこから取り出したのか、どこに仕舞ってあったのか、白鳥は黒のマントを取り出し、肩に羽織(はお)る。

 さらに、これもどこに隠してあったのか、二本の牙が生えたマウスピースを口にはめる。

 白鳥は魔女帽子とステッキを手に持ち、ステッキで魔女帽子を叩きながら、どんよりとした顔でやさぐれたように詠唱を始めた。

『あ~もうなんかどうでもいいや。でもいちおうやらせてもらいま~す。え~と、でてこいでてこい、いとしのほのおのとりちゃんや~い』


『二……一』


 しかし、当然のごとく何の反応もしない魔女帽子。

 そして白鳥は怒髪、競技場の天井を突くような怒声を張り上げる!

『でてこい! っつってんだろ! このやろう!』


『……ゼロ』


”どおっっっばあぁぁぁん!” 


 白鳥の”詠唱”によって生み出された”漆黒のモノ”が、魔女帽子の中から間欠泉、いや火山の噴火のように一気に噴き上がった。

「な、なんだこれは!」

 驚く白鳥にかまわず、墨汁(ぼくじゅう)くうにまき散らすように噴き上がるモノ。

 やがてその先端はいくつも分裂し、黒い翼を生やし大凶魔学園のコート中を飛び回る!


「あれはコウモリか!?」

「てことは、あのタキシード、あれは吸血鬼ってことか?」

「そういえば、おとぎ話の魔女にもコウモリがつきものだよな」

 男子学生ABの推理に周りの観客も”おお!”と納得する。


 数十から数百、千を超えようとするコウモリが、絶えることなく魔女帽子から吹き出し、大凶魔学園のコート内を漆黒の闇に包み込む。

「それがどうしたぁ!」

 爆発した倉が己の体を白鳥に向かって跳ばす。


「おっと、これはいけません」

 いつの間にか、不敵な笑みを浮かべるいつもの顔へと変化(へんげ)した白鳥は、コウモリを吹き出す魔女帽子を倉に向ける。

「うおぉぉ!」

 噴き上がるコウモリを吹き飛ばそうと拳を放つが、コウモリ達は難なくかわし、コート上を舞い上がる。

「ばかな! 俺の拳がコウモリごときに!?」


 そしてコウモリの何匹かは倉の顔にまとわりつく。

「くっ! こんな子供だましの術で……」

 慌てて引きはがそうとする倉であったが

「なに! 力が……抜ける!?」

「失礼します倉様。我が龍堂学園の最初の”星”とさせて頂きます」

 背後に回り込んだ白鳥が、【魔力付与】された手の平で倉の背中にタッチする。

「なっ!」

 一瞬固まった倉は、その場で片膝を地面についた。


「あれは魔力を吸い取る《魔蝙蝠(まこうもり)》! それをこれほどまで!」

 夜長の叫びに大凶魔學院メンバーの体に戦慄が走る!

「そんな! 龍堂学園にも夜長様のように闇の術、しかも《召喚術(しょうかんじゅつ)》を使える奴がいるなんて! くそぉっ!」

 そう美月は叫びながらも、四肢にまとった【風の刃】を魔蝙蝠の群れへ向けて放つ!


 それぞれが四つに分裂し、十六の【風の刃】が魔蝙蝠を切り刻もうとくうを切り裂くが、【風の刃】に触れた瞬間、手応えのないまま消滅していった。

「夜長様! こいつらは幻影(げんえい)です! 本物の魔蝙蝠はおそらくそれほど数は!」

「さすが美月様。こうもあっさりと見破られるとは。ですがこの白鳥の、いえ、高貴なる不死(ヴァンパイヤ)の《幻影術(イリュージョン)》。どれが本物か幻影かはそう簡単には見破られませんよ」

 妖しくつぶやく白鳥の体は、魔蝙蝠の幻影によって包み込まれる。


「フン! ならば本体ごと燃やせばすむこと! 【魔炎連射(まえんれんしゃ)】!」

 氷耶麻が左腕を伸ばし指先を白鳥へと向け【魔炎連射】を唱えると、昔のアニメに出てくる巨大ロボットの武器のように、五本の指先から【魔炎弾】がマシンガンのように連射される。

 しかし、数多くの魔炎弾によって魔蝙蝠の幻影が掃除されたフィールド上には、白鳥の姿はなかった。


「いない! ……甘いな、そこだ! 【魔炎鞭(まえんむち)】!」

 これも昔のアニメに出てくる巨大ロボットのように、氷耶麻の右手の平から十メートル以上の炎の鞭が伸びると、辺り一帯をなぎ払い幻影の魔蝙蝠を消滅させたが、白鳥の姿はなかった。


「馬鹿な! ではどこに!?」

「……失礼いたします氷耶麻様。貴方の美しさにこの白鳥、恥ずかしがってただちに姿を現さなかった無礼を、どうかお許しください」

 背後から聞こえる白鳥の声に氷耶麻はすぐさま離れようとするが、【魔力付与】された白鳥の象牙細工のような指が、氷耶麻の細いあごを後ろから包み込むように触れた。


「あ……」

「せめてものお詫びといたしまして、氷耶麻様の《ヴァージンブラッド(乙女の血)》と引き替えに、めくるめく悦楽の時を差し上げましょう」

 今、正にマウスピースで作られた二本の牙が氷耶麻の白い首筋に触れようとしていた。

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