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向宇市アナムネーシス  作者: 金子ふみよ
第七章

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それぞれのアナムネ

 アナムネが出せる以上、それ専用の課程にも突入するわけで、漫画やアニメで言えば修行や鍛錬と言った具合なのだが、簡単に言ってしまえば、全生徒共通のものの他に個別の練習トレーニングと言ったところだ。

 仮和明のアナムネは、ロボット相手に組手をした。柔道、剣道、プロレス、ボクシングなどなど各種格闘術をプログラムされたロボットが相手だ。意識してアナムネを動かすことに困難さが初めはあったが、徐々に手練れ相手でも負けないくらいの身のこなしとなった。また、重量のある物体を動かしたり、移動させたりすることができるか、その重さの測定なんて実験も行われた。

 清瀬阿弥の場合は、研究者も顔を見合わせた。なにせ、ツチノコとUFOと妖怪の合体だから。ひとまずは課程を一つずつこなせるかどうかチェックし、またその他として清瀬のアナムネならではの特殊にできることを検証した。とはいえ、清瀬本人がアナムネをまるでメルヘンな絵画でも見るかのように接しているため、固有の機能がどういうものか調べるのにはなかなかに時間がかかった。というより現在進行形で調査中と言った方がいい。アナムネが何ができるか、というよりも清瀬のアナムネ存在それ自体が、仮和のアナムネとは別の意味で特殊と言えばかなり特殊だった。

 畝摘は、模型を使ってのオペの練習や施術、検査方法の実践などなど本格的な医療技術の習得に余念がなかった。アナムネができるとしても、畝摘自身が無知であったら何にもならない。それは畝摘自身が十分理解していることで、大学の医学部レベルの座学を受けるくらいだった。これは余談だが、細心の注意と集中力の練習と言って、アナムネのあの四本の鋭利な爪を使って、鼻毛を抜くなんて言う個人的な練習をしたこともある。やらされた、と言えばもう被害者とも言いえなくもないのは仮和明と日野出だった。こればかりではない。彼女の個人的なトレーニングに付き合わされた人は枚挙にいとまがないくらいだ。

 日野は、射的だった。と言っても縁日のそれではない。警察の射撃訓練みたいな場所での練習やら、木々の生い茂る森の中からターゲットが無作為に現れては撃ちぬくトレーニング。あと日野に課せられたのは飛距離である。ビル数個分の距離とかを設定させられての練習だった。彼の裏家業を一般の研究者が知っているわけではない。射撃と言う形態自体が物騒と言われればそれまでだが、彼らが設定していた日野の能力の行使するシチュエーションと言うのは、害虫駆除だったり、マラソン大会の時のように怠ける生徒たちに発破を掛けたり、例えば被災があった場合の倒壊の危険性のある建物にマーキングするための特殊液を含んだ弾の発砲だったり、いずれにせよ危害を加えることを前提とはしていなかった。とはいえ、それらが結果的に裏家業にも影響を及ぼしたことが良しと呼ぶか悪しと呼ぶかは日野だけが判断できることであった。


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