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第51話:灼熱のデス・ボルケーノ(と、マグマを自在に操り国を溶かす地殻変動兵器)

「……アリス、聞こえる? 私たちのQOL(生活の質)メーターが、第50話の大パレード(アルマゲドン・グリッド大誤解)で絶対的な安全を手に入れて以降、今度は『ととのい』という名の限界領域トランスを求めて脳内で激しいサイレンを鳴らしているわ……」

「聞こえるわエレン。というか、共有されている私の大脳皮質も、温泉(第30話)の熱伝導だけでは排出しきれない深部の老廃物を、摂氏90℃のサウナによる猛烈な発汗と、そこからの水風呂ダイブによる『温冷交代浴』で完膚なきまでにデトックスしろとストライキを起こしかけているわ。しかし、ただ熱い部屋を作るだけじゃダメ。サウナの魂は、熱を蓄えて極上の遠赤外線を放つ『極上サウナストーン(火山岩・輝緑岩)』にあんのよ!」


シルバーストーン領ののどかな午後。

コタツ(地熱床暖房仕様)で冷たいハチミツコーラ(第42話)を飲んでいた銀髪の双子は、脳内の専用回線テレパシーを同調させ、新たなQOLハックの旅路へと同期していた。


前世は三十代の理科教師、成瀬健一。

領地内の安全がカンストした今、次なる野望は「自宅で本格フィンランド式サウナ」の構築。

目指すは、隣領との境界にそびえる不気味な休火山「デス・マウンテン」の火口付近に転がっているという、耐熱性と遠赤外線効果が段違いの極上サウナストーンの採取である。


「いい、エレン。デス・マウンテンの火口付近は、常に有毒な硫黄ガスが立ち込め、気温は摂氏60℃を超える地獄よ。普通の人間なら一瞬で熱中症とガス中毒で倒れるわ。そこで、物性物理学に基づき、外部の灼熱を電気エネルギーに変換して内部を常に冷やす『耐熱・耐酸ステルス探査スーツ』をDIYするわよ!」

「最高ねアリス! 灼熱をエネルギーに変えて自分を冷やす……これぞ熱力学に対する最高にロックな逆襲(DIY)ね!」


二人の『二心同体デュアル・コア』が、火山攻略に向けて完全同期した。


アリス(理論・設計・数理担当)が、熱電素子による「ペルティエ効果(電流を流すことで熱を移動させる現象)」のハックを脳内でシミュレートする。


「電熱能Πにおいて、ペルティエ熱流Qの公式はこうよ」


 Q = Π I


「エレン、高分子シート(第29話)の間に、ゼーベック効果とペルティエ効果を同時に引き起こす極薄の魔導熱電変換素子をグリッド状に配置して。外部の熱がスーツに触れた瞬間、それを魔力(電気)に変換して熱電冷却素子を駆動させ、スーツの内部温度を常に摂氏20℃に維持するの。有毒ガスは、活性炭と微細高分子フィルターによる物理ろ過(第43話)で完全に無力化するわ!」

「任せなさいアリス! 魔の森のクモの糸と熱可塑性高分子ね。私の指先、今から厚さわずか0.1mmの冷却チューブを網の目のように織り込む『超高速高分子延伸プレッシャー』モードに入るよ!」


エレン(実技・精密工作・フィジカル担当)の指先が、残像を置き去りにして動き出す。

キィィィィンという超高周波の魔力刃を放ち、クモの糸とフッ素高分子を分子レベルで融合させ、耐酸性・防護性、そして自己冷却機能を備えた、驚くほど伸縮性のある「全身タイツ風のステルス探査スーツ(色は不気味な漆黒)」を2着、ものの30分で縫い上げていった。


さらに、アリスは火山弾の隙間に眠る極上サウナストーンをピンポイントで特定するため、地震波トモグラフィーを応用した「超音波地層スキャンレーダー」の設計図を脳内に展開。


「エレン、第45話で採取した極小水晶(ピエゾ素子)をハックして、地面に指向性の超音波をピピピと発信するアンテナを削り出して。反射して戻ってきた弾性波の速度差から、地殻の空洞やマグマ溜まり、そして輝緑岩(サウナ石)の鉱床を3次元マップで透過表示するわよ!」

「オッケーアリス! 物理探査レーダーのピエゾ振動板、私の指先超精密エンドミルで0.001mmの誤差もなく削り出して物質化してあげる!」


一人が「物性物理・弾性波解析シミュレーター(ソフト)」、一人が「ナノ精度高分子成形&ピエゾ切削ハード」。

二人の神がかり的な調和により、夕暮れ前には、不気味に黒く光るモコモコの全身タイツ(耐熱スーツ)と、真鍮製のアンテナが飛び出た「地層スキャンレーダー」が爆誕した。



翌日。

モコモコと不気味に黄色い硫黄の熱気を吐き出す、デス・マウンテンの火口付近。


チチチチ……ピピピピピ……。


不気味な漆黒の全身タイツ(耐熱スーツ)に身を包んだ、全高110cmほどの小さな双子が、灼熱の地獄の中を「はふー、スーツの中が涼しくて極楽だべ」とのんきに歩いていた。

アリスがレーダーのスイッチを入れると、アンテナから「ピピピ……」と青い魔力光のパルスが地面に照射され、アリスの共有視界に地下のマグマの流路と、お目当てのサウナ石の座標がくっきりと投影された。


「エレン、前方3メートル、地下50センチの位置に完璧な密度の輝緑岩(サウナ石)があるわ!」

「よっしゃ! 掘り起こすわよ! 『チタンピッケル・超高速カンカンモード』!」


エレンが背中のチタンピッケルを抜き、

カンカンカンカンカンカン!!!

と、凄まじい残像を伴う超高速の打撃で火口の岩肌を削り始めた。


「チチチ、ピピピ……」と怪しい魔力レーダーを地面に突き刺し、

「カンカンカン!」と不気味な全身タイツの幼女たちが、火口の崖をゴリゴリと削り取っていく。

その様子は、ただの「サウナの部品調達」なのだが、火山というシチュエーションがそれを最悪の終末イベントへと昇華させていた。



その頃。

デス・マウンテンの火口の崖上、硫黄の煙に巻かれながらガタガタと震え、サングラス(第46話)を外して涙を流していたのは、隣領の超一流隠密スパイだった。


「お、おい……嘘だろ……。あ、あいつら……ついに、大地の怒り(マグマ)まで完全に掌握しおった……!」


スパイの視界には、

有毒ガスと摂氏60℃を超える地獄の火口で、防護結界すら使わずに、不気味な黒い皮膚(※ただの耐熱タイツです)のまま平然と歩き回る双子の姿。

そして、その手には、不気味に青い脈動光(※ただの地層スキャンです)を大地に突き立て、大底のマグマの流路をリアルタイムで解析している謎の魔導具。


さらに、その魔導具の指示に合わせ、

「カンカンカンカン!」と凄まじい衝撃波を大地に叩き込み、火口の岩盤(地殻の急所)を物理的に破壊している悪魔の双子。


「あ、あれは……! あの魔導レーダーで大地の地殻の最も脆弱な『急所(マグマの流路)』を正確に特定し、意図的に大噴火や地盤沈下を引き起こして、我が領を、いや、大陸ごと一瞬で溶岩の海に沈める終末の大陸破壊超兵器――『プルート・デス・インフェルノ』だ……!!!」


スパイの背筋に、溶岩を直接流し込まれたかのような凄まじい恐怖が走る。

ただのサウナストーンの採取なのだが、彼にとっては世界を溶かす「大地のハッキング」にしか見えなかった。

あのピッケルが振り下ろされるたびに、地底のマグマが双子の思い通りに流路を変え、隣領の王都の真下で大爆発を起こすのだ。


「に、逃げろ……! ここにいたら、あの大陸破壊兵器の起動テストに巻き込まれて、骨まで溶岩で溶かされて消滅するぞォォォ!!!」


隠密は、あまりの「地殻変動兵器」への恐怖と、逆光のサングラスを握りしめたまま、

白目を剥いて泡を吹き、転がるようにして煙が渦巻く登山口へ真っ逆さまに卒倒、そのまま這い逃げていくのだった。



その夜。

シルバーストーン家の庭に、新たに増設された「ヒノキ造りの極上フィンランド式サウナコテージ」。

中には、デス・マウンテンからお気楽に持ち帰った「極上サウナストーン」が、ストーブの上で真っ赤に熱せられていた。


ジュワァァァァァァァァァン!!!!!


アリスが温泉水(第30話)を石にかけた瞬間、極上の遠赤外線を含んだ、脳を優しく包み込む「高温の極上蒸気ロウリュ」がサウナ室内に充満した。


「「――う、ひょおおおおおおおお!!!」」


「ととのう……! 温泉水のミネラルと、サウナ石の熱が、私の大腿四頭筋の深部乳酸を分子レベルで消滅させていくわ、アリス!」

「最高よエレン! ここから、第7話の魔法冷却箱でキンキンに冷やした水風呂にダイブするのよ! これぞQOLの頂点、サウナ帝国の完成よ!」


窓の外では、月明かりの下、ガシャガシャと木製のお掃除ロボ(第36話)が、静かにサウナハットを扫き清めていた。

領外の広大な世界には、目に見えない「極限の物性物理・熱力学」と、隣領を世界の終焉レベルの恐怖に陥れる「マグマを操作して国を一瞬で溶かす、恐るべき地殻変動兵器の噂」が、優しく、そして最高にお気楽に広がり続けるのだった。

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