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第117話:空から降る黄金の雲海

「……アリス、聞こえる? 私たちのQOL(生活の質)メーター(イベントフィナーレ部門)が、お化け屋敷(第114話)やフローズン(第116話)を乗り越えた今、特区中の全領民の胃袋が、最後を飾る『あの黄金に輝く、甘香ばしい雲の塊』を求めて、かつてない強烈な求道(絶叫)パルスを送信し始めているわ……!」

「聞こえるわエレン! 確かにおでんやラーメンもいいけれど、最後に必要なのは、どんな悲しいことも忘れて童心に帰れる、あの『空から降ってくる大量のキャラメルポップコーン』よ! しかも、ただ降らせるんじゃダメ。アリスの熱力学による膨張エネルギー管理と、エレンのからくり射出技術を融合させ、一瞬で領地全域を甘い香りで包み込む『全自動・大気圧爆裂ポップコーン大砲』をDIYするわよ!」


シルバーストーンQOL巨大観光特区のリビング。

完璧に除湿されたドライコタツ(第65話仕様)の中で、キンキンに冷えたハチミツレモネード(第26話仕様)を啜りながら、銀髪の双子は、脳内の専用回線(テレパシー)をかつてない「キャラメル熱」で同期させていた。


前世は三十代の理科教師、成瀬健一。その知識と異世界チート能力を駆使し、お気軽極楽に「食の楽園」を完成させるため、双子の超絶同調(デュアル・コア)が再び火を噴いた。


「いい? エレン。ポップコーンの爆発はね、豆の皮内部に含まれる極微量の水分が、高温によって『過熱水蒸気』となり、急激な体積膨張を起こす現象よ。豆の内部の飽和蒸気圧と、そのエネルギーを閉じ込める『皮の破断応力』の関係式はこれよ!」


 ΔP・V = nRT


「(ここで内部圧力をΔP、体積をV、温度をTとするわ! 密閉した圧力釜で5気圧(約500kPa)、温度180℃まで一気に過熱し、内部の水分を限界まで『過熱水蒸気』の状態に持っていくの。そして、エレンが開発した超高速パージレバーを一瞬で解放(パージ)! 釜の内部と大気圧の圧力差が、『ポン!』と物理的に相転移(爆裂)を起こして、デンプンを一気に膨らませるわ! エレン、この設計図に沿って、5気圧に耐えうる『チタン製高圧キャノン』を成形して!)」

「最高よアリス! 豆の内部で起爆する、食の爆弾ね! だったら、私の『超精密魔力クラフト・3次元切削(120,000 rpm)』、出力最大で鉄の砲身を組み上げてあげる!」


エレン(実技・精密加工・物理演算担当)の指先から、バチバチと精密な魔力放電が散る。アリスが脳内CADで算出した「最高効率の過熱水蒸気充填・パージ口」の3D設計図に沿って、エレンはチタンプレートを一瞬で堅牢な高圧砲身へと成形し、その中に水晶ベアリング(第48話仕様)の調圧バルブを敷き詰めた「一瞬で全開放する大砲」を組み上げていった。


一人が「幾何学曲線&爆裂エネルギーシミュレーター(ソフト)」、一人が「ナノ精度放電カッター&チタン一体成形(ハード)」。

双子の超絶連携により、特区の広場には、金色に輝くチタン製の、空を見上げる「巨大な黒い砲身」が爆誕した。


1.キャラメル・メイラードの黄金比


次に、このポップコーンに絡める「キャラメルソース」のDIYである。

「ただの砂糖じゃ芸がないわ。砂糖(スクロース)を摂氏180℃でじっくり焦がす『カラメル化反応』と、バターの乳脂肪分を焦がした『ブール・ノワゼット(焦がしバター)』を乳化(エマルション)させて、脳を直接ハッキングする黄金のソースを作るわよ!」


アリスが「メイラード反応におけるアミノカルボニル反応」の化学式を構築し、エレンが真鍮の特製ミキサーを魔力で超高速攪拌。

コタツの横で、ゴォォォォォォォッ……という甘く香ばしい香りが漂い、チタンの砲身の先で「真っ白な爆裂」が臨界点へとチャージされていく。


2.特区広場・ポップコーン・パーティー


その日の夜。

完成した『ポップコーン・キャノン・ボム』には、特区の住民たちが集結していた。


「さあ! 第一回『シルバーストーン・特区ポップコーン・フィナーレ』の開幕よ! この大砲をクリアした……じゃなくて、空から降ってくる大量のキャラメルポップコーンを、誰が一番エレガントに、かつ山盛りに食べきれるか! 優勝者には、明日の『お掃除ロボのメンテナンスお休み権(第86話仕様)』と、豪華ハチミツセットを授与するわ!」

アリスがマイクを握りしめ、特区の全領民に向けて叫ぶと、広場からは「おおおっ!!」「双子様万歳!!」と割れんばかりの歓声(※ただの居酒屋のノリです)が上がった。


コタツBarから這い出てきたイゾルデやアルド、エドワード、レイラも、みんなお揃いのサウナハット(第51話仕様)を被り、ノリノリでバケツを構えた。


「アルド! 覚悟はいいか! この空から降ってくる黄金の雲海を、わたくしの騎士のプライドにかけて受け止めてやりますわ!」

「ヘヘッ、イゾルデ様、このポップコーンの香ばしい匂い、めちゃくちゃ脳にくるっすよ! さあ、射出だべ!!」


パァァァァァァァン!!!!!


電磁加圧(という名の水蒸気爆発)が火を吹き、3万粒の豆が一瞬で空中で「パパパパン!!」と白い花を咲かせながら、広場全体に黄金の雲が降り注いだ。


「「「ーーーっっっっっっ!!!」」」


絶叫する領民たちの笑顔、そして大空に舞う無数の白い弾丸(ポップコーン)。

あまりの美味しさと、アリスが化学的に計算し尽くした「バターとキャラメルの黄金比」の刺激に、イゾルデやアルド、そして乗り込んだバイトの面々も、大笑いしながらポップコーンの海の中にドロドロに沈んでいった。


終わった後の広場では、

「おい、このポップコーン、脳を直接ハッキングしてくるぞ……!」

「あははは、もう一バケツ! もう一バケツおかわり!」

と、大興奮で絶叫する面々。


そのまま彼らは、特設のコタツBarへと雪崩れ込み、

「第一回・ポップコーン・フィナーレ」の表彰式が始まった。


「勝者は、誰よりも綺麗な姿勢でポップコーンをバケツにキャッチしたイゾルデ! さあ、特製から揚げ(第67話仕様)と黒エール(第10話仕様)を、好きなだけ食べなさい!」

「ふふ、わたくしの騎士のプライド(キャッチ力)が認められましたわね。最高にお気楽で美味しいですわ!」


アツアツのから揚げを頬張り、冷えた黒エールを喉に流し込み、みんなで大笑いしながらゲーム大会に熱狂する夜。


「アリス、成功ね。このポップコーン・フェス、みんな脳がとろけてるわ」

「ええ、エレン。熱力学の相転移と、分子化学をハックして、QOLを極限までブーストした甲斐があったわね」


窓の外では、月明かりの下、ガシャガシャと走る木製のお掃除ロボ(第36話)が、静かに庭に落ちたポップコーンの屑を掃き清めていた。

領内には、目に見えない「極限の熱力学・爆裂制御技術」と、隣領の貴族たちが「王都を粉砕する、甘い香りの毒胞子兵器」と(※以前のパターンで)勘違いしそうになるほどの圧倒的な迫力(※ただの甘いおやつです)の噂が、優しく、そして最高にお気楽に広がり続けるのだった。

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