十五話 葬儀
あらかた国内の問題が片付いたのちイエキヨ様が一つの提案をする。
「勇者の剣も戻ってきたことだし。兄上と今回の戦の死者も含めてまとめて供養しよう」
「それは良きお考えかと」
アキタダも追従する。結局イエアキはあの争いで亡くなっており、体を狐に乗っ取られていたのだ。弟の供養をしたい彼からすれば願ってもない話だろう。カツラギ家は結局一族が皆死ぬという結末を迎えた結果跡継ぎが居なくなっており、アキタダの娘とランマルを結婚させて継がせる計画が密かに進行しているらしい
私としてもある程度顛末を見届けたと感じているし、何よりヒイラを追わなければならない。葬儀は一つのいい区切りになるだろうし、それを終えれば連邦へ向かうことにしよう。
葬儀は盛大に執り行われることとなったまず、勇者一行の葬儀としてイエキヨ様、レイオット、私に連邦の代表がそれぞれ祈りの言葉を捧げる。いまだ公式に魔王はヒイラであることはマグナとしても教国としても不都合が過ぎるということで発表されていなかったため、私は行方不明になったヒイラの子として葬儀へ参加した。
いまだに魔王城近辺の毒は非常に強力であり、勇者たちの遺体の回収は出来なかったので姿形を象った石造に祈りを送る。
次にこの戦での死者が弔われる。代表としてアキタダが祈りを捧げ、次に都に集まった親族たちが建立された碑に一人ずつ別れの挨拶を送る。焼け落ちた村ではニヘエとイチマルの遺体が見つかったのち、焼け落ちた村長宅の程近くで記憶を失い保護されていた村長一家が見つかった。彼らは長い間至近距離で狐の少女の洗脳を受けていたために記憶が戻るのは難しいということであった。
それでも碑に向かい祈りを捧げる村長の目には確かに涙が流れているのであった。
一通りの葬儀を終えると私はイエキヨ様達に別れを告げて連邦へと向かう。ヒイラとのやり取りを見ていた彼等は私を止めても無駄であると直感しているのか寂しそうに「分かった」と呟くのみであった。
イエキヨ様は道中の護衛としてランマルを付けてくれるという話だ。どうやら彼はヒデムラが大名を降格になったのに、自分だけ大名になるなど出来ないと固辞していたらしく、考えを変えるためのリフレッシュがてらに連れて行ってほしいということであった。
ヒイラ達が連邦方向に逃れていったことはいろいろなとことから目撃情報が上がっているため間違いないだろう。私は再び彼に会うために帝都から連邦方面、連邦と隣接する都市アサマへと向かうのであった。




