十話 末路
アズマ領 ムサシ・ヒデキヨ
崩壊は突然だった。マツシマを攻めていると思ったら急にこちらにクラマ家が襲い掛かったのだ。ランマルに詰め寄っても何も聞いてないと言うしとりあえずアズマとアサマに合流すればあんな奴返り討ちに出来るはず・・・そう考えて彼らのもとに向かったのだが
見た光景はアサマが下人の配下と共にアサマに、ヒデムラに襲い掛かっている姿だった。
それでもヒデムラならなんとかしてくれると思い彼の元まで死ぬ思いでたどり着いたが、そこにいたのは体中に魔法攻撃を受けたのであろうボロボロになったヒデムラであった。
「ひ、ヒデムラ!お主ともあろうものが何をしておる!」
「アサマが裏切りました。その様子を見るとクラマもですな!」
「あっ、あぁ!ぞうだあのバカ!下人なんぞに尻尾振りやがって!!」
「言っている場合ですか!このままではいずれここも飲み込まれますぞ・・・この戦は負けですこれより、我がアズマへ撤退します。」
しかしこのような状況から逃げ延びるなど容易なことではなく誰かが逃げ道を確保せねばまず始まらないらしく、ヒデムラは軍の総指揮がある。そこで名乗りを上げたのはランマルだった。
「私の父の裏切りは私の責任。ヒデキヨ様がお逃げなされるまで私が持ちこたえます・・・アズマ殿あとはお任せしました。」
「待て!ランマル!其方まで俺から離れる気か!?」
我ながらなんと情けの無いことだろう。あれだけ普段からわがまま放題していた二人にどれだけ救われれば気が済むのだろうか。思えば勇者が、兄上が死んだとき下人は、兄は私と手を取り合って帝国を盛り上げようとしていた。一体いつから私は兄のことを下人と呼ぶようになったのだろう。
それでもこの二人を死なせるくらいならまだ自分が犠牲になる方がマシである。兄も鬼ではない。私が命を懸けて二人の助命をすれば無罪とはいかなくても命までは取られないはずだだから・・・
「後は任せたぞランマル」
俺は今なんと言ったのだろう?何かがおかしい・・・そもそも俺は兄と争うのではなくもっと違う・・・
《ランマルには年寄りや裏切り者に近い奴を付けろ後の戦える者は俺を守れ!!》
こんなことを言いたいわけではないのに自分の意志とは関係なく言葉が私の口からこぼれていく。ここで終わりにしたいそう言おうとしても意識は少しずつ失われていく。
コンコンと鳴く鳴き声が私の耳をくすぐる。
「お気づきになられましたか!?」
目を覚ますとヒデムラに抱えられてアズマへ撤退している最中であった。
「この森を超えればアズマです!今しばらく辛抱なされませ!」
そうして見えてきたアズマに掛かっていたアズマ家の紋章だが、それはヒデムラの身にまとう紋章とは似ていても異なった紋章であった。彼の留守を任されていた彼の叔父が見張り台へと現れる。
「叔父上・・・何をなされている?開門されよ!ヒデキヨ様もおられる」
「ヒデキヨ様が居るからいかんのんじゃ!このままではアズマは滅亡だぞ!すでに皇帝はイエキヨ様となった。その謀反人を引き渡すがよい」
ヒデムラの身内であってももはや私についてきてはくれないようだ。私の第一の家臣であるヒデムラの叔父である彼にも何度もあったことがあるし彼にも幾度となく無茶ぶりを行ってきた。
「ヒデキヨ様申し訳ありませぬ。我が身内ながら裏切るとは・・・こうなれば我命と引き換えにでもこのアズマ取り返してご覧に入れましょう。その後は連邦を頼りなさいませ。諦めてはなりませんぞ」
そう言ってヒデムラがアズマへと攻撃を仕掛けようとする。
「辞めよ!」
「ヒデキヨ様・・・」
「無駄死にだ・・・退くぞ」
そうしてもともと潰走し数が少なかったアズマ隊はその数を一人一人と減らしながら帝都へと向かう。こうなればイエキヨと一騎打ちにて決着をつけてやる。奴が受けなければ逃げた皇帝として一生蔑まれるだろうそれを考えれば溜飲も降りるといったところである。
⦅本当にそうであろうか⦆
帝都まで近くとなった神社で休んでいると懐かしい顔と出会った。
「そなた生きておったのか・・・」
「お久しぶりといっても数週間でございますが・・・」
それは見捨てたはずのランマルであった。彼の手勢5人とアズマの手勢10名で帝都へと向かう。街道へと出た時だった。私の顔を見たことがあったのであろう者が声をかけてくる。
「もしや・・・ヒデキヨ様か!拙者カツラギ家家臣シラキと申す。神妙になされよ」
「下人ごときが私を捕らえるか!イエキヨに合わせろ!皇帝を名乗っているようだが分不相応。その首叩き落してやると!!」
そうして俺たち一行は捕らえられることになった。俺の言葉が伝えられたのかそうでないのかはわからないが俺は後日イエキヨの前に引き出されることになった。




