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九話 破綻

シキシマ家にアサマ家、クラマ家から書状が届いたのはほぼ同刻であった。事前の知らせでイエアキがクラマを撃破してマツシマに乗り込んだことは知っていたがいざ本当に生きていると知らされると安堵するものがあった。


私は勇者の剣をイエキヨにお返ししたので、これで戦士の国、連邦へ旅立ってもよかったのだが剣を託した身としてさすがに最後まで見届けることにしたのだ。


「クラマ、アサマともに私の下に従うということだ」


部屋の中にあつまっていたハシダテ、アマギ、アキタダが歓喜の声を上げる。


「であれば、後は総攻めあるのみですな!私もアマギ殿もハシダテ殿も兵の用意は出来ております。ご命令があればいつでも・・・」


「お待たせいたした!」


そういって騒々しく部屋に入ってきたのはヒイラであった。


「ヒイラ殿!?マグナへ戻っていたのでは?」


「それはそうなんだけどな・・・」


ヒイラがいうにはトキワに入ったころに開戦を知ったヒイラは周辺の町の領主に話を付けあたりで集められるだけの魔法兵を集めてきたということだった。さらに万が一に備えすでに法都から精鋭の魔法部隊5000がこちらに向かっているということであった。


そこでイエキヨ様は作戦を練り直し一旦集まった軍を率いてマツシマへ、そこでアサマ家、クラマ家と合流。その場でヒデキヨを捕えられれば良し、そうでなければマグナの軍勢を合わせて総攻撃するといった作戦であった。


早速マツシマへ向けて兵20000が進行する。今回は私はイエキヨ様の軍馬としての参戦だ。


マツシマへ向かう途中ヒデキヨ側に従っていた小さな領主達は戦うことなくこちらへ降伏してくるため、マツシマへ着くころにはさらに1000人ほど軍勢が増えていたのだった。


マツシマ近辺の開けた土地で私たちを向かい打つべくアズマ家とアサマ家の軍が陣を構えていたが事前にアサマ家はこちらが合図すれば裏切る算段であるため、実質的には敵はアズマ家の5000だけであった。


そうでなくても兵力差は二倍以上あり、圧倒的にイエキヨ優勢であることは明らかであったため、アズマ家にも降伏をするように使者を送ったが帰ってきた答えは拒否であった。


使者が戻ってすぐアズマ家の先陣が襲い掛かってくる。


そうして戦闘の火ぶたが落とされたがいかに精強はアズマ家であっても、四倍の敵を止めることは困難を極めた。その上に明らかに隣で布陣しているアサマ家の様子がおかしいのである。そちらを警戒しながらともなると余計に押され始めていた。


アズマの陣ではアズマが必死にアサマをイエキヨに襲い掛からせるべく指示を出したものの動きを見せないアサマ家に対しいらだちが募っていた。


「アサマに突っ込ませろ、右翼の援護だ!このままでは抜かれるぞ」


「動きません、アサマ勢一切の動きを見せません!」


「おのれぇ裏切ったなアサマぁ」


その時マツシマ側から大軍勢が押し寄せてくる。一瞬味方かと思ったが、それは向ってきた軍勢のごく少数で多くはマツシマ家の兵とクラマ家の兵であり、ヒデキヨの親衛隊を追撃していた。

こうなると合図などあっても無くてもアサマ家は動いた。突如横にいたアズマ家に襲い掛かったのだ。こうなるとどうしようもなくアズマ家の軍勢は潰走し私たちはついに合流を果たしたのだ。


そういてアズマ勢を平原から駆逐したのち三人の大名がイエキヨの陣にあいさつに来る。


「お久しぶりでございますなイエキヨ様クラマ・ツナマルお約束通りお見方します。」


「同じくアサマ・ヨシトモお味方します。」


「お助けいただき感謝の念に堪えませぬ、今後もマツシマ家は忠義を尽くさせていただく。」


三者がともにイエキヨ様に頭を下げる。ヒデキヨとアズマはどうやら逃げ延びたらしくアズマ領へと撤退していく姿が目撃された。しかし、もはや彼らは脅威ではないということか、八大名家のうち七つがイエキヨ様の支持を表明したことでついに公式にイエキヨ様が帝位を継ぐことが皇族の会議で決定されたという話だった。


これにより残党はもはや公式に賊軍となり、一兵、一兵その数を減らしていった。内乱の終結まで秒読みであった。

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