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六話 急襲

アマギ家、アカギ家を交えて会談を行いアカギ家にも了承をもらい、ヒイラがマグナ本国に承認と援軍を集めに行った後、私たちがシキシマに帰還している最中、みたことのない兵が息を切らしてこちらに向かってきた。


「止まれ!・・・マツシマの兵?なぜこのようなところに」


「もしやイエキヨ様ですか!?緊急です!こちらの書状を!」


そう言って兵はイエキヨに書状を渡して息絶える。よほどに急いで来たのだろう治療するまもなかった。アキタダが書状を取り上げイエキヨに手渡す。イエキヨが急いで書状を見ると段々とその顔が青くなる。


「如何しました?」


「マツシマが包囲されていると・・・ヒデキヨが遂に動いたのだ」


マツシマというのはカツラギとシキシマと同じく第二皇子を支える大名家である。もう一家ハシダテ家を含めた四家が当初の第二皇子陣営であった。さらに第二皇子の母親はこのマツシマ家の家臣の家の出身らしく状況は非常に緊迫しているようであった。


大急ぎでシキシマに戻り兵を集める。マツシマは帝国の領土では西寄りでシキシマ家を始め東寄り領土の家が主力の第二皇子陣営の中で浮いた位置にあり、最も西に近いカツラギ家から先遣隊が出されることとなった。出陣を命じられたイエアキは大急ぎで自分の領地へ帰り戦の用意をしていた。


その後マツシマから来た知らせによれば、マツシマを包囲する軍はアズマ家、アサマ家を主力に15000。クラマ家の軍3000がこちらに来ないよう道中にあるクラマ家の領地に立てこもっているという話であった。対してこちらは先遣隊のカツラギ家が2000、残った四家を合わせて20000といったところである。


「あとはマグナからの援軍が間に合うか否か・・・」


ヒイラがマグナに援軍を求めに出てまだ一週間もたっていない。恐らく援軍は来てもだいぶん先だろう。さらに続々とマツシマから情報が入ってくるが基本的には私たちが劣勢であるという報告ばかりであった。なにより不味いのがマツシマには食料があまり残っていないということであった。


「では食料だけでもなんとか輸送するべきですな、援軍をまって全軍で決戦。それまでは籠城してもらいましょう」


アキタダがイエキヨに進言する。イエキヨとしては自身の支持基盤でもあるマツシマを一刻も早くすくいたいが他に良い案もないためしぶしぶ頷く。しかし、問題はどうやって食料を輸送するかである。


「ではカツラギ勢にクラマ勢を抑えてもらいその隙に私が精鋭を率いて強行輸送といきましょう」


「それはなりませんなぁ」


そう言って部屋に入ってきたのはもう一人のイエキヨ陣営ハシダテであった。マツシマ包囲の知らせを聞いて急いで駆けつけたのだ。腰も曲がった年寄りであるハシダテだが現在は当主ではなく、当主は幼少の孫が継いでいるのだ。


「あなたは指揮を執ったことのないイエキヨ様に代わって総指揮を取らねばならんでしょぉ・・・イエキヨ様ぁ儂が行ってきますぅ・・・宜しいですねぇ」


「御身は御年でございましょう!私が・・」


「頼めるか、ハシダテ」


「よろこんでぇ」


イエキヨがアキタダの反対を押し切りハシダテに任せる。そこで、イエキヨ、アキタダの直轄兵をハシダテが指揮する強行輸送隊が編成される。本来なら大勢数を揃えるべきであるがハシダテが少数で目立たずに行動する方が成功するとのことで少数精鋭に絞った部隊となる。


「では数は2000程つけましょう、それでよろしいですね」


「うむ、十分ですぅ」


幸いにしてもともと第二皇子派は戦などしなくても生計が成り立つ・・・要は豊かな大名が支持していたこともあって金銭や食料は豊富にあった。そうして食料と物資を持った軍隊がシキシマを後にする。その中にはイチマルの姿もあったのだった。


「しかし、これでなんとかなるのであろうか」


「あのご老人も基は武闘派として名を挙げたかた、あとは任せましょう」


しかしながらマツシマへと向かう最中、突如として発生した霧により部隊は離散しハシダテをはじめとする輸送主力部隊はあらぬ方向へと道に迷ってしまった。結果として輸送隊で無事マツシマ近辺まで接近できたのは輸送用の食料を運搬して隊列から離れていたイチマルたちの部隊だけであった。


のちに周辺の村人に聞いた話ではこの前後数日は快晴で霧など一切発生していなかったらしい。


地獄の内戦が幕を開けたのであった。

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