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Spell Driver (スペル ドライバー)  作者: vurebis
いざ魔法の街へ 〜フナリス編〜
18/33

17話 罠で返す罠

サリス達が放った魔法は爆発音を響かせた。広場に残ったのは化物の亡骸とそれを見る黒のドレスの女。

「サリス君!! 大成功だね〜?さて、これで化物は居なくなったよ?キミはさっきの化物と今持っている杖だけが武器だったみたいだけどまだ戦いを続けるのかなぁ?」


近くの家の屋根から飛び降りてきたリューシュはサリスの元へと駆け寄ると女の方を向き挑発するようにニヤリと笑みを浮かべる。


「ふふ。私の犬をあんなにも汚く殺すなんて貴女酷いことするのね。少しショックだわ。あれだって美しく作るように創るの苦労したのよ?使える所同士くっつければまだ動くかしら」

女は笑いながら焼き焦げた死骸に杖を向ける。


「リューシュ!離れろ!近くの市民を逃がしてくれ」


「了解っ!また後で!」


警戒したサリスはリューシュに離れる様に叫ぶ。リューシュは近くの家の屋上に飛び退く。


すると魔法の餌食にならなかった部分がひとりでに動き出した。

ある死骸からは腕、ある死骸からは目玉。そうして集まった化物の体の一部達はグチュグチュと音を立て、ひとかたまり巨大な肉塊となり空中に浮かぶ。


「おいおい、あれが美しいなんてあの女やっぱ医者に診てもらった方がいいぜ?」


サリスは乾いた笑いを上げ半歩ほど後ずさりする。


「ふふ。同じ男に2回も計画を潰されると少しは怒りが込み上げて来るものなのね。私決めたわ」


女はさらに肉塊に向かって杖を振る。


「私のとびきり美しいヨトゥンでお仕置きするわ。憎き魔術師さん」


肉塊は空中に浮いたままビクンと脈うち歪に形を変えていく。そこから巨大な怪物に変化が終わるのは一瞬だった。

丸太のような腕は二対四本、それぞれの指先はどす黒い赤色の光が灯っている。巨大な上半身とは対照的に下半身は人間ほどの大きさでかなりのアンバランスな見た目だった。


「グゴルアァァアァァァァア!!」


「おいおい! なんで俺の二つ名知ってるかは知らんが、こんなでけぇなんて聞いてねぇぞ! 」


耳をつんざく化物の咆哮にサリスは耳を塞ぎながら叫ぶ。


「うふふ。少しは後悔してくれたかしら?このベルコを怒らせたこと。私とヨトゥンで心置き無く殺してあげるわ」


クスクスと笑うベルコと名乗った女は巨大な化物、ヨトゥンと共に地を蹴りサリスとの距離を縮めていく。


「っく!『テラ・スチール』!」


すぐさま片手剣を抜き魔法を詠唱。一瞬で片手剣を鋼化させヨトゥンの攻撃を弾いて対応する。拳と剣がぶつかる度に甲高い音があたりに響く。


四本の腕は何発も振り抜かれサリスはジリジリと防戦へと追い込まれる。


「防ぐのが、やっと、だなっ、くそったれ!」


「私も混ぜてくれないかしら?私も貴方が汚く苦しむ顔が見たいわ」


ヨトゥンの後ろから姿を現したベルコはいつの間にかレイピアを手にしていた。握った長いレイピアを突くようにしサリスを更に追い詰める。


「おい!なんでお前がレイピア持ってんだよ!」


サリスは死角からの予想外の攻撃に一瞬意識が逸らされてしまった。


「よそ見とはバカにしてくれたものね!!ヨトゥン!やりなさい!」

「ゴァァアァァァァアァ!!」


「なっ!」

ヨトゥンが拳を振り抜くとサリスの頭は弾け飛びドスドスと頭の破片が飛び散り地面に落ちる。


「あははははっ!遂に殺したわ。忌々しい魔術師サリス!」


倒れたサリスの身体を見るなり高笑いをするベルコ。ヨトゥンはベルコの側まで戻りしゃがんで待機といった様子だ。





「よそ見はそちらも。だな。厳密に言うと見間違えかな」


ベルコがしばらく笑っていると男の声が地面から響いて聞こえる。


「誰!?見間違えですって?確かに私はサリスを殺した筈よ」


ベルコはあたりを見渡すが誰もいない。


「探したって無駄だ。貴女じゃ絶対に見つけれない。それよりそのヨトゥンって化物が砕いたのは本当にサリスかな?」


ベルコはヨトゥンをその場に待機させたまま倒れたサリスの首無し死体へと歩く。


まず最初に気づいた異変は一目で分かった。


「血が流されてない・・・」


更に男の声が聞こえる。

「それ、岩で出来ているから血なんて出る訳ないですよ。少し注意力が足りなかったみたいですね。暗かったから見えなかったという事にしてあげます」


「魔術師風情がこの私をバカにしてッ!!!こんな汚い物砕きなさい!」


「グガアァァァアァァ」

あからさまな挑発にベルコは怒り狂い、はヨトゥンを動かし岩で出来ているサリスを粉々に砕いた。


地面に向かって四本の腕は次々に叩き込まれドスンドスンと地響きの様な轟音が響く。



「怒りに任せるから注意力が足りないって言っているんですよ。」


突然背後から聞きなれた男の声がした。先程まで地面から響いていた声。しかし今は地面からではない。直接声をかけられた。


ベルコが振り向くと、飛び上がり不動槌レザールを振りかぶるアベンチュリンの姿があった。


「っく!最初から罠!」

ベルコはとっさに盾で防御の構えをとる。ヨトゥンはとっさの出来事にその場で振り向くことしか出来ない。


「貴女には興味はありませんよ。女性は殴れませんから」


アベンチュリンは笑顔でベルコの方を向き一言。そのままヨトゥンの頭部にフルスイングで不動槌レザールを叩き込む。


「グゴァアァァア!?」

ヨトゥンは衝撃に耐えきれずそのまま吹き飛ぶ。


「貴女とは別の形で再び会いたかったですよ」

ベルコの少し後方に着地したアベンチュリンは一言いい再び跳躍。


空中で不動槌レザールを回し魔法を詠唱する。不動槌レザールに刻まれた彫刻が淡い青色に輝く。



「化物めお前の相手は僕だ。『テラ・ドーム』ッ!!」


着地と同時に地面を不動槌レザールで叩く。


アベンチュリンを中心として円形に大地が脈動した。円周に沿うように地面が盛り上がり半球型の大きな囲いを作り上げた。


「さぁ、君の大好きなベルコは居なくなりましたよ。私の名前はアベンチュリン。貴方は確かヨトゥン君でしたね?僕は大好きな街を荒らされて少し怒ってるんだ。閉じ込めさせてもらったのは、僕は少し迷惑な戦い方をするからなんだ。」


自分の獲物を睨み、肩を回しスーツの襟を整えたアベンチュリンは再び不動槌レザールを握り直すと青の光が暗闇を照らす。







「殺す」









「ヨトゥン!? クソ、最初からこれがお前達の目的か!」


目の前に現れた白衣の男にベルコは叫ぶ。


「あぁ、そうだ。お前は周りが見えてないみたいだからな。俺は優男じゃねぇから女も殴るぞ?」


片手剣を構え歩み寄ってくるサリスの後ろから白髪眼帯で短い杖を持った少女が現れる。


「ドクター、それ、悪役のセリフ。」

「うるせぇグレンデル。本当の事言ってるだけだよ」


ベルコは闇より現れた二人を見据え杖を向ける

「不意打ちは二対一に持ち込む為か意味の無い事を。緊急用に持っていて良かったわ」


ベルコはドレスの中からトカゲが入った小さな瓶を取り出すとコルクの蓋を開け杖を振る。


「嘘だろ・・・?こいつは聞いてねぇぞ。グレンデル下がってろ」


瓶から飛び出した赤いトカゲはなんと次第に巨大化していく。手の爪は伸び、口からは大きな牙が生えてくる。四速歩行の竜の様な生物が二人の前に現れた。


「ふふ。まさかこんな竜が出てくるとは思わなかった?これで二対二。あなたは小さい女の子だから形勢逆転ってところかしら?」


「キュルルァァァアァァ!」


竜は叫び声と共にサリスに向け炎を吐き出した。

炎を避けたサリスはグレンデルと分断されサリスはベルコとグレンデルは竜と対峙する。


「・・・っクソ!グレンデルと離されたか。グレンデル!俺はこの女倒してそっちに行く!死ぬんじゃねぇぞ!」


ベルコを見たままグレンデルに向け叫ぶサリスは再度剣を構えた。


「うん。分かった。この竜やっつける。」

グレンデルは杖を出しキュッと握る。


「そこまで言ってねぇけどな」

ニヤリと笑うサリスはベルコに向け地面を蹴った。


「さぁ!来るといいわ!あなたを殺してあげる!」

「ピギャヤァァァァァァァァ!」

ベルコと竜は咆哮を上げお互いの敵を迎える。



「ドクターの手は借りない!」

グレンデルの身体を炎が包んだ。

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