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Spell Driver (スペル ドライバー)  作者: vurebis
いざ魔法の街へ 〜フナリス編〜
13/33

12話 買い物と街の過去と不穏

グレンデルはリューシュに手を引かれてフナリスの繁華街へと向かう。


周りの建物はどれも背が高くて一番上まで見上げると首が痛い。

時間は夕暮れ時。レストランや酒場から料理の香りと人々の喧騒が包む街を警護団の人たちが見回り、街灯に魔法で火をつけて回っている。

薄暗くなる時間でも明るい街の人々はドレスやスーツを着ている者もいればリューシュのように普段着にパーカーを羽織るだけといったラフな格好の者も居る。いずれにせよ街の人は皆何かを求め、せかせかと歩いているように見える。


「この街すっごく大きいよね〜!!この辺りの国じゃ一番おっきい国なんだよ!!」


「いろんな格好の人が居て面白い。フレイグスは皆同じ感じの服きてたのに。」


グレンデルはフレイグスの街を思い出していた。昼間は皆仕事の為服装はキッチリとした物を着ていたが夜になると軽い服装を纏った人がほとんどだった。


「フレイグスは昼間はそれはもう仕事熱心。夜は皆酒場で騒いでるからね〜。大体みんな同じ服装になるのはそれが原因かもね〜??フレイ様もきっちりし過ぎだよねぇ〜!!」


「たくさん人居るから、ちょっと歩きにくい。」


フレイグスと違う習慣を持つフナリスに新鮮さを覚えると同時に少しの不安が芽生えたグレンデルはフードを深く被る。


隣でニコニコと様子を見ていたリューシュはグレンデルの手を握ると、


「まったく〜!グレンデルちゃんは恥ずかしがり屋さんだね〜!?お姉さんが連れてってあげるね〜??連れてってあげるよ〜!!!」


と言い、街を駆けた。


それからはリューシュとグレンデルのショッピングと言う名のフナリス探検が始まった。





街で見つけた服屋に入った2人。グレンデルは、商品が陳列された果てしなく高い吹き抜けの店内を「うわぁ、凄い。」と見上げ、リューシュは「どれがいいかな〜??」と言って店内を物色。


リューシュがめぼしい服を見つけ鏡の前に立ちながらグレンデルに声をかける。


「ねぇねぇグレンデルちゃん。この国の人達をみて何か不思議な感じしなかった??」


上を向いていたグレンデルはリューシュの方に向き直り、答える。


「不思議・・・??たくさん人が騒いでるとしか思わなかった。かな?」


「おぉ!いい線行ってるね〜!!この国の人達は元気過ぎるんだよ〜。今日車の中でフナブ様は治癒の神って教えてもらったでしょ??だからこの国の人は病気とは無縁なんだ〜。そのおかげで人々はたくさん働いてたくさん騒げるんだ〜。」


リューシュの話を聞きながら目の前にあるスカートを手でヒラヒラと遊びながらグレンデルは一つ疑問を投げかける。

「そうなんだ。だからこんな高い建物とかもたくさん創れる??」


グレンデルの質問に驚いたリューシュはグレンデルの頭を撫でながら答える


「その通り〜!!グレンデルちゃんは頭が良いねぇ〜。フナブ様が来るちょっと前までフナリスは荒野にある何でもない小さな街だったんだけど、おっきい街になっちゃったんだよ〜!」


撫でられながらグレンデルは納得。

「んん、神様のおかげでこんな街になったんだ。」


笑顔を崩さないリューシュは


「まぁ、ホントはフナブ様のおかげじゃ無いんだけどね〜!!」

といたずらっぽい笑みを浮かべた。


グレンデルは困惑した。

神がこの街を創ったとばかり思っていたからだ。

「え?じゃあ、誰のおかげなの・・・?」


「それはね・・・」

リューシュはニコニコしたまま人差し指をグレンデルの髪飾りに向けクルクルと回す。



「妖精だよ〜」


「え?どういう事??」


「じゃあちょっと昔話ね??実はフナブ様はこの国の人間が病気になったり怪我したら治してただけなんだよ〜!おかげで人間は働ける時間は最大限まで動けれる様になったんだ〜。その後夜に目いっぱい遊ぶ!!だからさっき見た人達みたいな文化が出来上がったんだね〜!」


「そっか。テキパキ働けるのもそのおかげか。」

おとぎ話を話す様な口調でフナリスの歴史を語り続けるリューシュ。

ウンウンと頷きグレンデルは聞き入る。


「で、ここからが大事だよ!!元々フナリスには二つの妖精が住んでいたんだ!そこにある日フナブ様が来て人々の治療をしだした。最初は困惑した妖精だったけど、自分たちと仲の良かった人々を救ってくれたフナブ様に感謝するようになったんだ!!」


「妖精さん、街の人たちと仲良かったんだね。」


「うん!フナリスは元々痩せこけた街だったけど妖精の指揮の元でここまで大きな街に開発できたんだ!!つまりフナリスはフナブ様と妖精が創った街なんだ!!豊かな生活をくれた人々はとっても感謝しましたとさ。宗教を作っちゃうくらいにね。はい。昔話おしま〜い!!」


「凄いっ!この街が大きくなったのは神様と妖精さんが頑張ったからなんだ・・・」


目を輝かせるグレンデルを見てニコニコと笑うリューシュは「国民もだよ?」と付け加えた。





一方『妖精の泊まり木』の一室のベットで横になり休んでいるサリスは頭の後ろで手を組みなにやら不安な顔で思考中だった。


「さし当たっての不安は一つ。フナブとその妖精か・・・仲良くなれっかな。」


と、こんな感じでサリスは呑気な男であった。







日はすっかり暮れ、あたりが街灯の灯りで照らされている。

レストランで食事を済ませたグレンデルとリューシュは『妖精の泊まり木』に向かって歩く。


「いやぁ!!フレイグスじゃなかなか食べられない料理ばかりで幸せだね〜!!グレンデルちゃん!!美味しかった〜???」


「ん、すごく美味、しかった。」


今まで見たことの無い景色に圧倒され続け、疲れてしまったグレンデルは眠たそうに目を擦る。


「グレンデルちゃんはお眠かなぁ?よし、私がおんぶしてあげるよ!!ほらおいで??」


リューシュはグレンデルの一歩前に出てしゃがみこむ。


「ん、ありがとう。リューシュさん。」


「も〜グレンデルちゃんったらまだリューシュさんなんて呼んじゃって〜!!呼び捨てでいいよ〜?」


「分かった。じゃぁ、リューシュ。あれは何?」


呼び捨てをする恥ずかしさを抑えるため歩いている歩道とは反対側の教会を指さす。なにやら様子がおかしいその中は人がごった返し賑やかな街とは違う騒がしさである事は遠くから見ても分かる。


「あれかい?あれはこの国で信仰されてるブードゥー教の教会だね!!たしかこの国の守護神フナブ様の宗教だね〜喧嘩かな?私にはよく分からないけど揉め事は良くないね〜??良くないよ!!」


全く興味を示さないリューシュはグレンデルをおんぶしたままそのまま宿へと戻った。






「いくら何でも帰りが遅すぎるだろっ・・・グレンデルを連れてどこ行ってたんだ。」


二人は宿に帰ると最初に迎えてくれたのはアベンチュリン。その次に二人の部屋の前で迎えてくれたのは笑顔のサリスだった。


「さ、サリス君??痛くしないでね?」


「ど、ドクター。リューシュは悪くない。私がおぶってもらったから遅くなったの。」


いつもの糸目のニコニコ顔とは違い引きつった笑いでアハハと許しを乞うリューシュと、アワアワと両手をバタバタさせるグレンデル。


「仲良く探検はいい事だがな・・・それよりもだ。その大量の買い物袋はなんだっ!」


サリスが大量の紙袋を指差し大声で怒鳴る。


「いやぁ〜・・・たまたま入った服屋さんがセールしてたから。つい買っちゃったっ!」


テヘっと富豪ぶりを垣間見せるリューシュ。


「そう言えばお前金持ちだったな・・・ってかそんな量の服どうするんだ。」


サリスとリューシュのやり取りに割って入る。グレンデルは両手を広げて


「大丈夫だよドクター!ドクターの服もあるし!」


ゆっくりとしゃがみニッコリと笑うサリスはグレンデルの頭を撫でながら

「グレンデル。何も大丈夫じゃないぞ?」


と一言。グレンデルの必死の抵抗はあえなく崩れる。

「リューシュ、私じゃダメ。ドクター説得出来ない。」


なんとかサリスを説得しようと次はリューシュがサリスの前に立つ。

「サリス君!大丈夫!!荷物が多いのがきになるんでしょ!?それなら心配無用だ!!」


豊満な胸を張るリューシュにジト目のサリスが面倒くさそうに聞く。


「で?その大量の服をどうするんだ。」

「聞いて驚け!!なんと後日ランスルーが取りに来るんだ!」


リューシュの一言で三人の空気が止まった。



しばらくしてサリスがようやく口を開いた。

執事ランスルーも、大変だな・・・」

「お金持ち凄いね、ドクター。」


リューシュの隣にいたグレンデルはいつの間にかサリスの隣にいたのであった。






買い物騒動からしばらくしてなんとか落ち着きを取り戻した一行はサリスの部屋で明日の準備をしていた。


「さて、明日フナブの神殿に行くぞ。一応話ができるように準備をした。二人は付いてくれば穏便に話がつくと思う。」


そう言いながら片手剣を抜き剣が鈍っていないか確かめるサリス。


「あの、サリスくん!?穏便とは程遠い準備じゃないかな・・・って思うんだけど??」


「私も、杖持ってきたけど・・・」


サリスの部屋に来る前それぞれ武器を持ってこいと言われた二人は困惑した様子で各々の武器を床に並べている。


リューシュはもちろん大量の刃物。グレンデルは杖一本と髪飾りを付けて部屋に集まったという訳だ。


「お前達・・・散々街を歩いて何も気付かなかったのか??宿の窓からでも俺は気付いたぞ。」


サリスはため息をつく。


「え?ドクター。この街、何かおかしいの??」


「あぁ、この街はおかしい。」

不安そうに問うグレンデルにサリスは真剣な表情で事実だけを、答えた。




「恐らくなんとかしないとこの街は」


「「この街は?」」







「滅びる。」





「サリス君、冗談だよね・・・?この街が、滅びる??」

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