第6話『私の嫌いなもの①』- My Unfavorite Things
※当作品は発行元である株式会社ポニーキャニオン(ぽにきゃんBOOKS)に許諾のもと、掲載を行っております。
「みんな気をつけて、敵はまだ近くに潜んでるわ」
緊張感の漂う事件現場。私たち4人はいま、絶体絶命のピンチに直面している。
「信じられませんわ、まさか悠美ちゃんがやられるなんて…」
深刻な面持ちでハルカさんがつぶやく。たしかに私も、いや、誰もこんなことは予想出来なかった。バスターポリス最強を誇るあの悠美に、まさかこんな弱点があったなんて…。
「ど…どうしよう亜衣ちゃん…」
「集中するのよ、油断せず敵の動きを感じて」
倒れた悠美は気を失って目を覚ましそうにない。
「…ごめんね、きっと私のせいだよね…」
「いや、たぶん違うわ。これはどちらかというと、悠美のせいね」
そう、この事態はリンが招いたことじゃない。おそらく悠美が招いたこと。
悠美は、こんなことを引き起こす原因をいくつももっている。
…どこかに隠れている敵。でも、確実に気配を感じる。
「亜衣ちゃ」
「シッ!黙ってリン! …足音が聞こえるわ」
敵はとにかくスピードが速い。それに飛行能力もある。
―――そして、触れられたら即死。
人数はこっちに分がある。リン、私、ハルカさんの3人。相手は1体。
このまま睨み合いをしても平行線だわ。こちらから仕掛けて決着をつけなきゃ。
「ハルカさんはそっちの逃げ道を塞いでください。私は正面、リンはもう一方を塞いで」
「う…うん…」
「わかりましたわ」
「べ、ベアクローは使った方が良いかな…?」
「それだけは絶対にダメですわリンちゃん!」
「そうよリン!そんなことをしたら、二度とベアクローが使えなくなってしまうわ!」
「え? …あ、だよね…」
息を殺して、敵の潜む物陰を静かに包囲する私たち。
「…出来ればこれは避けたいことだけど」
私は、慎重に言葉を選びながらみんなに言う。
「最悪の場合は、殺してもいいわ」
みんなの顔に緊張が走る。
ソファには気を失ったままの悠美。顔を見合わせた私たち3人は、覚悟を決める。
「いくわよ!うぉおおおおおおおお!」
冷蔵庫の隙間にモノサシを滑り込ませる! その攻撃は、確実にアイツの体に接触した!
そして、刺激されたアイツはすごい勢いで冷蔵庫の下から姿を現す!
「きゃあああああああああああああああ!」
「キャーーーーーーーー!」
「ちょっとみんな!ちゃんと持ち場にぎゃあああああ飛んだぁああああああああ!」
「亜衣ちゃん!うちはどうなってもいいから!超熱視線【ヒートアイ】で壁ごと吹き飛ばして!」
「え、でも」
「いいから!」
私は、目の奥にありったけの熱を溜める!
「最大出力!超熱視【ヒートア】―――」
「お待たせー!ゴキバスター買ってきたよ~!」
!
援軍が到着した!
「クロ子!よくやったわ!それをこっちにぎゃああああああああおいかけてどわああああ!」
「きゃああああああああそっちいったそっちそっちそっちああああああ!」
敵の猛襲に大パニッックのリビング。
そんな中、クロ子は割り箸を一膳割って、平然と敵に向かっていく…!
「クロ子なにしてるの!そっちに行ったら死ぬわよ!」
ハシッ。
シューーーーーーーーーーーッ
割り箸で掴んで敵の動きを封じたクロ子は、そのままゴキバスターを浴びせて敵を倒した。
「ん?なにが?」
……静かになるヒロインハウス。クロ子の勇気ある行動で、世界は救われた。
「終わったんだね…」
「ええ、おそるべき敵でしたわ」
「クロ子、あんたはヒロインハウス史上最大のピンチを救った英雄よ」
「え!?どういうこと!?なに!?なんで!?」
私の言葉の意味が分からない様子で戸惑うクロ子。でも、それにリアクションする余裕もない私たちは、ぐったりと床に座り込む。
「つ…つかれた…」
*~*~*~*~*~*~*
「…それにしても、悠美ちゃんにも苦手なものがあるなんてビックリだね~」
まだソファで青い顔をして気を失っている悠美。
そう、悠美はあの黒くて速くてキモくて飛ぶアイツが死ぬほど苦手らしかった。
「私も、まさか悠美にこんな弱点があるなんて知らなかったわ」
――ことの起こりは10分前。いつもどおりリビングでダラダラしてた悠美は、漫画を読みながらお菓子を食べつつテレビを見てマッサージクッションで背中をマッサージしながら寝転んで過ごしていた。そして、オートメーションのようにお菓子を運ぶその手が不幸にも捕まえてしまったのが、さっき我が家に出没した招かざる客、噂の黒いダイアモンド、Gだった。
手に握った瞬間、悠美は手の方を見て、自分の握ってるものを確認して、その次の瞬間短い悲鳴を上げて気絶した。意外なのは、悠美が普通の人以上に怖がって本気で気を失ったこと。地上最強のギフトをもってても、心まで強くなるわけじゃないってことなのかしら。
「悠美、そろそろ起きなさい」
ペシペシとほっぺたを叩いてみる。すると悠美は、悪い夢でも見てる感じの顔をしながらモゾモゾと起きた。
「あれ?あたし寝てたのか。なんかとんでもない悪夢をみてた気がするんだけど…」
と言いながら、また顔が青くなっていく。だんだん思い出したらしい。
「…ね、ねぇ、さっきさ、この部屋にアレいかなかった?あの、なんていうか、言葉にできない感じの、すごくアレな虫っていうか」
ニコニコしながら、声が震えてる。こんなに怯えた様子の悠美はちょっと珍しい。
…ちょっといたずらしたくなるわね。
「悠美、あなたの見たそれはまぎれもない現実よ。そして、まだヤツはこの部屋のどこかにいるわ…」
「へ……?」
青ざめた顔が、さらに血の気を引かせているのがわかる。面白い。
「悠美が気絶してる間、悠美の体の上も走り回ってたよ!」
「………っ……(パクパク)」
私の悪ノリを察したクロ子が、かぶせるように嘘をのせてくる。
「みんな、そんなこと言ったら悠美ちゃんがかわいそうだよ~!」
リンは”嘘ついて怖がらせたらかわいそう”って意味で言ったんだろうけど、その言葉も悠美の恐怖を増幅させるには絶妙の一言だった。
「大丈夫ですわ悠美ちゃん。虫が顔に止まったからって、それでお嫁に行けなくなるわけじゃありませんもの」
まさかのハルカさんまでもが悪ノリにのってきた。これはトドメになりそうね。
普段最強過ぎるスーパー自由人な悠美の弱点を見つけたことで、みんなちょっと楽しくなっているようだった。
「………まだいるんだよな、亜衣」
「え?」
「あたしに任せろ。そ、そうだな…ハハ…家がなくなれば…ゴキブリは住めないよな…」
目の焦点が合ってない!なんかこれはヤバいわ!
「ちょ…悠美!落ち着いて!嘘嘘!もういないから!退治したから!!」
「うぉおおおおおおおおおお!」
「みんな悠美おさえて!!」
――数分後。
「なぁんだ嘘か~!みんな人が悪いなぁ~!」
悠美が暴れたことで、家具がしっちゃかめっちゃかになってるヒロインハウス。倒れた冷蔵庫とかを元に戻しながら、悠美がヘラヘラ笑ってる。
「もうちょっと考えて暴れなさいよ…」
「いや、こればっかりはあたしだけが悪いわけじゃないと思うぞ?」
「まぁ、それもそうね。うっかりしてたわ」
「…ごめんね。お台所の三角ポケットのところとか、もっとキレイにしておくね…」
リンが申し訳なさそうに言う。けど、さっきも言ったように今回の原因はたぶんリンじゃない。
「この事態は悠美のせいよ。キッチン側はいつもキレイに保たれてるもの。悠美、あんた自分の部屋でお菓子のクズとかそのままにしてるでしょ」
「…そ、そんなことは…アリマセン」
白々しい顔で目を逸らす悠美。まず間違いなく、悠美の部屋が発信源だわ。
「悠美、次こんなことになったら、捕まえたGをあんたの部屋に戻すからそのつもりでね」
「亜衣、お前鬼だな」
*~*~*~*~*~*~*
「…オホン、ちょっとバタバタしちゃったけど、新しいシェアメイトのクロちゃん。みんな仲良くしてあげてね」
そうそう、そういえば私たちは今夜、新しくシェアメイトになったクロ子を迎え入れる歓迎パーティをしようとしてたところだった。
「バスターポリス最後の切り札、正義の牙クロコダイルだよ!よろしくね!」
「よろしくねクロちゃん♪」
「おお、なんだ、結局入ることになったんだ。よろしくなクロ」
ハルカさんが連れてきた新しいシェアメイト、クロコダイルこと和迩黒子。色々アレな感じの子ではあるけど、なんだかんだで一生懸命で悪い子ではない。ちょっとアホっぽいのが気になるけど。
「今日の活躍はまさにバスターポリス最後の切り札にふさわしいものだったわね」
「いやぁ~。でへへ。それにしても、あのレディダイナマイトにこんな弱点があったなんてね~!」
クロ子が、弾むような声でさっきの話を蒸し返す。たしかに、私もそれは意外だったわ。
「なんだよ、みんなだって苦手なものくらいあるだろ」
嫌そうにちょっと膨れている悠美。なんか、見たことない顔ね。ちょっと可愛いじゃない。
「ま、悠美にも弱点のひとつくらいあってもいいんじゃない?」
「ん…」
なにかしらこの優越感。
「でもクロ子、あなたよく平気であんなこと出来るわね」
能力値的には一番頼りないはずのクロ子が大活躍するとは、わからないものだわ。
「え?うん。だってただの虫でしょ?セミとかカブトムシとか、みんな捕まえないの?」
ただの虫じゃないわよ。セミとかカブトムシに謝りなさいよ。
「あ~、私も虫取り得意だよ~♪」
意外にも、この話に食いついたのはリンだった。この中では一番そういうのに縁がなさそうなのに、虫取りなんかしてたのね。
「リンは家の中で遊ぶタイプの子かと思ってたけど、意外と外で遊んでたんだな」
「うん!小さい頃だけど、ハチさん捕まえたり、ハチミツ飲んだりとかしてたよ♪楽しいよね~!」
「え?」
「…え?」
自然な流れで話したつもりのリンの話は、ちょっとおかしかった。ハチを捕まえる…?
「リン、ハチを捕まえて、ハチミツを飲んで遊んでたの?」
みんながドン引きして聞きづらそうにしてたので、私が聞いてみる。様子を察したリンは、ちょっと不安そうな顔をしていた。
「え……あ…えっと…ハチって捕まえちゃダメ…だよね…」
「いや、そうじゃなくて。捕まえていいとか悪いとかじゃなくて」
ズレたコメントをするリン。どうやら、本当に普通にハチを捕まえて遊んでいたらしい。
「刺されないのリンちゃん?」
こっちはこっちで、昆虫採集好きという意味でクロ子が乗ってくる。私と悠美とハルカさんはひたすらアウェイな会話。
「え、うん。平気だけど…?ハチミツ飲んだりとかしなかった…?あ、えっと、コームハニーって言った方がいいのかな。あれシャリシャリしておいしいよね…?」
「………………」
「うそうそ!うそだよ~!いまのは友達の話!か、変わってるよね~!」
「…………いや、まぁ…」
「ははは…はは…」
焦ったリンは、なんかバレバレの嘘で誤摩化そうとしてる。なるほど、頭から飛び出した熊耳はダテじゃないのね。この子、常識の一部がちょっと熊だわ。…っていうか熊って本当にハチミツ食べるものなのかしら。例の黄色い熊はハチミツ大好きだった気がするけど。
「リン、ちなみに、好きな魚はなんだ?」
悠美が、確かめるように聞いてみる。なるほど、良い質問だわ。
「え、んーっと、料理の仕方にもよるけど…サーモンが一番好きかも…?」
「イクラも好き?」
「うん!イクラ大好き!」
顔を見合わせた私達4人は、確信した。
この子、意外と熊だ。
「リン、ちなみにハチを捕まえるのも巣にあるハチミツを飲むのも、一般的にはあり得ないことよ」
「え…そうなの…?」
「でもいいんじゃない?あなたにとってはそれが普通なんだったら、別にそれで」
発現したギフトによって、それぞれに生まれる特異体質はある。好みや常識も少しずつ違う。リンのこのハチの話も、ようするにそういうことの一つだと思うと、なるほどと納得出来るものがあった。それにしても、ベアクローって言葉のあやかと思ったら、わりと熊なのね。
「すごいですわねリンちゃん。じゃあ今度、とれたてのハチミツをご馳走してもらえるかしら♪」
「あ、はい!じゃあ一番おいしいのとってきますね♪ひさしぶりだなぁ~♪セイヨウミツバチの蜜がおいしいんですよ♪蜂の子なんかも地域によっては食べるみたいです。でもスズメバチはミツバチを食べちゃうので、ちょっと困るんですよね。よくお父さんの友達の養蜂場のおじさんのところでスズメバチを捕まえてました!」
楽しげに語るリンの話は、やっぱりどこか壮絶な絵面だった。
スズメバチを捕まえる…?一匹でもいれば教室がパニックになるあのスズメバチを?
「なぁ亜衣」
「なに?」
「どうやらあたしたちは、リンのことを侮っていたようだな」
「そ、そうね。なんだかすごく偏りのある特徴だけど」
同じA級の悠美から見ても、リンはちょっと異質な感じがするようだった。それに今の話は、ほとんど初めてリンがA級ギフト能力者であると感じるものでもある。やっぱりこの子、もしかしたらなにかあるんじゃないかしら。
「あ、でも他の虫はほとんど全部苦手だよ!今日のアレとか…あと、虫じゃないけどヘビも苦手だなぁ」
「あら、リンちゃんヘビは苦手なんですのね。お父様が飼ってますけれど、よく見ると可愛い顔をしてますわよ♪」
「うわぁ…そ、そうなんですね…」
「ハ、ハルカさんヘビ大丈夫なんだ…」
リンに合わせて、クロ子も嫌そうな反応をする。…ん?
「クロ子は好きでしょ?ヘビ」
「え、爬虫類って超気落ち悪いじゃん。みんなよく平気だよね」
クロコダイルってたしか爬虫類の王じゃなかったかしら。なのに、爬虫類が嫌いなのね…。
「Gは平気なのに爬虫類はダメなんて珍しいわね」
「だってゴキブリとかただの虫じゃん。カエルとかの方がよっぽど気持ち悪いよ!あのヌメヌメしてる感じとか、のど膨らます感じとか、意外と長い手足とか。デカいのとか、裏返って死んでるやつの存在感とか、理科の教科書の解剖図とか、あんなのが飛びかかってきたら失神ものだよ!ゴキブリより全然気持ち悪い!」
「クロちゃん、お食事中だから、ね?やめましょ?」
ハルカさんが笑顔で怒ってる。たしかに、食事中の話題としてはほとんど最悪だわ。
「あとクロ子、カエルは爬虫類じゃないわよ」
「え?そうなの?」
そういえば、この子ちょっとアホなんだった。
「…クロ子、あんた理科大丈夫?」
「そういえば、そろそろ中間テストだね~」
「え!?中間テスト!?」
いかにも成績の悪そうな反応をしたクロ子。
「なにその、知らなかった感じの反応?」
「い、いや、し…知ってたけどね!もちろん!」
ちなみに、ヒロインアカデミーではギフト技能試験もあるけど、いわゆる普通の高校と同じ5教科のテストもある。GWが明けて5月もそろそろ下旬、1学期の中間テストの時期だった。
「そういえばクロ子、あなた成績ってどんな感じなの?」
「え~~~~…と…ちょっと、なんていうか…得意とは言えないような雰囲気の…」
「あれ?クロ子ってアホなのか?」
「アホって言うな!悠美に言われるとなんかホントにアホみたいじゃん!」
どっちもアホだと思うけど、まぁそれは言わないでおこう。
「実際どれくらいなの?一応、チーム平均も今後関わってくるから大体の数値を知っておきたいんだけど」
「あ…亜衣さんはどれくらいなの…?」
「私は――」
私が答えようとするのを、リンが嬉しそうに遮って答える。
「亜衣ちゃんはねぇ、賢いんだよ~!うちのクラス委員だし、入試の成績もクラスで2番目なんだぁ~♪」
「え゛、そうなの亜衣さん…?」
「まぁ、勉強は答えが決まってるものだし、大して難しいものじゃないわ」
「……亜衣さん、いまのはあんまりみんなの前で言わない方がいいと思うよ…」
「そう?」
「ハ…ハルカさんは!?」
自分に矛先が向く前にみんなの成績を確認するクロ子。でも、ハルカさんに聞くのは間違いね。
「私は…」
「ハルカは学年1位だよな!」
そう、ハルカさんは私よりもっと成績がいい。2年生の学年首位。ギフト能力自体は低いけど、成績がいいのと面倒見が良いところをみて、能力依存しないタイプの立派なヒロインになるだろうって先生達も信頼してる人だったりする。
「ハルカさん…賢いんだね…」
「今度一緒にお勉強しましょクロちゃん♪」
「あ、うん!それだったら一緒にやる!」
ハルカさんの言葉にはいつも全力で尻尾を振ってる感じのクロ子。この二人を見てると、なんていうか。元気な子犬と飼い主みたいな印象をうけるわね。
「…で、どれくらいアホなんだクロ子?」
いよいよ追いつめられたクロ子は、観念して成績を言う。
「わたしの成績は、その…へいきんさんじゅってんくらいです…」
「アッハッハッハ!アホだなぁ!」
爆笑する悠美。でも、確かにこれはちょっとヒドいわね!ハルカさんとリンも、なんてフォローすれば良いかわからない感じの苦笑いをしてる。
「そういう悠美はどうなのよ!悠美もアホなんでしょ!」
「クロ子、悠美はクラスでも学年でもなく、学校1位よ」
「……え?」
目をパチパチさせて驚いているクロ子。まぁ、無理もないわね。こんなちゃらんぽらんな子がそんなに成績良いなんて普通思わないし。
「悠美は入試の朝に試験範囲をペラペラっと見て10分くらい勉強して、それで全教科満点を取ったぶっちぎりの超優等生よ。相変わらずのデタラメぶりでしょ」
「全教科…!? な…なにそれ…私とほとんど同じことしてるのに…」
いや、あんたはもっとちゃんとテスト勉強した方がいいんじゃないかしら。
「でもまぁ、だからなにって感じだけどな~」
別に自慢げなわけでもなく、つまらなそうに悠美が言う。
「そうね。私も、悠美に負ける分には別になにも悔しくないっていうか、実質の学校1位は2位の人だと思ってるわ」
「うん、そうだな。あたしはノーカウントの方が良さそうだ」
オリジン・オブ・ザ・ヒーローズは、寝てる間も発揮される常時発動型ギフト。だから悠美は、自分の意志で手を抜くということがほとんど出来ない。学習能力の高さも、望めば望んだだけどんどん加速してしまうだけに、悠美はみんなと差がつきすぎないようにあんまり勉強しようとしていなかったりする。私たちからしてみれば贅沢過ぎる悩みなんだけど。
「り、リンちゃんは!?リンちゃんは普通だよね!?」
「え?う、うん。普通だと思うけど…」
「何点!?」
「えっと…平均点は大体70点くらいだったかな…?」
「よかったぁ~!リンちゃんはちょっとアホなんだね!」
「ええええ!?」
まさかのコメントに戸惑うリン。まさか自分の半分以下の点数の子にアホ呼ばわりされるとは、確かに返事に困るわね。
「そ、そうだね、ちょっとアホかも…?」
引きつった笑顔でそう答えながら、リンは相変わらずの良い子だった。
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