INTERMISSION-V - talking about Beam -
※当作品は発行元である株式会社ポニーキャニオン(ぽにきゃんBOOKS)に許諾のもと、掲載を行っております。
「そんなわけで、今日からよろしくね!」
ハルカさんが連れてきた新しいシェアメイト、クロコダイルさん。どういういきさつがあったのかはよく知らないんだけど、とりあえずハルカさんが連れてきたなら心配いらないわよね。だってハルカさんの選んだシェアメイトはみんな…。
えっと、ダメだわ。変な子多い。
悠美は言うまでもなく変だし、リンも間違いなく変だし、ハルカさんと私はまぁ普通だけど、あ、ということは2対2の状況にクロコダイルさんの登場だから、この子次第でパワーバランスが決まるわ。
「えっと、クロコダイルさん」
「クロでいいよ!亜衣さん!」
あれ?悠美は呼び捨てでリンはリンちゃんで、私は亜衣"さん"?なにかしらこの距離感。絶妙に遠いわ。あ、でもハルカさんもハルカ"さん"だし。きっとあれね、まともな人にはさんづけするのかしら。
「えっと、じゃあクロさん」
あ、しまった。私までさん付けする必要はなかったんじゃないかしら。ああ。最初のこういうのってずっと尾を引くのよね…。
「クロさんの本名って、そういえばなんだったかしら?」
「本名か…」
急に遠い目をするクロさん。なにかまずいことを聞いちゃったかしら…?
「わたしはヒロインに生きる身。本名はもう、忘れてしまった…」
あー、これ、変な方の子じゃない?
もうほとんど決定な気がしたけど、やっぱりダメかしら。もうちょっと抗ってみたいんだけど。
「えっと、学校に提出する入居の書類には戸籍と同じ名前をださなきゃいけないんだけど、教えてもらえるかしら…?」
「なら仕方ない、わたしのかつての名は黒子。和迩黒子といった…」
なるほど、黒子だからクロコダイルなのね。これはたぶん間違いなく、自分ネーミングのヒロインネームね。ヒロインっていうよりヒーローっぽい名前だけど。
「じゃあクロ子、もう一個質問なんだけど」
よし!上手い具合に二人称を補正したわ!これで固定しましょ!これ以上この子にさん付けをするのは色々不自然だわ!
「あなたのギフトって、そういえばどういう奴なの?ざっくりビーム系って聞いてるんだけど」
「ふふふ…わたしのギフト?見せてあげる、これがわたしの最強必殺技、デンジャラスガァーーー…」
「こら!なにやってるの!」
「えっ…」
「ビームを人に向けちゃダメでしょ!」
「……でも…」
「あなた、ビーム系がどれくらい危ないギフトかわかってるの?使い方間違ったら本当に大変なことになるのよ?わかってる?」
「え…えっと…」
ああビックリした。まったく、なんて非常識なのかしら。危機感ってものが足りないのよ。
「…ビームを撃つ時は、周りに人がいないか十分確認して、人じゃないものを狙って、的確に撃つの。犯罪者にだって向けちゃダメよ?拳銃と一緒なんだから、よっぽどの凶悪犯が相手で、しかも正当防衛でもないかぎり、直接体に向けてビームを撃つなんてやっちゃダメ。わかった?」
「……ごめんなさい」
あら?思ったより素直ね。
「ちなみに、言ってなかったけど私もビーム系のヒロインよ。B級で、ギフトは超熱視線【ヒートアイ】。目から出る3000℃の超高熱線よ」
「B級の超熱視線【ヒートアイ】!?すっごぉおい!」
あれ?なにかしらこの子、実は結構いい子じゃない?
「オホン、じゃあ、ビーム系ヒロインの先輩として、色々レクチャーしてあげるわ」
「あれ?亜衣さんって2年生なの?」
「いや、1年生だけど」
「1年生同士だけど先輩なの?」
「……オホン、まぁ細かいことはいいのよ。同じビーム系同士、お互い勉強になることもあるかと思うのよね」
「うん!そうだね、色々教えてよ!」
「いい返事だわ。じゃあ、私が考えたとっておきのコントロールトレーニングを教えてあげる。私が考えたのよ」
私は、食パンを取り出すとそこに可愛い猫の絵を焼き付ける。
「ね?おもしろいでしょ」
「すっごーい!ビームギフトで食パンに文字書けるんだね!」
文字?私が描いたのは猫なんだけど…?
「じゃあ次はクロ子の番ね。やってみなさい」
「うん!こうかな…?」
「………もうちょっと火力でないの?」
「…う~~~ん……」
「あーもうちょっと。ちょっとだけきつね色になってきたっぽいわ!」
「…はーーーーー。ど、どうかな!?」
「ダメね、これじゃ全然焼き付いてないわ」
「…やっぱりかぁ…」
「ちなみにクロ子、潜在値はどれくらいなの?」
「え、えっと…言わなきゃダメだよね…?」
「まぁ、言わなくてもいずれわかることだけど」
「だよね。えっと…E級素質のE級生まれなんだ、わたし…」
「……そんなことってあるのね…」
それってつまり、どんなに頑張ってもこれが限界ってことじゃない。
なんて不憫な子…。
でも、なんでこの子、それでもヒロインアカデミーに来る気になったの?極端に素質の低い子は、普通の学校に行くものなんだけど…。
「亜衣さんすごいなぁ。B級のビーム系ヒロインだったんだぁ…」
まぁそんなことはどうでもいいわよね。
この子はここにいるべきだわ。
だってとても良い子だし。
「じゃ、じゃあ今回は特別に、私のフルパワーを見せてあげようかしら?」
「見たい見たい!楽しみだなぁ~♪」
キッチンテラスに出た私たち。
「うわぁ~なにこのキッチン!なんで屋外にキッチンがあるの!?すっごーい!オシャレだね~!」
「え、ええ。それはハルカさんの提案で、そうすることになったのよ。はは、ははは…」
まぁ、私が2回壁を吹き飛ばしたからなんだけどね。
「なんかあれだね、まるでビーム系ヒロインのために作られたみたいな空間だね!」
ギクリ
「ねー。なんていうか、偶然よね~」
「よし、じゃあ見てなさいよ、飛行機が通ってないことを確認して、空を見上げて、目の奥に熱を溜めて…一気に放つ!」
バシュウウウウウウウウウ!
いつもより調子いいわね!軽く衝撃波が出るくらい良いのが出たわ!
「うわぁーーーーーーーーーー!」
「すっっっっごーーーーーい!」
ああ!なにかしらこれ、癖になりそう!
「ねぇねぇ!もう一回やって!」
「オホン、しょ、しょうがないわね。どうしてもって言うならもう一回だけやってあげるわ」
「ん?あれ?この張り紙…」
「どうかしたの?」
「えっと、亜衣さん、これなんだけど…」
『亜衣ちゃんへ、キッチンテラスで外に向かってビームを撃たないでください。先日校長先生に怒られました。ハルカ』
………。
「えーっと……」
「……だからダメって言ったでしょ!」
「えええええええ!?」
「ちょ…あれ?だって亜衣さんが…」
「まったく、わかった!?こういうことがあるから、ビームの使い方はちゃんと考えなきゃいけないのよ」
「え、えーっと?あれ?私が悪いのかな?」
「まぁ落ち込むことはないわ。わかったならいいのよ」
「えっと…そうだね!気をつけるよ!」
あ、あぶないところだわ。
この子がちょっとアホでよかった。
でも、これはいい子が入ったわね。
それに、とっても普通だわ!
最初はちょっと変わってるかな?とも思ったけど、よく考えたらすごく普通だわ。うん。よかった。これでヒロインハウスの普通率は過半数を越えたわね♪
「亜衣さん」
「なぁにクロ子♪」
「亜衣さんって、ちょっと変だね!」
「あなたにだけは言われたくないわ」
あれ?もしかして、普通なのってハルカさんだけなのかしら。まぁ、よく考えたらみんなギフト能力者だしね。普通な方が変な気がしてきたわ。ああ!普通ってなんなのかしら!
「私も亜衣さんみたいなビームヒロインになれたらなぁ」
…まぁ、そんなことどうでもいいわね。
なんていい子なのかしら!ふふふ!
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熊瀬川リン:三森すずこ
生田目亜依:内田真礼
超野悠美:諏訪彩花
剛力ハルカ:早見沙織
和迩黒子:竹達彩奈




