INTERMISSION-IV - talking about KimeZerifu -
※当作品は発行元である株式会社ポニーキャニオン(ぽにきゃんBOOKS)に許諾のもと、掲載を行っております。
「登場シーンのキメ台詞ってあるじゃん」
「うん」
「あれってやっぱり要るのかな」
「え、あれって強制なの?」
リンと悠美がなにか話してる。
キメ台詞かぁ。
そういえば、小学校くらいの時はそういうのにも憧れたりしたっけ。
「いや、この前ちょっと強盗を捕まえた時に、登場シーンのキメ台詞言わないで普通に捕まえたら『キメ台詞言わねぇのかよ!』って言われたんだよね」
「へぇ~」
「でも、普通に考えて超隙だらけになるわけじゃん。やっぱり言ってる場合じゃないよね」
「たとえばキメ台詞って、みんなどういう感じの言ってるの?」
「『月に代わってなんとやら!』とか『5つの光がなんとかかんとか!』とかかな」
「あれ、かっこいいよね!」
「いや、かっこいいかなぁ。あたしは、そんなこと言ってる間にさっさと敵やっつけなよって思うんだけど」
「そうかな…?」
「そうだな、これについては、さっきからなにか言いたそうにしてる亜依に詳しい話を聞いてみた方がよさそうだ」
「なにも言いたそうにしてないわよ。私を巻き込まないで」
「でも、亜依は考えてるんだろ?キメ台詞」
「考えてるわけないでしょ」
「…『熱い視線で溶かしてあげる☆』だっけ?」
…………。
「…悠美、どこでそれを……?」
それは、そのキメ台詞は、私が中二の時に気に入って使ってたやつじゃない…!
「いや、この前、亜依のお母さんとちょっと話してさ。そのとき色々聞かせてくれたんだよね」
「…………」
「…人違いよ…私に母親などいないわ」
「あれ?昨日お母さんからなんか荷物届いてたみたいだけど?」
なんてことを悠美に話したのお母さん!?
バカじゃないの!?
大体、なんで覚えてるのよ!?
覚えててもまぁいいわよ!
なんでよりによって悠美に話すの!?
「いや、それはなにかの間違いよ。とりあえず、私はそんなこと言っていないわ」
「へぇ~」
「『熱い視線で溶かしてあげる』って、いいね!亜依ちゃんの超熱視線【ヒートアイ】にピッタリ!かっこいいなぁ~!」
ああ、リン。あなたの場合なんの悪気もないんだろうけど、頼むからやめて。それ以上古傷を抉られたらしばらく立ち直れそうにないわ。
「よし、じゃあさ、試しにキメ台詞考えてみよう」
「絶対嫌よ。何を言い出すの」
「じゃあ亜衣のは『熱い視線で溶かしてあげる』に決まりな」
「わかったわよもう!考えればいいんでしょ!」
「キメ台詞かぁ~、こういうのってちょっと楽しいね!」
ぜんっぜん楽しくないわよ。
ったく、なんで高校生にもなってそんなこと考えなきゃいけないのよ。
「じゃあ、私のやつ言ってみていい?」
「おう!積極的なリンちゃんだな!いってみろ!」
「う、うん」
『お料理大好き!爪も出るよラブリーテディ!』
「………」
「ど、どうかな…?」
「うん、すごくいいと思うぞ!」
「そ、そうかな、エヘヘ♪」
ええ!?いまのアリなの!?
語呂とかリズム感とか全然ダメじゃない!
っていうかお料理はギフトに関係ないでしょ!?
「おや、なにか言いたそうだな亜衣」
「いや、別に、で、でもお料理はあんまり関係ない、んじゃ、ないかしら…?」
「あ、そうだね、お料理はあんまり関係ないね…」
「リン、先生のご指導を踏まえてやり直しだ」
「いや、うそ!いまのが最高にいいと思うわ!もう全然、完璧ね!私じゃ思いもつかない完璧なキメ台詞だったわ!」
「え…でも、お料理はやっぱり関係ないし…」
「そんなことないわよ。とってもリンらしくてかっこいいキメ台詞だったわ」
「…でも、やっぱりあんまりかっこよくない気がしてきたし…」
「どうだリン、ここはひとつ、亜衣にリンのキメ台詞を考えてもらうってのは」
「あ!ホントだね!ねぇねぇ亜衣ちゃん、私のキメ台詞考えてもらえるかな…?」
考えうる最悪の展開になってしまったわ。
どうしよう……。
そ、そうだ!
「その前に、悠美のキメ台詞を聞かせなさいよ」
これでどうかしら!?
「お、なるほど、あたしのキメ台詞か。そうだなぁ、考えたことなかったなぁ」
その調子よ。そして悠美も、思い出したら死にたくなるような香ばしいキメ台詞を考えるがいいわ!
「んーーー」
「よし!これでどうかな」
「ど、どんなキメ台詞かしら?」
『やれば出来る子!レディダイナマイト!』
………。
あ、あれ?普通に的確で、しかも別に恥ずかしい感じもないわね…。っていうか、やれば出来るって自覚あるんじゃない。タチ悪いわね。いつもちゃんとやりなさいよ。
それにしても、なにかしらこの敗北感。
もっとどうしようもないのが来ると思ったのに。
「…じゃ、じゃあ、リンのやつを二人で考えてみましょうよ」
「なるほど、望むところだ」
「わぁ~!やったぁ~♪」
最高のキメ台詞を考えて十余年。
ここで負けるわけにはいかないわ。
リンらしさを引き立てて、しかもリズム感があって、ヒロインっぽくて、普遍性があって、独創的で、古典を踏襲してて…。
「うーん、難しいなぁ」
悠美はてこずってるようね。なら先手必勝よ!
「出来たわ!いくわよ!」
『可愛い熊には爪がある!愛と勇気のラブリーテディ!』
どう!?これ、どう!?!?
「わぁ~~~すっごぉおおおおい!可愛い!!」
「おお、さすが亜衣だ!伊達に何百というキメ台詞を考えてきたわけじゃないな!」
「もちろんよ。そこらの素人と一緒にしてもらっては困るわ」
これは完全にキマッたわね。
我ながらほれぼれするようなキメ台詞だわ。これはもしかしたら、10年に一度の名キメ台詞を考えてしまったかもしれないわね。
「いやぁ、やっぱり亜衣はいいのを考えるなぁ」
ふふん、そうでしょ♪
「っていうか、さっき言ってた『熱い視線で溶かしてあげる☆』もさ、普通にいいよな」
「かっこいいよね~♪」
あ、あれ?
やっぱりそう?
「わ、私的には、まだ全然納得いかないんだけど」
「いやぁそんなことないよ。シンプルで、亜衣の能力にピッタリだし、良いキメ台詞じゃないか?」
そ、そうかしら…?
たしかにそうよね。
いま見ても、やっぱり結構いいと思うわ。
うん、そうね、確かに。
「そうね、確かに悪くないわ」
「じゃあさ、みんなで一回自分のキメ台詞言ってみようよ」
「いいわね」
「じゃああたしからな」
『やれば出来る子!レディダイナマイト!』
「勢いがあっていいわね」
「いやはやお恥ずかしい」
「悠美ちゃんっぽくていいね~♪」
「じゃあ次はリンだな」
「うん!よーしっ!」
『可愛い熊には爪がある!愛と勇気のラブリーテディ!』
「かっこいいな!バッチリだ!」
「うん、これは傑作ね」
「よし、次は亜衣だな」
「そうね、オホン…」
あれ?なんとなく嫌な予感が、するような…? 気のせいね、よーしっ!
『熱い視線で溶かしてあげる☆レーザーアイリス!』
ピピッ。
「ピピ?」
「ん?ああ、せっかくだから記念に録音しておこうかと思って」
「あああああああああああああああ!」
「かっこよかったぞ亜衣!」
「お願い消してええええええええええ!」
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熊瀬川リン:三森すずこ
生田目亜依:内田真礼
超野悠美:諏訪彩花
剛力ハルカ:早見沙織
和迩黒子:竹達彩奈




