57.いつも一緒にいよう
織と暮らし始めてから、多分もう2年目くらいになるのか、と裕介は思っていた。
午前10時。
スマホのアラームがなる。
自分のスマホのアラームだった。
もうすでに布団の中で目覚めていて、隣でまどろんでいる織に絡みついていたところだった。
裕介は、手を伸ばして、スマホを取り、アラームを止める。
その後で、もう一度、織に抱きついていく。
織が、ため息交じりに囁く。
「昨日…も、して、今も…」
「織」
「最近…激しいね、裕介…」
織の書く小説は、全部購入して、裕介の仕事部屋の本棚に全て入れてある。
織が、小林ユキという名義で書いている官能小説を読むと、自分の知らない織の過去が描かれていて、裕介の嫉妬心を煽られる。
それが、毎日織を求める原動力になっているのかもしれない。
織も、滅多な事が無ければ、裕介を拒否する事が無かった。
昔、彩と住んでいた頃は、いつも酒臭いと言われていたが、そんなに飲んでいる自覚は無かった。
織も、酒はよく飲んでいる。
だから、彩と織では、気になり方が違うのかもしれない。
そんな風に、どうしても昔の家庭を思い出し、比較してしまうのだ。
織の良さを再認識して、自分が間違っていない事を確認したいだけなのかもしれない。
そんなことも、織を抱いている最中は、全て忘れられた。
昨日の夜の気配が、織の太もも付近に残っている。
触れてみて分かった。
裕介は、構わず、そのまま果てた。
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鏡の前で、身体を確認する。
ムダ毛の処理くらいはしておきたい。
ようやく布団から出た織は、そのままバスルーム前で、全身のチェックを始める。
裕介は先に布団から出て、すでに仕事部屋に籠っている。
交わった後の気怠さで、織はしばらく寝ていたのだ。
シャワーを浴びて、いつものように下着姿のみで、リビングに向かう。
夏場は、Tバックしか履いてない格好の時が多い。
急な来客は、全て裕介が対処してくれるようになってから、より楽な格好になった。
家には裕介しかいないのだ。
上半身裸で、うろうろする恋人を裕介はどう思っているのか、気にならない訳では無いが、楽なものは、楽なのだ。
リビングには、コーヒーが置いてあった。
織が、シャワーを浴びている間に淹れてくれたらしい。
コーヒーに口をつけて、PCに向かった。
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作詞家でもあり、校正の仕事もあるが、慣れてくれば、会社員時代より、自由になる時間があった。
なにより、この部屋の心地良さが裕介には、たまらなく良かった。
適当に部屋を出て、散歩したり、食事をしたり、いちいち家族に何か言うことも、気にする事が無かった。
織は、織の用事があるとき、必ず向こうからラインで通知してくる。
よほどの緊急の場合にだけ、電話だったり、仕事部屋に来て直接声をかけてくる。
裕介が、どこで、何をしていようと構わないのだ。
とは、いっても裕介が部屋にいない時、大抵は、買い出しだ。
遠出もしなければ、一人でふらっと飲みにもいかない。
時間があると、ただ、リビングのソファにいて、織のキーボードを打つ音を聴いている事が多い。




