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魔闘士シェラハ  作者: ミーネ
魔物侵攻編
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幕間17話

シェラハの要望でサクさん他二名の背に乗せて貰い、ドリサイファスに入る。国境を跨いではいるけれど、火山から王都までより距離は短く半分位で着く。

なので数時間でドリサイファス国の王都付近まで来たのだけれど、直ぐに異変に気付く。


「あれは魔族の侵攻かな?随分大規模だけど」


「そうね、かなり苦戦しているようね」


「私達も参戦した方が良いかな。サクさん達はどうする?」


「あまり興味は無いな。だがお前等が望むなら、お前等の味方をして戦おう」


「んー、じゃあ良いと思うよ。参戦しなくても」


「シェラハそれでいいの?」


「え?いいんじゃないかな?私も参戦するのは、ハイミスリルの精製と加工わからなくなったら困るし、活躍したら教えて貰えるかもという打算と、面白い奴いるかなという好奇心だし、それに巻き込むのも悪いじゃない」


「シェラハはそういう所ドライよね」


「だって私は魔族達に恨みも何も無いし。コーラルの家族や学園の知り合いが被害に合うと嫌だから侵攻を止める方向で動こうとは思うけどね。それに赤竜は街の人から攻撃される恐れがあるし」


「そうね、いいわ。じゃあ今回はどうするの?」


「うーん、適当な位置で降ろして貰って防衛に参加するつもりだけど、今回はバラバラに好きに動こうか」


「バラバラに動くの?」


「うん、魔具で連絡は取れるしいいんじゃないかな?」


「そう、わかったわ」


サクさんに乗せて貰っていたシェラハと私で適当に決めた事を他の皆にも伝える。


「という事で、危険と思ったらちゃんと引く事。何かあった時は魔具で連絡する事。後は……偉そうな人が居たら恩を売っておく事」


「おう」「わかった」「うん」「了解ー」


「うん、最後のは余り気にしなくていいから、じゃあ皆気を付けてね」


私はサクさんにちょっと離れた位置で降ろして貰った後、皆と分かれて取り敢えず街壁の上に向かう。

偉そうな人ねぇ……目立っているのは、前線の十数人と街壁の上の十数人かしら?

まあ、偉そうな人に恩を売るのは皆に任せましょうか。

私がやりたい事は別にある。ローレンに続いてユリウスも闘神武具を作り出して、私は置いて行かれた気がしている。ノエルとツカサもヒヒイロカネとおそらくこれからハイミスリルの技術を物にするだろう。シェラハは言わずもがなだ。

なので、私も成長しなくちゃいけない。赤竜のお婆さん、ミスラさんと話す事で切っ掛けを掴めた。

竜の魔法は人ではおそらく再現出来ない、竜は体内で魔法を発生させる事が可能らしい。この体内は身体の内部という意味ではなく、身体そのものという意味だ。

例えばブレスなら普通に炎を生み出すのではなく、自分の身体に初めに発生させる事でおそらく闘気で強化され、強力な炎を吐く事が出来ると言った具合だ。

シェラハの魔闘気の様な感じだと思う。おそらくシェラハの魔闘気には劣るけれど。

なら、私も闘気で強化出来れば良いけれど、私の闘気は弱いし、レベルを上げたとしてもシェラハの様な事をするのはおそらく無理だと思う。そして竜の様な事も出来ない、風を纏ったり、雷を流したり等なら出来るけど身体そのものに発生させる事は出来ない。

そこで、私に出来る事は何か考えると、やっぱり魔力しかない。でも魔法を魔力で強化するのは、確かに強くなるけど、限界がある。

なので、魔法で魔法を強化する。

雷嵐サンダーストーム等はよく使っているけど、それはあくまで二つの魔法を同時に使っているだけだ。相乗効果で強化されては居るけれど、そうではなく片方を強化のみに使う。

先ずは一番得意な雷撃で試す。雷を発生させそこで留める。そして其処に重ねる様に再度雷撃。これを繰り返す。


「ん?……これは拙いかしら?」


十回位繰り返した所で、雷撃が始め線の様だった物から塊の様になっていた。そして周りに放電しており、制御出来なくなってきている。


「えっと、魔物しか居ない所はと……あそこでいいわね」


魔物が固まっている所に向かって、その雷撃を打ち出す。雷撃は通り道の魔物を全て黒焦げにし、地面に

当たった所で四散し、周りの魔物を感電させた。


「……思ったより強力ね。ただ、これは魔力の消費が激しいわ」


十発分の雷撃で、本来消費される魔力は全体の一割以下でしか無い。だけど、さっきの雷撃は半分以上を消費した。殆どを制御と重ねる事に費やしている。


「これは、二つか三つで考えないと、魔力の消費の面で使えないわね」


そこからは、自分が思いつく限りの魔法を、思いつく限りの組み合わせで重ねて発動していく。

その試行錯誤の結果、色々な事がわかる。

規模が大体同じじゃないと重ねられないとか、規模が違っても規模が大きな方を凝縮したりすると出来るとか。

風・嵐魔法を雷魔法で強化するのはやりやすいが、逆だと難しいとか。

この重ねる方法は空魔法を使っていて、使わないと無理かもしれないとか。そして空魔法を強化に使おうとすると魔力消費が跳ね上がるとか。


「こういうのはシェラハの影響かしら?」


試行錯誤をしながら、最良の物を見つけようとするのはそういうシェラハの姿を見ていたからだろうと思う。

出会う前は父や母や兄に教えられた事をそのまま覚えて使っていたと思う。

だけど今はその教えられた事を、組み合わせる一つの素材として考えるようになっている。


「良い事なんでしょうね……多分」


その試行錯誤の結果、ある一角の魔物と土地が酷い惨状になっているのを見て、最後の一言を付け足した。

近くの場所で魔法や矢等を放っている街の人達からの視線もちょっと気になっている。


……取り敢えず、余り気にしない事にして(この辺もシェラハの影響かもしれない)良いと思えた魔法について考える。

一つは風刃ウインドカッターを槍の様にした風槍ウインドスピアに、雷撃を重ねた物。

雷撃に雷撃を重ねるより威力が高く使い易かった。

そして竜巻に雷を重ね強化する物。雷嵐より範囲は狭いが、威力は格段に強くなっている。

この二つが威力、使い易さ、魔力消費で良いと思えた。

ただ、この二つだけでも強力にはなったと思うけれど、シェラハが戦った女騎士の鎧やローレンの盾を貫けるかと言われたら、難しいと思う。ローレンの盾は竜巻の方は防いだり吸収は出来ないと思うが。

なので、使い易さ、魔力消費を考えない威力重視の魔法を一つ作ろうと思う。

先ずは真空状態を作り出し、其処に雷を重ねる。そして空間圧縮で小さい雷の玉を作り出す。

真空状態にしたのが良かったのか思ったより制御がし易い。魔力消費は大きいけれど。

取り敢えずそのまま撃ち出すと、それは魔物の身体を貫き、地面に当たる。

威力は上がったようだけど此処からだ。さっきのは魔力消費三割位だったので、今の自分の限界まで試してみる。

魔力を回復させた後、再度真空を作り、雷を重ねる。其処にまた雷を重ねる。四回重ねた所で、五回目は無理だと判断し、圧縮する。

一度目とは余り見た目が変わらない雷玉が出来た。多重雷撃とは違い外への放電等は起きていない。

それを放つと、これまた似たような結果になる。魔物の身体に穴を空け、地面に当たる。

今回の魔力消費は九割以上だったので、頭痛を感じ暫く休憩する事にする。


「失敗かしら?手応えはあったのだけど……」


ある程度回復した所で、街壁より降りて結果を見に行く。

その二つの雷玉が生み出したのは、似たような結果で有りながら全く違っていた。


「ふう、これで少しは追い付けたかしらね」


一つ目の雷玉は魔物の身体を焼きながら貫いたような痕を残しており、二つ目は通った部分を消滅させた様な痕だった。

そして地面に当たった部分も一つ目は小さな穴を空けていて、二つ目は底が見えない穴を作り出していた。

その結果に満足したので、今回の実験を終わる事にする。


「後はローレンに盾で防げるか試して貰おうかしら?……防げなかったら拙いかしらね」


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