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魔闘士シェラハ  作者: ミーネ
魔物侵攻編
42/49

幕間16話

暗く鬱蒼とした森、その中心辺りにある洞窟、その前に何百人かの者が集っていた。

半分は獣と人を合わせた姿、半分は鳥と人を合わせた姿でそれぞれ整列している。

そして更に洞窟から数十人の者が出て来て、それぞれ並んでいく。

そこで獣人達をまとめていた狼の顔を持つ者の元に、鷹の顔と翼を持つ者が近付き話しかけた。


「これで集まったな。そっちはどうする?」


「何がだ?」


「何処の国を攻めるかって事、別々の所に同時に攻めるんだろ?」


「ああ……別に何処でもいいが」


「俺は北に行こうと思っているぜ。前に一度行って失敗したんでな」


「そうか、じゃあ我等は南に行こう」


「よし、決まりだな。じゃあヘマすんなよ」


「そっちこそな」


軽く声を掛け合った後、鷹の翼族は他の翼族を引き連れ北に飛んで行き、狼の獣族率いる獣族達は南に向かう。

そして、二つの軍勢が居なくなって何時間か経った所で、洞窟から二人の人物が出て来る。


「ふむ、此処が地上か」


「はい、空が綺麗ですね」


「そうだな、悪くない」


「うーん……獣族達は南に向かったようですね。翼族達はちょっと判り難いですけどおそらく北でしょう」


足跡等の痕跡を見て、女が推測する。


「そうか、じゃあ南に行こう。地上の者達の戦いを見てみたい」


「わかりました」


「面白いものが見れるといいがな」


「どうでしょうね、ふふふ」




その日、大陸の北にあるソレイト帝国の深淵の森に隣接したいくつかの村が、崩壊する。

突如空より現れた、村一つに対して十数人の翼族が魔法を打ち込む。巻き起こる嵐と雷、幾つかの炎と氷により、家は壊され畑は荒らされ、そして人は殺された。逃げ出せた者は居たが、周りの村も全て襲われた為殆どが息絶えた。

そして、翼族達はそのまま北上する。そして着いたのはソレイト帝国の南の街、シューディル。

今迄の村とは違い防衛戦力は段違いだが、普段のシューディルであればそのまま翼族達に蹂躙されていただろう。

ただ、その日のシューディルは普段とは違い、更に段違いの戦力があった。

これから、深淵の森に向かおうとしていたこの国の勇者達が居たのだ。

そして繰り広げられる攻防、上空から魔法を放つ翼族達はこれまでと同じように家を畑を人を倒していくが、これまでとは違い翼族達も地に落とされていく。

街が半壊、そして空に浮かぶ翼族達も半分以下まで減った所で、鷹の翼族は決断した。

鳴り響く笛の音、そして押し寄せる魔物達、ただその数は今迄この国に襲い掛かった魔物達より断然少なかった。シューディルの普段の戦力でも簡単に撃退出来たであろう。

だけど、今の街の状態では厳しい。翼族達も相手にしなければならないから尚更だ。

しかし、その心配は杞憂に終わった。魔物が街まで来たと同時に翼族は引き上げて行く。

そこからは魔物に対して全力で力を傾ける事で街を半壊で抑える事に成功した。


引き上げた翼族達は取り敢えず自分達に合った近くの高い山に向かった。態勢を整え再度攻める積もりだった。今回引き上げたのは、初めの村から続けての戦闘だったので、魔力が切れそうになっていたのもあるので、回復後再度攻めようと思っていた。

だが、その目論見は破綻する。避難したその高い山は、緑竜の生息地だった。風属性の竜達で、山とその周りの空を支配していた彼等は、それを侵した翼族に激怒した。

魔力の無い翼族は殆どが殺され、生き残った鷹の翼族と他三名は、命からがら深淵の洞窟に逃げ帰った。

今回の翼族達によるソレイト帝国への侵攻は村五つの壊滅と街一つの半壊で抑えられた。

その被害が大きいか小さいかはわからない。


その翼族の侵攻と崩壊から二日後、獣族が南の国リアロルド連合国に侵入した。

リアロルド連合国は五つの国が合わさっており、合議制で連合国を治めていた。

今回の魔族侵攻により、五つの国それぞれ一つずつのパーティーを勇者として深淵の洞窟に送る事になっていた。そして一番深淵の森に近い、ドリサイファス国に彼等は集まっていた。

そこに、獣族達がやって来る。

獣族達は翼族達とは違い村を無視して進んだ。そうして向かったのはドリサイファス国の中心地、途中邪魔だったものを蹴散らしながらやって来た。

当然獣族達の侵攻は伝わっており、防衛の準備を整えている。ドワーフとエルフ、そして少数のその他の種族が武器を構え、そして勇者が先頭に立つ。

その戦力はシューディルとは比べ物にならないだろう。国としては小さくとも、辺境の街と国の中心の街では違う。ただ、獣族達は翼族とは違い道程の魔物を引き連れやってきた。

五つの勇者パーティーと数千の街の防衛戦力に対して二百の獣族と万を超える魔物達。

この国の存亡を掛ける戦いが始まった。


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