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魔闘士シェラハ  作者: ミーネ
魔物侵攻編
35/49

第21話

第三位決定戦 私達対竜

午前と午後に別れてはいるが、準決勝と同じ日に行われる。

準決勝で後に行われた第二試合の敗者である竜達の方が試合間隔が短く不利かもしれないが、どう見ても私達の方がぼろぼろだった。

ツカサとユリウスは殆どダメージも無かったので問題無いが、ノエルは重傷で癒魔法によりある程度回復しているけど全力は出せないだろうし、フィアナと私は魔力が半分位しか回復していない。

ローレンに至っては、盾を両方とも壊しており、とても修理出来る状態じゃなかった。

急いで王都の武器屋で買ってきたけど、数段劣る物しか見付からなかった。それに攻盾なんて普通無いので、今は片手に槍を持っている。

私の大斧はなんとか修復出来たけど、急いでやったのもあり、弱体化している。

そして竜達の方はと言うと、準決勝で結構ダメージ受けているように見えたんだけど、試合が始まる前に見る限りではぴんぴんしていた。

…これは、もういっそ負けて星屑のペンダントだけ竜達から交渉で貰えないかな?それなら勇者にならなくても済むし。

何故か他の皆が、準決勝以上にやる気に満ちているので、とても声には出せないが。


「じゃあ、試合についてだけど、相手の竜三体を個別に対応して、私一人、フィアナとユリウスの二人、ローレンとノエルとツカサの三人で分かれるのが第一案、一番バランスが良いと思う。

次に私一人、ローレン一人、フィアナとユリウスとノエルとツカサの四人に分かれるのが第二案、私か四人がどれだけ早く一体を倒せるかが肝だね、ローレンの負担がかなり大きいけど。

そして私とユリウスとノエルとツカサの四人、ローレン一人、フィアナ一人で分かれるのが第三案、多分私達であれば早く倒せると思うけど、それまでフィアナが一体を抑えられるかが問題だね。

最後に分かれず、全員で竜三体同時に相手する第四案、これは予想がしづらいね、相手の動き次第になりそう。どれがいい?」


「私は第一案かしら、今の魔力量だと私一人だと保たない気がするわ。ローレンも盾が弱いし、バランス良くした方がいいんじゃないかしら?」


「俺は任せる。俺一人だと耐えられないし勝てないのはわかっているしな」


「私も」「僕もー」


「…僕に一人でやらせてくれないかな?第二案で行きたい」


「ふーん、ローレン竜を一人で抑える自信あるの?」


「やってみせるよ」


「そっか、フィアナ、それでいい?」


「ええ、いいわよ」


「よし、じゃあ第二案で行こう。私は一人で前の試合で真ん中に居た竜を相手する、あいつのブレスはかなり強力だったから私が良いと思う。ローレンはその左に居た身体が大きい奴を相手する事、ブレス等の魔法的な攻撃が少なくて弱かったけど、物理的な攻撃力は一番高いと思うから気を付けて。最後に右に居た奴を四人で相手してね、出来るだけ早く倒して欲しいけど、でも焦らないようにね、四人でも厳しい相手だと思うから」


「わかった」

「ええ」「おう」「うん」「了解ー」



「さて、目的まで後一歩という所だな」


「それはいいが、勇者の役目とやらはどうするんだ?三位になればこの国の勇者とならなければならないのだろう?」


「そうだな、これから戦う子等に譲る事は出来ないだろうか?」


「出来るのか?」


「わからないが、まあ駄目でも三位の上には二組いるのだ。少し役目を果たせば問題無いだろう」


「わかった」


「よし、最後で躓く事の無い様にするぞ」


「ああ」



試合が始まる。と同時に飛び出すローレン。

やる気満々だなぁ、詳しく訊けなかったけど『光輝剣』との戦いで何かあったのかな?

四人も竜の内の一人と剣を交え、私も残りの一人と相対する。

赤い髪に赤い瞳、二十代位の中々のイケメンで、頭の角と所々にある鱗が無ければ人そのものだ。

さて、ローレンの方がちょっと気にはなるけど、集中しないと私もやばいというか、私なら一人で勝てる風に作戦を立ててたけど、それ程自信は無かったりする。

取り敢えず魔闘気での強化を全身にし、様子を見る事にする。一撃必殺狙って、ローレンより先にやられるとかになったら、作戦立ててた時の事が物凄く恥ずかしくなるので、ここは慎重に行く。

初っ端からブレスを吐いてきた。定番の霧、水、氷魔法で防ぐ。ブレスは強力ではあるけれど、距離もあるし準備も万端なので楽に防ぐ。

そして動きが少し止まった所を狙い、大斧を振り下ろす。相手はそれにより吹っ飛ばされる。

やっぱり硬いなぁ。でもそこそこダメージを与えた筈。

いきなりブレスから入って、隙を作ってくれるなんて、かなりありがたい。

ただ、起き上がった相手の顔は真剣で、さっきまであった余裕や油断が無くなっていた。

そこからは接近戦が始まった。ブレスを止め格闘で攻めてくる相手に対して、大斧で守りつつ魔法でカバーする。

魔闘気で強化している私と比べて、力は同等、速さは私が上、頑丈さは相手が上という感じだけど、大斧と格闘ではどう考えても相手の手数が上で、その身体自体が武器と同じ位に硬い為、押し負けてしまう。そこを魔法でカバーする事で、なんとか良い勝負に持ち込めているが、始めに一発当てているとはいえ、耐久面では勝負にならない。

一応持久戦になった時用の策もあるが、他の皆も心配なので、勝負を掛けようと思う。

防御主体を止め、相手の拳や蹴りを大斧で受け止めず、避けるか身体で受け流す。

少しダメージを受けるし、失敗すると拙いが、さっきまでの攻防で大体相手の力は掴めた。

そして、大斧での攻撃を当てると共に魔法も攻撃主体に変更する。

よし、少しずつ押してきた。流石にかなりタフだけど、そこまで長くは掛からないだろう。

という所で、格闘での攻撃を休めず、ゼロ距離からブレスを吐いてくる。

おそらく狙っていたんだろう、けど私もこれだけは頭から外さず対策は整ってる。

大斧の『指向性爆発』によって瞬時にブレスの範囲から身を避わすと同時に回転し、そのままの勢いで大斧を薙ぎ払う。

ブレスを放って動きの止まった竜は、それで再び吹き飛び倒れた。

その時、相手の身体が燃え上がると徐々に炎が大きくなり、前に戦った赤竜の姿になった。

それも前より一回り大きい。

あれは有りなのだろうか…?有りみたいだ、審判も誰も止めない。

そして突進してくる赤竜。ここは真っ向からぶつかる事にする。勿論保険はしてあるけど。

『指向性爆発』、『雷放出』、『重力操作』による一撃の力の増加、今回は体内に雷を放出すると相手を殺してしまうので、『雷放出』も『指向性爆発』と同じように使用し、威力を上げる。前回の戦いで使ってまだ魔力回復していない為『絶対零度』が使えないのが残念だ。

炎と雷を吹き上げながら振り下ろされる大斧が、突進してくる赤竜の鼻先と激突する。

私の身体は後方に飛ばされ、大斧は今度は修復不能な程砕ける。

そして、赤竜はそこで地響きを立てて崩れ落ち、立ち上がりはしなかった。


赤竜が気絶している事を確認した後、他の皆の様子を見る。

四人の方は押しているようだ。無傷とは行かないが、このまま行けばそう時間も掛からない内に倒せるだろう。この竜も変化したら、まだどうなるかわからないけど。

そして、気になるローレンの方はと言うと、満身創痍だった。

槍は折れて転がっているし、盾もぼろぼろ、身体も所々動きがぎこちないのでダメージを負っているのは間違い無い。

相手の攻撃を受け止めきれているようだけど、盾一つだけだと自分の身体を守りきれていない。

さて、一応私が一人倒すまで抑えきれていたので、開始前にやってみせると言った分は達成出来ている訳だけど、どうしようか?

今回凄くやる気だったので、もう少し様子を見る事にしようかな?

大斧が壊れた私だと一対一は厳しいので、ローレンがやられる前に介入する積もりだけど。


少し見ていると、竜の攻撃にローレンの持つ盾が保たず砕けた。そして追撃を掛け様とする相手に、私は氷の槍を向けようとするが、ローレンの様子を見て止めた。

ローレンは砕けた盾を気にせず、相手の攻撃を見ながらも避けようとする事無く、集中して闘気を集めている。

そして、竜の攻撃は、ローレンの目の前でローレンの手にある大きな盾によって受け止められていた。

そのローレンの身体全てを覆う様な大きな六角形の盾は、何の装飾も無くただ黒く、竜の攻撃をびくともせず防いでいる。

あれって闘神武具だよね?いつの間に作れるようになったんだろう?

そしてローレンはその盾を二つに分割する。槍のように尖った三角形の盾と、五角形の盾に分かれる。

あれ攻盾と防盾だよね。結構気に入ってくれてたみたいで良かった。

そして二つの盾を構え、戦闘を再開する。五角形の防盾は竜の攻撃を確実に受け止め、そして三角形の攻盾は…相手に当たる事なく避けられる。

…最後の落ちまでローレンらしいなぁ。攻防一体の武具なのに、攻撃に役立ってない。

そういえばあの盾の能力はなんだろう?…二つに分かれる事が能力じゃないよね?

そして格闘が通じないと知った竜がブレスを吐いたが、それを防盾が全て飲み込むと攻盾から放出された。竜本人が吐いたブレスなので効かないみたいだけど。

あれが能力かな?ブラックホールとホワイトホールみたい。…どっちも黒いけど。

それから攻防が続くが、あの竜の攻撃は全て完封出来るようだ。物凄い防御力である。

ただ、ローレンの攻撃も全て避けられているけど。

その攻防を見物している間に四人の方は決着が着いていた。誰も倒れる事無く勝てたようだ。

そして埒が明かないので、最後の一人はその後六人で倒した。

私達の三位が決まった。


決勝戦 『光輝剣』パーティー対『天剣士』パーティー

この戦いは人数差、連携の差が凄く出た。一人一人の強さはそう変わらなくて、相性の良し悪しが勝敗を左右するようなものだった。

そして『光輝剣』パーティーの連携により、相性の悪い戦いを強いられた『天剣士』パーティーは一人ずつ倒れていき、『光輝剣』パーティーの優勝が決まった。


そして閉会。

「この大会を戦った者、誰もが見事な戦いだった。特に上位三パーティーは、我が国の誇りと言える者等だ。そなたら三パーティーには我が国の代表として、深淵の洞窟を探索してもらう。国からの援助は出来るだけ行うし、魔族の討伐、拠点の発見等の功績には充分な報酬を与える。

どうか、今魔族からの侵略に脅える民達の希望となって欲しい」


国王の言葉の後、景品を渡される。オリハルコン武具と竜素材の武具に関しては、その人に合った物を国お抱えの鍛冶師に要望を言った後作って貰うらしく、私達だけが景品を貰うという結果に。まあ、賞金は四位~八位まで渡されたけど。

おー、これが星屑のペンダントかぁ。分解しちゃっていいかな?一度解魔もしなきゃなぁ。

大会も終わり宿に帰りながら、そんな事を考えていると、私達の前に三位決定戦を戦った竜達が立ち塞がった。



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