幕間13話
準決勝 第一試合の他の戦い。
ノエル対魔術師
相手は炎の魔術師、勝つのは難しいだろうけど、簡単には負けない。
先ずは魔法戦なんてやったら直ぐに負けそうなので、なるべく接近する。
とは言っても簡単には近付けないので、なんとか土の防壁で相手の炎を防ぎ、足を止めない。
拙い、近付けない。私がなんとか近付こうとするよりも、相手が遠のく方が速い。土の防壁も簡単に溶かされ、防御に集中しないと防げない。
…無理そう。最後に賭けをしよう。
自分の足元から土で自分を押し上げると共に、重量低下を掛けて一気に跳び上がる。途中炎を突っ切る事になったので少し火傷したけど、炎の範囲を突き抜ける事が出来た。
今度は戦鎚に重量増加を掛けて、相手に向かって思いっきり投げ下ろす。
炎に再び包まれる前に確認したが、戦鎚は相手の足に当たっただけで、倒す事は出来なかったよう。
…残念。
ツカサ対忍者
かなり厳しいかなー?
うん、弓で狙うのは無理。爆発を推進力に使った魔具の矢も使ってみたけど、かすりもしないや。
接近戦かぁ、動きが速すぎるんですけどー?
一撃の強さは無いけど、動きを追うのがやっとで、どんどん傷が増えていく。急所だけは守っているけど、いつまで持つかな。
これは、無理かなー?…でも一泡吹かせたいなぁ。
相手の忍刀を受け止めたタイミングで、僕の持つ小刀を爆発させる。指向性を持って破裂した小刀の破片が相手に向かって飛んでいく。
これは、避けられなかったようで、幾つかの破片が相手を傷付ける。
そこを狙って、矢を放つ。これも爆発する魔具だけど、ある意味失敗作で爆発が強過ぎて、至近距離しか
飛ばない矢だ。けど威力は満点。
だけど、それを相手は身を避わすと同時に横風で軌道を逸らし、胸を狙った矢は腕を掠った後砕け散る。
避けられちゃったかー、負けちゃったなー…。
ユリウス対『剛剣姫』
『剛剣姫』の大剣と真っ向からぶつかる。
ははっ、楽しくなってきた。こういうの滅多に出来ないんだよな。
ローレンは受け止めたり受け流すから競り合えないし、シェラハだったら簡単に押し負ける。
ん?あれ押し負けるって言うのか?俺の力を散らされて、シェラハの力はそのままみたいに押されるんだよな。
おっと、やばい、集中しないと。
基本的な戦い方は俺と一緒のようだ。威力のある斬撃を連続で打ち付ける、攻撃一辺倒の戦い方。
力も速さも相手が上だけど、なんとか付いていけている。
と、思っていたら、戦い方が変わった。
どちらかと言うとシェラハ寄りの、技巧を凝らした攻撃をどんどん放ってくる。
この人、どっちも出来るのか…というかこっちの方が防ぎにくいし、さっきまではたまに反撃出来ていたのに、防御するしか出来なくなってしまった。
そして、それもすり抜けて攻撃を食らうようになった所で、勝負に出る事を決意する。
左肩に前から、右足に後ろから闘気爆発による衝撃を加える。と同時に少し跳ねるように姿勢を整える。
俺の身体は空中で斜めに回転し、その勢いのまま斬りかかる。
防がれた。でも、ここからだ。
連撃の技と闘気爆発による加減速を組み合わせて、相手に予測されない連撃を放つ…事が、出来ればいいなと思うけど、実はまだ訓練不足で思うように出来ない。
ちなみにその一つの形と呼べるものをシェラハに一度見せて貰ったけど、シェラハは私には向いてないと言っていた。
しかも、俺には向いているだろうから頑張ってと言われた。俺、今でもシェラハがやっていたレベルまで到達していないんだけど、どういう事?…まあ、いつもの事だけどな。
ちっ、また外した。やっぱり思ったように行かない。特に闘気爆発の方は勢いが強過ぎたり弱過ぎたりして、身体が暴れてしまう。
相手もちょっと警戒して手数が減っていたけど、俺の動きにも慣れてきたようで、また手数が増えてきている。
完全に見極められる前に、勝負を仕掛けなければ。
一度離れ呼吸を整えると、大剣に炎を纏うと同時に闘気物質化により剣身を伸ばす。これらを使いながらやるのは一度も成功していないけど、やれなきゃ負ける訳だし、やるしかないだろ。
先ずは連撃を仕掛ける。そして、それに闘気爆発で急激な変化を与える。
よし!ここだ!
隙を見つけ其処に打ち込んだ、と同時に相手の剣によりカウンターを決められた。誘い込まれたようだ。
あーあ、負けちまった。
フィアナ対『水癒姫』
死んでさえいなければ、回復させる事の出来る癒魔法の使い手と有名だけど、攻撃魔法の腕はどうなのかしら?弱い筈は無いと思うけど。
私は雷撃を撃ち込んでみる。するとそれから防ぐように『水癒姫』の周りに浮かび上がる水。
それは、完全に雷撃を受け止め、消し去る。『水癒姫』自身には何の影響も及ぼしていない。
次は水ごと吹き飛ばすつもりで、嵐を一点に集中させ放つ。
だけど、再び『水癒姫』には何の影響も及ぼさず水に止められる。
見る限りでは、シェラハの水の波動に似ている。嵐の衝撃を水が波打つ事で受け流しているように見える。
私の雷魔法や嵐魔法では、あの水の防壁を破る事は難しそうだ。となれば空魔法に頼るしか無いが、まだ上手く制御出来ないのが問題だ。
かと言って、魔力が少なくなってから使用して、『魔氷姫』との戦いのように、倒れてしまったら拙いし
ね。
考えていると、相手から攻撃を仕掛けてきた。水の散弾と共に防壁に使っていた水を私の方に伸ばしてくる。
あの水に捕まるのは、とても拙い気がする。
私は風を身に纏って決して捕まらないよう高速で移動しつつ、水の散弾を雷撃で撃ち落す。
そういえば、闘技会で戦ったリア先輩が同じ様な魔法を使っていたわね。あの時は攻撃に移った所を風で抑えて防御させないようにしたけど、今回は無理か、抑えられる気もしないし、無詠唱で作り出せるみたいだから。
今の所二つ以上作ってはいないけれど、作れないかどうかすら定かじゃない。
やっぱり、空間切断で水を切り裂くしか無さそうね。相手は殆ど魔力を消費していない様なのに、こっちはどんどん魔力が減っている、早目に勝負に出ないといけないわね。
動きながらだと無理なので、水を防御に向かわせる為に雷撃を撃つ。そして、空間切断を放つ。
だけど、それと同時に切断箇所に水が集まると、爆発が起きる。
そして、水が半分以上減ってはいるけれど、『水癒姫』自身には何のダメージも与えられず、空間切断の魔法は打ち消された。
二発以上連続で放てない私には、あれを突破するのは無理らしい。
とはいえ、諦める気もない。空間切断の魔法は後一回しか魔力が保たない。
相手は直ぐに水を同じ規模まで戻したが、攻撃には移らない。
最後のチャンスだ。私は再び空間切断を放つ。私の魔力は殆ど無くなる。
そして、その後を追うように杖に『雷刃』を付け飛ばす。
くっ、ダメ、最後まで見届けなければ。
魔力の枯渇によって、意識を失おうとするが、このまま倒れたら前回の戦いから全く成長していない事になる。
私は頭痛や倦怠感を堪えながら、私の放った魔法の結果を見る。
再度の爆発とそこに突き込まれる杖、薄くなった水を突き抜けた杖はその雷の刃を『水癒姫』に突き立てる。
ただ、水を突き抜けた時に消耗した雷では倒す事は出来ず、膝を付かせるに留まる。
『水癒姫』が自分を水で包むと、殆ど回復し、その後の水の散弾によって私は倒れた。
負けたわね、まだまだ届かないか。
ローレン対『光輝剣』
最初から今まで防戦一方だ。とはいえ、今の所攻撃を貰う事なく防げている。少しずつ、反撃する事も出来るようになってきた。
確かに強いけど、魔闘気を使うシェラハより力も速さも技も劣る。
この国最強クラスの冒険者な筈だけど、こんなものなのかな?と思った所で、『光輝剣』が少し下がり剣を腰の鞘に納める。すると、次の瞬間『光輝剣』の手に光り輝く剣があった。
さっきまで持っていた剣もかなりの業物だと思うけれど、今手に持つ剣の力は桁違いに見える。
そして、そのまま振り被ると、どう見ても剣の届かない位置で剣を振り下ろす。
あれはやばい!
咄嗟に両手に持つ盾を身体の前に持ってくると、闘気の物質化により盾を広げ身体全体を覆うようにして、全力で防御する。
そして、襲ってきた衝撃。その場に留まる事は出来ず、吹き飛ばされ地面を転がる。
急いで起き上がり体勢を整えるが、『光輝剣』は追撃には来ていないようだ。
盾を見ると、大きく一本の傷があり、次は防げないかもしれない。かと言って避けるのも難しいだろう。
さっきは『光輝剣』が剣を振り下ろして直ぐに衝撃が襲ってきたけど、それ自体は見えなかった。
ただ、傷を見ると斬撃である事は確かだ、おそらく剣の軌跡から繰り出される見えない刃なんだと思う。
それなら、さっきのタイミングに合わせる事で受け流す事も可能かも知れない。
そんな事を考えていると、再度『光輝剣』が剣を振ってくる。
僕はおそらく向かって来ているであろう見えない刃を想像し、盾で受け流そうとする。
一応、成功した。僕は再び地面を転がっているが。
でも、盾は壊れず、僕の身体も問題無い。衝撃を殺せなかったので転がる羽目になったが、盾に刻まれた傷はさっきよりかなり小さい。
『光輝剣』は少し驚いていたけど、直ぐに再び剣を振る。今度は三度。
振り下ろされた剣はそのまま斜め上に振り上げられそして振り下ろされる。
一発目は受け流せたが、二発目により攻盾の方が壊れ、右腕に大きなダメージを受ける。そして三発目で防盾が壊れてしまう。三発目のダメージはそれ程無いが盾が無くなってしまった。
そして、再度剣が振られる。
僕は闘気物質化により盾をイメージし、なんとか防ごうとする。
だけど、盾は一瞬形作られようとするが、直ぐに形を失い、『光輝剣』の刃を防ぐ事は出来ず、僕は倒れた。
殆ど何も出来ず負けたけど、倒れる時の僕は試合の事は頭に無く、最後に形作られようとした盾を、心に強く留めた。




