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魔闘士シェラハ  作者: ミーネ
魔物侵攻編
31/49

第18話

勇者選抜大会が始まる。国王様が整列している私達へ挨拶する。


「我々は今魔族の侵攻という脅威に見舞われている。それから街を守るのには我が騎士達に力を尽くして貰うが、守るだけでは勝てない。そこでこの国の実力者の代表であるそなたらに攻めを担って頂きたい。この大会で三位までのパーティーには、この国の勇者として深淵の洞窟を攻略してもらう。その為の助力は惜しまない。そなたらの中でも強力なその三パーティーならきっと深淵の洞窟の底まで攻略出来ると信じたい。その力を存分にこの大会で披露し、私に確信させてほしい」


挨拶も終わり、早速第一試合が始まる。

『光輝剣』パーティー対Aランクパーティー

その試合は終始『光輝剣』達の優勢で、それも手加減しているようだった。馬鹿にしてるとして責められる事もありそうだけど、殆どの観客達は歓声を上げていた。これも彼らの人徳かな?

試合は優勢のまま『光輝剣』が勝ち上がる。


第二試合 獅子王流という拳術の流派の門下生対Sランクパーティー

獅子王流という名前は聞いた事無いけど、六人全員が手甲だけで武器を持たず、魔術師も居ないようだ。

開始と同時に特攻して行く。Sランクパーティーの方は剣と盾二人、槍一人、短剣と弓一人、魔術師二人のバランスの良いパーティーだ。固まって迎え撃つつもりのようだ。

獅子王流の方、一人だけずば抜けて強い奴がいた。始めはSランクパーティーの方が優勢だった。前衛で何とか受け止めている間に魔術師の魔術で二人を倒す。

だがそこからその一人が目立ってくる。放たれる魔術の殆どを避け、避けられないものは拳で打ち消し、しかもそれを前衛二人と戦いながらこなす。四人を一人で相手している間に、残った三人が一人ずつ倒していき、結果獅子王流の勝利で終わった。


第三試合 『魔氷姫』パーティー対Aランクパーティー

開始同時に氷の薔薇が咲き乱れる。Aランクパーティーはそれを砕こうとしたり、範囲外に逃げようとしたり、炎で溶かそうとするがそれら全てを飲み込み彼らは氷に閉じ込められ、試合は終わった。第一試合とこの試合、どちらが相手にとってひどいんだろう?


第四試合 私達対Sランクパーティー


「さて私達の出番だね」


「シェラハ、『魔氷姫』と張り合おうとか思わないでね」


「ぎくぅっ」


「ぎくぅっじゃないわよ全く、私達にとって良い修行の場でもあるんだから」


「ええー、じゃあ手加減するの?」


「手加減しなくていいから、自分の相手だけにしなさい」


「一対一に持っていくの?」


「まあ相手次第でもあるけどね」


「…まあいっか、ローレン達もそれでいい?」


「僕はいいよ」


「俺もだ、Sランクとの一騎打ち楽しみだな」


「私はちょっと怖いけど」


「僕もー、僕とノエルは厳しくない?」


「じゃあ私がフォローするよ」


「よし、決まったわね。じゃあ頑張りましょうか」



反対側の控え室


「俺等の相手見たか?子供だぜ。多分十歳位じゃねえか?」


「ああ、予選を勝ち上がってきたんだからある程度の実力はあるんだろうが、戦いにくいな」


「お前等油断するなよ。本気で行かないとあっさり負けるぞ」


「リーダーどうした?随分真剣だな。あの子等の事知ってるのか?」


「お前達も知ってる筈だぞ、シークーを守った英雄達だ」


「は?あの子等が?」


「ああ、海からの魔物の侵攻を知らせるだけでなく、群れの半分以上の魔物を倒し、その上レヴィアタンも倒し、壊された街壁の前で魔物の侵入を防ぎ、侵入した魔物の殆どを素早く倒したのは彼女等だ。その内の一人の戦い振りを見たが子供所か二つ名持ちと何ら変わらない力を見せられた」


「冗談だろ?」


「いや、違う。あの戦いの功績で俺達はSランクに昇格したが、彼女等が居なければ俺達は昇格どころか命を落としていたかもしれない」


「…」


「わかったなら初めから本気で行くんだ。じゃないと瞬殺されるぞ」



試合が始まる。と同時にバラバラに別れるSランクパーティー。私達も合わせるが向こうから一対一に持ち込んできた。

私の相手は大柄な剣士だ。


「久し振りだな」


「?」


「覚えてないか。シークーでは世話になった」


「ああ、魔物の侵攻の時あそこにいたんですか?」


「ああ、君達のおかげで助かった。感謝している」


「いえいえ、こちらこそ。私達だけで撃退したわけでもありませんし」


「君の強さは知っている、本気で行かせてもらうぞ」


「そうですか…楽しみです」


どっしり構えるその姿は確かに本気だと伺われるもので、私は楽しくなってきた。魔闘気を練っている間に先に斬り掛かってきたので、それを魔闘気を練りながら対する。

流石Sランクというもので、力も速さも技も高い水準だ、特に力が凄まじい。

これはそれを上回る力をお見せしなければなるまい。

練った魔闘気を全体に回し、袈裟斬りにしてきた剣に真っ向から大斧をぶつける。一瞬鍔迫り合いになるが私の方が押し始める。力では勝てないと悟ったのか、それを受け流しつつ方向を変えるよう誘導してくる。凄い力を持ちつつ、それに拘る事なく手を変えてくる、流石だね。だけど私はそれをさせない。

彼の顔付きが変わる。方向が変わらない事に気付いたんだろう。このままだと私の大斧は肩を直撃する。

彼は一瞬大きな力を込め対抗すると、転がるように軌道から外れた。だけど私は逃がさない。

そのままだと会場に突き刺さる大斧を流れるように方向転換させると、そのまま彼を追い掛け、彼が立ち上がる前に首の前で大斧を寸止めする。

これが私の本来の戦い方、柔らかい身体で流れるように力を逃がす事なく、自由自在に力を操作する。なので闘気爆発の様な技術は私に合わない。一撃必殺はあくまで趣味である。


「…参った。降参する」


…あっ、そういえばノエルとツカサのフォロー忘れてた。やばいやばい。

んー、二人共善戦してるじゃん。

ノエルは土と地の魔法で足止めしている。決定的な攻撃を当てる事は出来ていないが、剣士である相手を近づけてもいない。

ツカサは弓と短刀を使い動き回っている。いつ見ても忍者みたいな戦い方だなぁと思う。忍者の戦い方なんて見た事無いけど。

弓使いなのがちょっとイメージと合わないけど、あと鍛冶師なのもイメージと合わない。何よりあの性格がイメージと合わない。

…まあ、それは置いといて、魔術師である相手の魔術に捕まらないよう動き回り、大きな魔術を使わせないよう牽制しているようだ。

どっちも直ぐに負ける事は無さそうだけど、勝つのも難しいようなので、手を貸す事にする。

先ずはノエル、足止めの役を代わり、接近戦が出来るようにする。

ノエルは闘気も魔法も使えるけど、両方を同時に使って戦える程器用じゃない。なので魔法を使って足止めしつつ鎚で攻撃する事が出来ないし、あの剣士相手に鎚だけで挑むのは荷が重い。そこで私が魔法部分を肩代わりする。

私の思惑は直ぐ伝わったようで、ノエルは接近戦に移り、勝利を収める。

次にツカサ、こちらは相手の魔術を防ぐ方向で手助けする。必死で避けていた部分を攻撃に移せるようになり、ツカサ優位になる。

そしてこちらも勝利を収めた。


さて他三人だけど、こっちは私がツカサに手を貸して直ぐの頃には、相手を倒していた。

生意気にも一番早かったのはユリウスである。まあ、本来速攻がユリウスの持ち味なので勝負が決まるのは早くて当然だけど、ユリウスは一人だけ負けたりとかが本当の持ち味なのに。


「何か、酷い事考えてないか?」


「そんなことないよ。全員勝てたね、良かった良かった」


「…まあいいや。そうだな、俺達も中々強くなったよな」


「うん、Sランク相手に完勝は誇っていいと思うよ」


ツカサが相手を倒した所で、試合終了の号令が為され、私達の勝ちが決まる。


第五試合 『天剣士』パーティー対Aランクパーティー

一人少ない『天剣士』パーティーだけどあっさり勝利を決めていた。『天剣士』『地槍士』の他に『迅雷槍』『豪炎斧』『狂嵐師』の二つ名で構成されているようだ。

でも何で五人なんだろう?二つ名のソロが見付からなかったのかな?二つ名じゃなくても連れて来れば良かったのに。


第六試合 チンピラ対ローブで隠したままのパーティー

チンピラ扱いは失礼かも知れないが、チンピラにしか見えなかった。Aランク以上の強さは持っているようだっただけど。

ローブで隠したままの相手に突っ掛かって、あっさり倒される。

相手の強さも見極められず、安易に突っ掛かって、倒される時に「そんな馬鹿な」みたいな感じ、声に出してた訳じゃないけど。

あのローブだけど、隠蔽系の魔法が掛かっているようだ、闇魔法かな?何を隠蔽しているのかはよくわからないけど、この一回戦はともかくこれから先で隠したままではいられないだろうし直ぐにわかるだろう。


第七試合 Sランクパーティー対『城塞鎧』パーティー

これは凄かった。『城塞鎧』はその名の通り物凄い全身鎧を着ているんだけど、多分嵐魔法だと思うけど鎧に魔法が掛かっていて、相手が放つ全ての魔法を自分に引き寄せていた。

三人で放つ魔法を全て受け止め、剣と盾と鎧で殆ど無傷で防いでいた。ローレンが凄く感心していた。

三人の魔術師の魔法を封じた『城塞鎧』パーティーは数の多さで押し切って勝った。


第八試合 一般参加対若手騎士

この一般参加のパーティー三人なんだけど、竜で構成されている。竜は人に変化出来る固体がいるらしいけど本当だったようだ。人と友好的な竜は街で生活している者もいるらしい。魔族にも竜がいるらしいのによく参加させたなぁ。

でも何で参加してるんだろう?勝ち上がったら勇者やるのかな?

竜達は人の姿のままだとある程度力が落ちるらしいけど、それでも竜なので人間よりも強い力で一人で騎士二人を相手取る。というか危険になったら竜の姿に戻るんだろうか?そこまで広くないんだけど。

竜にも個性があるようで一人は力任せに大剣を振るい、一人は流麗な格闘術を見せ、一人は魔法主体で戦っている。

特に格闘術を使う竜が強く、直ぐに騎士の二人が倒される。ただ二人倒しても他の戦いには参加しないようだ。

魔法主体の竜も騎士を倒し、大剣の竜と二人の騎士の戦いのみになる。

ルークがかなり健闘し、大剣の竜を追い詰めるが、もう一人の騎士が先に倒れ、ルーク一人では抑えきれず負けてしまった。


これで上位八パーティーが揃った。二回戦は明日。楽しみである。


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