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魔闘士シェラハ  作者: ミーネ
魔物侵攻編
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第16話

街壁の上でフィアナ達と別れた私は魔物と騎士達の戦いを殆ど無視して走り抜ける。

そして魔物側の後方、街側の最前線に着くと、何人かの騎士をあしらいながらも前には出て来ない鬼の前に立つ。


「こんにちは」


「…こんにちは」


「おっ、挨拶返してくれるとは思いませんでした。えっと貴方魔族ですよね?」


「魔族?…人間が私達に付けた名前ですか。まあそうですね、私は人間が魔族と呼ぶ者です」


「私はシェラハ、貴方は?」


「私は凶眼鬼のキョウジです。初めて人間と名乗り合うのが子供相手とはね、わからないものですね」


「凶眼鬼ってのは種族名ですか?」


「いえ、称号のようなものです、我等の種族は雑兵は鬼、ある一定以上の強さを認められるとラゴウの戦鬼のように二文字の名が与えられ、そしてまた一定以上の強さが認められると私の様に三文字が与えられます」


「それは何文字まであるんですか?」


「王が四文字ですよ」


「へえ、じゃあ貴方は王に準ずる力を持つのですか?」


「いえ、三文字の中でも大きな格差がありますので、我が種族だけでも私の上に何人か居ますよ」


「…随分詳しく教えてくれますね」


「まあ、別に知られて困る情報でも無いですしね。今回の役目はただの見物です。人間を殺して回ろうと、適当に戦おうと、子供と話をしようと私にとってはどれでも構いません」


「ふーん、それなら色々教えてくれますか?」


「いいんですが…いえ、貴方は一応戦いに来たんでしょう?それなら戦う事にしましょう」


「わかりました。その前に最後に貴方方魔族の目的を教えて頂けませんか?」


「一応この大陸の征服ですね。我等が鬼王が仕える魔王様がその目的を掲げられたので、我等はその尖兵になります」


「征服ですか、またなんで?」


「さあ、そこまではわかりません。そろそろいいでしょう、始めましょう」


「わかりました、行きます」


魔闘気で強化し、大斧を振り上げ、振り下ろす。

初めの一振りをキョウジは腕で受け流す。技術も力もある事はわかっていたけどこれをノーダメージで済ませられるとは思わなかった。

驚きつつも表に出さず、連撃に繋げる。それをキョウジは一瞬で後方に離れ大斧の範囲から逃れる。

何だろあれ?私の全力での速さに匹敵する速さで移動した。でもあの動き以外はそこまでの速さじゃない。何らかの技術かな?

まただ。今度は速い動きで接近して来て殴りかかって来る。しかも闘気物質化によって射程距離を伸ばして。

私はそれを足の強化と共に避けながら、大斧によるカウンターを狙う。そこからは高速での戦闘に移る。

足への強化に集中した事で、大斧の威力は下がったが、あの速さで移動されても今の私なら付いていく事が出来る。

そして何度も攻防を交える事で、あの速さの秘密もわかってきた。闘気による強化ではなく闘気を開放というか爆発というかさせる事で瞬時に推進力を得ている事と、直線的な動きしか出来ないという事が。

そうなってくるとアドバンテージは私の方にある。強靭な肉体によって致命傷は与えられていないが、私の大斧がもう何度もキョウジの防御を掻い潜りダメージを与えていた。


「強いですね。その小さな身体でその速さと力。尊敬しますよ」


「ありがとうございます。そういえば貴方方は武具等は装備しないのですか?」


「私達は自分の肉体に誇りを持っていますので、ですが貴方の様な子が居るのならそんなものに拘っていると拙いかも知れませんね」


「そうですね、貴方方とは言ってもまだ二人しか見てませんが、肉体というよりも闘気が優れていますよね。見る限り肉体の強さは竜に及ばない、だけど闘気を合わせると竜に匹敵する。それなら適した武具を持った方が強くなれると思いますよ。まあ、とは言っても人間よりは十分優れた肉体ですが」


「そうですか、王に話してみるとしましょう。でも良かったんですか?我々は人間の敵ですよ?」


「そうですね、じゃあ最後に本気で行きましょう」


私は大斧の魔法陣を使い、本気の一撃を放つ。今回は大斧へのブーストではなく私自身をブーストさせる。レヴィアタンに放ったものには威力は劣るが、その速い動きにキョウジは反応出来ず、大斧は角を折りそのまま右腕を切り落とす。


「これが私達人間の弱い肉体を補う装備と技術です。追い付いて来るのを楽しみにしていますよ」


「…くくく、わかりました。楽しみにしていて下さい」


キョウジは切り落とした右腕を左手で掴むと、ラゴウとローレン達が戦う場所まで行くと、ラゴウを連れて引いていく。


「うーん、拙かったかな?…まあいいか」


私もフィアナ達と合流する。取り敢えずユリウスを魔法で癒し、残る魔物達を仕留めると、ノエル達とも合流し会場に帰る。


「シェラハは何をしていたのかしら?」


フィアナにキョウジの事と話した内容を話す。


「へえ、魔族は本気でこの大陸を征服する気なのね」


「本気かどうかは微妙だけどね」


キョウジからは本気で人間を倒そうという気概は受けなかった。


「あの口振りだと、魔族には鬼以外にも居そうなんだよね。他の魔族も見てみたいなぁ」


「多分これから見れると思うわよ」


「そうだね、魔王、鬼王がいるなら、獣王とか竜王とか海王とかいるかなぁ?」


「そこまで居るとなると洞窟の中は一つの国所じゃない広さがある事になるけどね」


「地下世界とか異界とか別の大陸に繋がってたりして、うーん卒業まで待てないかも」


「なんならまた飛び級でもする?」


「それもありかも」



鬼族のキョウジの称号を『凶蒼鬼』から『凶眼鬼』に変更しました。

キョウジ以上の鬼達を十人以上から数人に変更しました。


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