第15話
魔物の侵攻はこの国だけではなく、この大陸全ての国で起きていた。そして全ての国の王都に当たる中心の都市が、魔族と名付けられた言葉を話す意思ある魔物率いる魔物の群れに攻められた。全ての国がそれを防ぐ事は出来たが、今回は宣戦布告のようなもので本気では攻めて来ておらず、魔族を仕留める事はどこも出来なかった。
そしてついでのように、港町シークーのように率いる者の居ない魔物の群れに攻められた街が幾つもあり、その内五つの街が滅ぼされてしまった。この国でも一つの街が滅ぼされてしまった。
「魔族かぁ、強いのかな?」
「そうね、父の部下が交戦したらしいけど、強靭な肉体で魔術が殆ど通用せず、強力な力で防ぐ事の出来ない攻撃をしてきたらしいわね」
あの情報が入った後、急いでコーラル、そしてフローリアに帰ってきたけど、どちらも魔物の侵攻は起きておらず、今は一度王都の家に帰ったフィアナから話を聞いている。
「へぇ、闘気タイプかぁ」
「二本の大きな角を生やした、3m位の人型の魔族だったらしいわよ。本人は戦鬼のラゴウと名乗った様ね」
「ふーん、どれ位の強さなんだろうなぁ」
「私は強さよりも、魔物を従えられる事の方が問題だと思うけどね」
「まあそうだね、どうやってるんだろうね?…そういえば魔族ってどこから来たの?」
「深淵の洞窟の先って推測されてるみたいだけど、正確にはわかっていないわね」
「深淵の洞窟?」
「この大陸の中心にある、まだ誰も一番深い所まで行って戻ってきたことのない洞窟よ。どこまで続いているのか、どこかに繋がっているのか誰も知らない洞窟よ」
「推測通りならその先は魔族が暮らしているわけだ?」
「そうなるわね」
「…どっちにしようかな?」
「何を迷ってるの?」
「卒業したら外海に新大陸発見に行くか、深淵の洞窟に探検に行くかで迷ってる」
「…はぁ、どっちも凄く危険よ。外海の方は潜水艦に色々設置してた辺りからなんとなくわかったけど」
「フィアナはどっちが良いと思う?っていうかフィアナはどうする?一緒に来る?」
「そうね一緒に行きたい気持ちはあるけど、家の事もあるしね、こんな情勢だしわからないわね」
「そっかぁ、貴族は大変だねぇ」
「人事じゃないわよ、魔族はまた攻めてくるだろうし、勇者選抜の話もあるしね」
「勇者?」
「まあ簡単に言えば、国を代表してその深淵の洞窟を探索してもらう人ね。街の防衛には大勢の人が必要だけど洞窟の探索は少数の優れた人が必要でしょう?だから有力な冒険者等を勇者認定して、国の援助を受けて深淵の洞窟攻略をしてもらうってことね」
「へぇ、勇者かぁ」
「どの国でも一定の数の勇者を送り出すらしいわよ。この国ではどうやって勇者を認定するか決まっていないけど、私達Aランクパーティーでしょう?もしかしたら勇者認定されるかもね」
「ふーん、国の援助ってどんな感じかな?」
「多分金銭と武具って所じゃない?成果に応じての報酬とかもあるかもね」
「それ程要らないなぁ、なっても面倒くさそう。別に勇者じゃなくても深淵の洞窟って入れるんだよね?」
「別に規制とかしてないと思うし許可なんて必要無いと思うわよ、自己責任でしょう」
「そう…しばらく冒険者活動休止しようか?魔石開発もしたいし」
「はぁ、好きにしたらいいんじゃない?」
「ってことで、暫く私は冒険者活動はしません。個々人で活動して下さい」
いつものメンバーが揃った所で発表する。皆はポカンとしていて、フィアナだけがため息をついている。
「いや、ってことでとか言われても意味わかんねえぞ」
「まあユリウスは馬鹿だから仕方ないね」
「えっ?俺だけ?わからないの?」
「簡単に言えば勇者にはなりたくないので、目立つ行動は控えましょうって事」
「シェラハは勇者になりたくないの?」
「ローレンはなりたいの?まあ、止めはしないけど個人で頑張ってね」
「なあ、俺だけだったのか?何かおかしくない?何でそのまま話進めてんの?」
「ユリウスうるさい」
「…」
「私はもっと大容量の魔石開発したいから、暫くはそれに集中すると思う。素材も結構余ってるし、外にはあまり出ないから、依頼や魔物討伐とかには付き合えないから行くなら気を付けてね」
「そっかぁ、じゃあ僕は刀打つのに集中しようかなー。やっと魔鉄から満足のいく魔鋼が精製出来るようになったし」
「私は潜水艦の強化をする」
「私はちょっと魔族に関する情報集めがしたいから、それに集中するわ」
「…ユリウスどうする?」
「どうすっかな?ローレンと二人って事だよな?…暫くは自己鍛錬に努めるか?」
「そうだね、まだ闘気物質化を使いこなせていないし」
「…なあ、闘技会はどうするんだ?もう直ぐって程でもないけど、もう少しだろ」
「うーん、今回はさあバラバラのパーティー組まない?」
「は?」
中等部での闘技会は、一年目闘技会のルールというか日程が変わり一日目戦士部門、二日目魔術師部門、三日目パーティー部門、魔具披露会は三日間別会場で展示に変更になった。それによって、戦士部門と魔術師部門が一緒に行われないので両方に参加出来るようになったのだ。多分参加ではなく両方を見学出来る様に変更されたんだと思うけど。で、折角なので出てみたら三冠王を達成した私。魔闘気使えば負ける気しないけど、片方しか使えなかったら多分無理だろうと思って出たら全てで優勝してしまった。
二年目、三年目は自重して個人戦には参加せず、パーティー戦だけ出た。ちなみに全部優勝。
「私達の連携って意味ではもう闘技会での戦いはあまり意味無さそうだし、皆バラバラになって自分のパーティー組んだ方が経験になると思うんだよね」
「要するにパーティー戦でも敵同士になって戦うって事か?」
「うん、どうかな?」
「いいんじゃないか、面白そうだ」
「いいよ」
「僕とノエルは観戦してるよ、ねっ?」
「うん」
「…まあ、いいと思うわよ」
「よし!じゃあそういう事で、メンバー集め頑張ってね!」
話も終わり解散し、フィアナと一緒に部屋に戻る。
「ねえ、シェラハ?」
「ん?なに?」
「貴方は参加するのかしら?パーティー戦」
「…えへへ」
「はぁ」




