幕間09話
潜水艦試運転中、魔物の群れと遭遇した僕達は陸に降ろされた後、冒険者ギルドを目指した。
「すみません!緊急です!魔物の群れおそらく二千以上の魔物が海からやってきています!」
受付の人や周りの人は暫く固まっていたが、ため息を吐いて動き出す。
「すみません、それではギルドマスターの所にお連れしますので、そこで詳しく話してください」
「わかりました」
受付の人は即答したフィアナに驚いていた。悪戯だと思って、ギルドマスターの所に連れて行くと言えば止めて帰るとでも思われたのかも知れない。
そしてギルドマスターの前で詳しい話をする。信じてもらうのは難しいかなと思っていたけど、直ぐに調査と防備を固める事を指示してくれた。
ギルド員の緊急招集、街の領主への報告等も直ぐにやってくれ、そのおかげで魔物が着く前に防御を固める事が出来た。とは言ってもギルド員と街の騎士が装備をして海岸に集まっただけで、ちゃんとした準備が出来たわけじゃないけど。人数は二百人位だ。
「来たぞ!」
調査によりわかったのはこちらに向かってくるのは千位の魔物だった。その中でも巨大な身体を持つ魔物の姿が見える所まで来る。
それと共にこちらの魔術師の魔術が幾つも飛ぶ。が、殆どは水の壁に防がれる。相手にも魔法が使える奴が居るようだ。それも結構な数が。
そこから魔法合戦が始まる。こちらからは多種多様な魔術が飛んで行き、向こうからは殆ど水と氷の魔法が飛んでくる。飛んでくる魔法は僕の手の届く限り防ぐ。
魔法合戦は両方に少しの被害を出して終わる。魔物達が上陸してきて、僕とユリウスはそれと相対する。
「よし、行くぞ!」
ユリウスが大剣に炎を纏わせて斬りかかる。ユリウスは今ではあの火の大剣を使いこなし、火を纏わせつつ剣技が繰り出せるようになった。剣技も連撃以外にもいくつか使える。
その周りで魔法を使おうとしていた魔物達に、幾つもの雷が落ちる。多分フィアナだろう、前と比べると太く速くそして数が格段に増した雷撃がその後も所々で魔物を打ち倒す。
僕も負けていられない。攻盾に闘気を込めるとそれをそのまま放出、そして盾の周りで物質化させ、透明な刃で一周りも二周りも大きくなった攻盾を構えて突進する。敵を攻盾で貫き、防盾で弾き飛ばす、それを繰り返しながら進行方向の敵を一掃する。
ちなみにこれが出来るようになった時にシェラハに戦いを挑んだら、あっさり見破られ物質化した部分を横から払われ盾を弾かれ負けてしまった。何で見えない闘気の刃がわかったのか気になったけど教えてくれなかった。その頃からシェラハは弱点や欠点を突いて打ち倒しては来るけど、その弱点や欠点を指摘したり直してくれたりしなくなった。「そろそろ自分で考えなきゃね、もう子供じゃないんだし」とか言ってた…その時まだ九歳だったんだけど。
その時何故気付かれたかは、もうわかっている。闘気を物質化したら不可視ではあるけど、質量重量を持つのだ。約二倍の大きさ、重さになったらよく観察されれば気付かれるに決まってる。そしてその先端辺りを別の方向から払われたりしたら制御出来ない。対人戦では少しだけ切っ先を伸ばすように使った方が効果は高い事に気付いた。
防衛戦は街側の有利に進んでいる。数の差はあるが、それ程強い魔物が多くなかったし、相手は殆ど水属性なので対処がし易いというのもある。
攻めてきた魔物も半分位に減り、こちらの戦力は疲れてはいるけど九割程残っている。勝てそうと思われた所で最悪な報告が入る。
海の反対側、街の傍の森から五百程の魔物が進攻してきているようだ。
「どうする?」
「シェラハに連絡入れるわ」
フィアナが通信魔具で潜水艦に連絡する。あの魔具は空魔法で音を離れた所に届ける事が出来るらしい。
「ちょっと問題が起こって、シェラハに替わってくれる?…森側から約500の…こっちは今の所防げそう…わかったわ、じゃあよろしくね」
「どうなった?」
「そうね、ローレンは森側に行ってくれる?シェラハも向かうそうよ。ここは私とユリウスが残る事になったわ」
「うん、わかった」「いいぞ」
僕は騎士や冒険者と共に街中を走り森を目指す。大体半分位が森の方に向かうようだ。
「ローレン!」
「シェラハ?!よく追いつけたね」
森に着く少し前にシェラハがやってくる。
「うん、飛び越えてきたよ」
よくわからなかったので詳しく聞いたら、海水で自分の身体を撃ち出して、街の殆どを飛び越えてきたらしい。僕達も海岸から一直線に来たけど建物とかを避けてきた、それをシェラハは本当に一直線に来たようだ。
「でもちょっと間に合わなかったみたいだね」
僕達が森側の魔物と遭遇したのは外壁が壊され、既に何匹かに街に進入された後だった。
「ローレンはあの壊された所に陣取ってこれ以上魔物を進入させないで!私は既に入ってきてる奴等を倒して回るから」
「わかった」
壊れた壁を乗り越えようとしている魔物を押し返し、そのままそこに陣取る。
周りを囲むのはこちらも多種多様な魔物達。一番上がBランクのハイオークやブラックウルフリーダーの様で、Aランク以上が居ないのは助かった。
そこからは耐える時間だった。こちらから攻撃はしにくいので、向かってきた所を反撃して少しずつ減らしていく。
闘気で防盾を強化して街への進入を防ぐ。突進等は避ける事も出来ないので真っ向からぶつかる。ブラックウルフリーダーの突進にも負けずに押し返せた時は自分の成長を感じた。
…拙くなってきた。此処は抑えられてるけど、第二、第三の穴が出来始めている。こちらに来た冒険者と騎士達も街の中と外で別れたので、数が少なく手が足りない。
だけど壁が破られる寸前という所で助けがやってくる。
「お待たせ」
その一声と共に、ひび割れた壁に群がる魔物が大波で森まで押し流される。
「ふう、今度は間に合ったみたいだね」
「うん、助かったよ、シェラハ」
街の中に散った冒険者と騎士達も合流し、そこからはこちらの優勢で戦いが進み、もう街に進入される事なく魔物を撃退できた。
ローレン
魔力/闘気レベル:7/40
STR:A(A) VIT:S(S) AGI:B(B) DEX:B(B) INT:B(B)
スキル:強化(闘気)50,土魔法10,闘気放出50,闘気圧縮45,闘気物質化25,槍術30,盾術50




