第14話
さて時間が経つのも早いもので、私達ももう10歳、高等部一年だ。
中等部は何処行ったとか思うかもしれないけど、きちんと三年頑張ったよ?
中等部では探索実習が始まって、魔物の居る森や山での実習があったけど、レッドドラゴンをも倒した私達からすると魔物関係はほとんど問題無かったし、その他の事も殆ど問題無かった。
私はこの三年間、潜水艦造りに熱中していた。熱中し過ぎて連休明けに学園をサボって怒られたりもした。一ヶ月サボるのは流石に怒られても仕方無いと思う。
ノエルも仲間に引き込んで、中等部で新しくツカサを仲間に入れ、たまにローレン、ユリウス、フィアナに手伝ってもらい、そして高等部一年の初めの長期連休である今、完成した。
鉄とアダマンタイトで作られた艦体、各所に散りばめられた水を操る魔具、そこに繋がるミスリルの鋼線、竜鱗や竜骨も使い強化したら色が赤紫になって禍々しくなったけど、それも悪くない。
「「「「「「やったー!」」」」」」
「よっし!じゃあ試運転行こう!」
「「「「「おう!」」」」」
六人で出来た潜水艦に乗り込む。潜水艦はそれ程大きく無いので、初めは四、五人位しか乗れそうに無かったけど、フィアナが空魔法を使える様になった事で、空間拡張が出来るようになった為、今では10人位が乗れるようになった。
空間拡張のおかげで、ちょっと諦めてたお風呂や畑に工房も付ける事が出来て、大満足の作品になった。
後はきちんと航行出来て、海の魔物からの防衛も出来たら、完成と言える。
試運転は南の港町シークーを目指す。距離1000km位、色々実験しつつ向かって片道二日の予定だ。
先ずは海水を潜水艦のあるドッグに流し込む。そしてその海水を操りながら、海へと出て行く。
「おお!行けた。じゃあ、次はノエルやってみて」
私しか運転出来なかったら拙いので、水属性じゃなくても操作出来るか試してみる。
「うん、大丈夫」
「よし!次は…最高速度出してみようか。と、その前にソナーを掛けないと」
ソナーを掛ける。ソナーは霧の結界の魔法を応用して作った、範囲1km位を網羅出来る。ソナーと呼んでいいか微妙だけど、本当は音波とかを出して帰って来る反応で調べるんだっけ?
さて把握出来た。じゃあ最高速度出してみようかな。
結構速いね、時速50km位は超えてると思う。
「なあ、俺にも操作させてくれよ」
「ええー、ユリウス壊しそうだよね?」
「いや、ちゃんとやるって」
「仕方無いなぁ、じゃあ交代で操作しようか」
そこからは、10分毎に交代しつつ、深度も確かめる。一応深度1km位まで問題無かった、この辺だとこれ以上深い所無いから後でだね。1kmの深さであれば、水圧操作をしなくても問題無く耐えられたので、魔具に異常が出ても大丈夫だろう。
「おっ、でっかい蛸が居るぞ。こっちに向かってくる」
「じゃあ、ちょっと戦ってみようか。武装の確認もしたいし」
「じゃあ、魚雷撃っちゃうよー、発射!」
ツカサが魚雷を発射する。
この魚雷、水の中を直進し、当たると爆発する。爆発の方は火属性のツカサの作品で中々の威力がある。今は直進しか出来ないので、出来れば誘導弾とかも作ってみたい。
魚雷は巨蛸の身体の三分の一程をごっそり削り取る。死んだ巨蛸を回収するが、素材が殆どダメになっている。
「うーん、魚雷はもっと強いのにしか使えないね。勿体無いよ、魚雷自体の値段も掛かるし」
「ええー、じゃあ僕ヒマになっちゃうじゃん」
「工房で刀打ってていいよ?」
「僕要らない子なんだー?えぇーん」
ツカサが泣き真似をしながら工房の方に向かう。将来刀鍛冶になりたいらしいけど、イメージとはかけ離れた刀鍛冶になりそうだ。唯一年上なのに。
気を取り直して、魔物を相手していく。少し外海に出たので、一気に魔物が増えた。
艦を動かしながら水流水圧操作を相手に仕掛けたり、電撃網、投槍等を試していく。
そして、艦の中から外に魔法が使えるかも試す、これはかなり難しかった。出来ない事は無いが魔力を大幅に消耗する。緊急時以外は止めといた方が良さそうだ。
ある程度浮上した後水流水圧操作の魔具を持たせてローレンやユリウスに艦外で戦ってもらったりもした。これに関しては島でも練習してたのでそれ程問題無かった。発艦、着艦も問題無いようなので大丈夫だろう。
試運転はかなり上手くいった。操作自体は二人も居れば問題無いので、二人ずつで交代でまる一日位運転し続けたりもしたが魔力の消費もそれ程無かったので、私の魔力補充もそれ程必要無さそうで良かった。
事件は後少しで目的地に着くという所で起きる。私はお風呂に入っていたが、鳴り響く警報に急いで上がる。今はユリウスとノエルが運転してた筈だけど、どうしたんだろう?
「何かあった?」
部屋には全員揃っていた。
「ああ、見てみろ」
魔具を渡され、ソナーをかけると、物凄い魔物の数に驚く。範囲内だけで千を軽く越す魔物が居て、範囲外にも居るようだ。
「これ街に向かってるの?」
「みたいだな、でも同じ魔物っていっても種族ばらばらだぜ、何があったんだかな」
その魔物達は、小さな魚型から大きな魚型まで居て、魚人っぽいのも居る。巨蛸や巨烏賊、貝の様な魔物に亀の様な魔物、多種多様な海の魔物が速度の遅い魔物に合わせて行進していた。
「うーん、原因は置いといて、一、潜水艦で戦いを挑む。二、街に上がって防衛に協力する。三、無視して家に帰る。どれがいい?」
「「一」」「「「二」」」
見事に別れた。ノエル、ツカサが一でユリウス、ローレン、フィアナが二だ。私は一が良いので三対三になる。まあユリウスとローレンは陸での方が戦い易いし、フィアナは街への情報とか共闘とか色々考えてそうだ。ノエルとツカサは私と一緒で潜水艦を試したいんだろう。
「じゃあ、急いで街に向かって三人降ろすから、フィアナ後は任せた。私達は三人で潜水艦で遊撃するよ」
「了解よ」
潜水艦を街に向けると全速力で発進する。陸に着くと三人を降ろし、回頭して魔物の群れを目指す。
見る限り街の人はまだ気付いていないようだ。あの行進のペースだと一時間位で魔物達が着いてしまうだろう。出来るだけ時間を稼がなければいけない。
「じゃあ行きますか、魚雷全門発射!」
「よっしゃー、いっくよー!」
魚雷を一斉に六発、広範囲にばら撒く。密集している所で爆発し、一発で十位の魔物を吹き飛ばす。
「よし次、突きぬけるよ!ノエル!」
「うん!」
ノエルによる『硬化』、『重力増加』が艦体にかけられ、そのまま突進する。
それ程の大きさではないとは言っても、巨蛸や大魚等よりは充分大きな潜水艦が突進すれば、その進路上の魔物は潰されたり、弾かれたりしてやられていく。
魔物の群れを突き抜けた所で再び回頭する。爆発の近くに居た魔物等が街の方から逸れ潜水艦に向かってくる。が、それも三分の一以下だ、残りは街にそのまま向かっている。
「魚雷って後何本あったっけ?」
「直ぐに撃てるのは後六本だよ、一応倉庫に十本位あるけど、運んで装填する暇無いよね」
「じゃあ、全部撃っちゃおうか、あの街に向かってる奴等の方に」
「了ー解、発射!」
再び同じ位の数の魔物を倒し、その周りの魔物を引き寄せる。先にこっちに向かってきていた魔物達も近付いてきたので電撃網や水圧操作で対応する。
「引き寄せられたの半分位かぁ、もっと遠距離の武器や広範囲の武器が欲しいなぁ」
「いや充分じゃない?千匹以上こっちにきてるよ?これ倒せるのかな?」
「大丈夫でしょ、いざとなったら逃げたらいいし」
「まあそうだね、海龍とか居なくて良かったよね、居たら終わってたよ」
「その時は陸に上がって対処するしかないね。そういえば魚型の奴とか街攻める時どうすんだろ?」
「さあ?その魚型はほとんどこっちに来てるけどね」
そこからは群がる魔物を倒しつつ、囲まれそうになったら突進して抜けるを繰り返す。
「シェラハー、そろそろフィアナが込めてくれた魔力切れるよー」
「そっか、魔物の方はやっと半分位だね。どうしようかな…」
「シェラハ!来る!」
ノエルの叫びと共に大きく揺れる潜水艦、確認すると潜水艦の十倍はある大きさの魚がぶつかって通り過ぎていっていた。
「鯨?」
「レヴィアタンだ!こんなのいつの間に来たんだろ?」
レヴィアタンはその巨体に似合わぬスピードで、再度艦に突進してくる。今度はかするだけで済んだがそれでも艦が大きく揺れる。
「…私が外に出る。あいつの相手は私がするから、他の奴等の相手お願い」
「うん、わかった」「まっかせてー」
艦を出てレヴィアタンと相対する。と同時に魔闘気を全身に込める。今では直ぐに練る事が出来、量も段違いに多くなった。
私を無視して潜水艦に再び突進しようとしていたレヴィアタンの目に大斧を振り下ろす。
大斧に刻んだ魔法陣は『重力操作』、『指向性爆発』、『雷放出』、『絶対零度』の四つだ。
魔闘気をふんだんに込めた大斧を振り下ろすと共に、重力を増加させ威力を上げ、大斧の後ろに爆発を起こし更に威力を上げ、眼ごと頭を破壊し大斧が食い込んだ所で内部に雷を放出する。
『絶対零度』は使わない、というか使えない。今の私の魔力だとほんの少しの効果をもたらして、魔力が尽きてしまう。もっと高容量の魔石を付けるか、私の魔力が増えないと使えないだろう。まあ、一応四属性揃えたいけど、魔法使えば済むからどんな魔法陣を刻むか悩んだあげく、使えない魔法陣を刻んじゃったわけだ。
それでもその一撃はレヴィアタンの命をあっさり奪う。頭の一部を破壊され、脳を焼き尽くされたレヴィアタンは動きを止め海底に沈んでいく。
「ふう、一撃で魔石の魔力無くなっちゃったか、もっと良い魔石作らないとね」
他三つの魔法陣も充分多くの魔力が必要なので、本気で使うと魔石に目一杯に込めた魔力が一度でなくなってしまうのを残念に思いながら、残る雑魚を大斧と魔法で倒していく。
潜水艦の方は突進だけで倒している。
やっぱり武装が少ないなぁ、帰ったら何か考えないとね。
さてそろそろ一度艦に戻ろう、魔力補充もしないとだし。
「シェラハ良い所に帰って来たねー、フィアナから通信入ってるよー」
「はいはーい、シェラハです。どうしたの?…」
シェラハ
魔力/闘気レベル:35/35
STR:B(A) VIT:B(A) AGI:A(S) DEX:S(SS) INT:A(S)
スキル:強化(魔力)50,強化(闘気)50,水魔法50,氷魔法48,霧魔法40,癒魔法25,闘気放出40,闘気圧縮30,闘気物質化5,斧術32,魔法陣作成42,調合40,鍛冶50,木工30,裁縫38
ノエル
魔力/闘気レベル:25/24
STR:B(B) VIT:A(A) AGI:C(C) DEX:A(A) INT:B(B)
スキル:強化(闘気)40,強化(魔力)40,土魔法50,地魔法30,鋼魔法10,闘気放出20,鎚術42,鍛冶40,裁縫35,木工30,魔法陣作成30,調合28
ツカサ
魔力/闘気レベル:27/18
STR:A(A) VIT:C(C) AGI:B(B) DEX:B(B) INT:B(B)
スキル:強化(闘気)20,強化(魔力)35,火魔法50,爆魔法38,炎魔法15,闘気放出3,弓術25,鍛冶40,裁縫20,木工36,魔法陣作成30,調合12




