幕間08話
シェラハから補習組の勉強を見てあげるから、少し遅れるという連絡をもらい、予定の日より三日経った頃、門の前に子供が立っているとの連絡が入る。多分シェラハだろうと思い迎えに行くと、何がしたいのか取次ぎをしてもらおうともせず門番とにらみ合いをしていた。
シェラハはたまに馬鹿になるわね。家の母に似てるわ。
その母の案で母の職場を訪ねる事になった。あの職場には変な人間が多いので心配で私も付いて行く事にした。
魔術研究室では私は風属性の人の所で魔術を見せてもらっていたので、シェラハとは別行動だったが、少数の変な人間が目を輝かせて喜んでいる所を見た。きっとシェラハが何かやったんだろう。
魔具研究室ではシェラハは色んなあると便利な道具を挙げていた。エアコンかぁ、私の魔法で出来るかしら?
そして何故か模擬戦をやる事になったシェラハ。相手もそんなにやる気無さそうだけど、母は何の為にこんな事を?
模擬戦はあっという間に終わった。シェラハを甘く見過ぎだ、相手の魔術騎士が凄く落ち込んでいる。本当に何がしたかったんだろう?
相手の魔術騎士が再戦を申し込んで来て、二戦目が始まる。
今度は相手も本気で行くようだ。さっきの速いだけのファイヤーボールとは違い、炎魔法と爆魔法を無詠唱で連続して放っている。シェラハはそれを水、氷、霧を自分の周りに配置し、相手の魔術に対し効果的な抑え方で防御していく。
「シェラハちゃん本当凄いわねー、さっきは奇襲みたいな形で勝ってたけど、今度は魔法戦でルークと互角以上にやり合っているわ」
「お母様、この模擬戦どういうものなんですか?」
「うーん、ルークはね、まだ魔術騎士になって一年目なんだけど、本気で戦える相手が隊長クラスしかいないのよ。確実に勝てるのなんて団長と副長位なの。将来有望なんだけど、ただちょっと天狗になっているみたいでね、どうしようか相談受けてたの。そしたら闘技会でシェラハちゃんが戦う所見て、子供相手に苦戦するようなら自分を省みるかなと思ったんだけど、シェラハちゃんの方が強いとは思わなかったわ」
「はあ、そんな事でシェラハを使ったんですか?」
「悪いとは思ったのよ。でも団長や副長に負ける位じゃなんとも思わないし、実戦で挫折を味わったら命に関わるしね、悩み所だったのよ。ほら決着が着きそうよ」
ルークが炎の竜を作り出す。おそらく彼最大の魔術だろう。かなりの迫力だ。
だがそれはシェラハに向かって行く途中でいくつもの氷壁に足止めされ、氷霧に纏わりつかれた状態で、冷水で弱体化していく。氷壁を幾つか壊した所で、シェラハに届かず消えてしまう。そしてその砕かれた氷に、水蒸気、水が全てルークに向かっていく。ルークはそれを防ぎ切れず、二度目の敗北が決まった。
「本当凄いわね、私でも勝てないかもしれないわ。魔法以外もありだったら多分負けるわね」
「私もこれ程とは思ってませんでした」
「フィアナ、シェラハちゃんをしっかり掴まえておきなさいよ」
「シェラハとは友達です」
「そう、ふふっ、彼女の友達は大変よ。頑張ってね」
「…」
残りの休みで何度かシェラハと戦ったけど、まだ指導って感じで本気にさせる事が出来ないでいる。
きっと、いつか彼女と並び立ってみせる。




