第12話
初めて王都にやって来た。フィアナの家は…あっちかな?
うわっ!でかっ!
そこには私の家の十倍はある屋敷が建っていた。
貴族って凄いんだなぁ。
「シェラハ、良く来たわね。さあ入って」
フィアナが迎えに出て来てくれた。門番さんとの睨み合いが楽しくなってきた所だったので、ちょっと残念だ。門番さんも凄いなぁ、私みたいな子供にも注意しつつ、お客様だとわかったら即座に対応しちゃった。
「今日はゆっくりしていって、明日王都を案内するわ」
「うん、ありがとう」
「じゃあ、客室に…」
「いらっしゃい!シェラハちゃん!」
「わっ!えっと…」
「私はフィアナの母のサリナよ」
「初めまして、シェラハです」
「そんなに固くならなくていいのよ、もっと楽にして」
「はあ…」
「それでね、学園の闘技会見させてもらったんだけど、シェラハちゃん凄いのねぇ、明日私の職場に見学に来ない?」
「職場ですか?」
「ちょっと、お母様それは…」
「いいからいいから。うん私の職場、魔術や魔具を研究してるのよ」
「…はい、わかりました」
「うん、明日一緒に行こうね。フィアナ貴方も来る?」
「はあ、わかりました。行きます」
「そう、明日が楽しみね!じゃあゆっくりしてってね!」
フィアナのお母さんであるサリナさんは突然来て、突然去っていった。
残された私達は暫く呆然としていたが、フィアナが気を取り直して客室に案内してくれた。
「こっちに居る間は此処を自由に使っていいわよ」
「ありがとう」
「さっきは母が悪かったわね」
「元気なお母さんだね」
「明日は多分もっと迷惑をかけるわ」
「えっ、何で?」
「明日になったらわかるわ」
次の日、馬車でフィアナとサリナさんに連れられ出発する。
んー?何かフィアナの家より大分大きい建物に向かってるなぁ…って、あれ城じゃん!
…サリナさんの職場は城の中でした。サリナさん顔パスですよ!私達も殆ど点検無しだし、いいのかなぁ?
城の一区画に魔術・魔具研究している場所があって、宮廷魔術師の研究部門が日々研究しているらしい。サリナさんは研究部門の責任者だってさ。
国の最先端の技術が見れるわけだよね、面白そうだけど私に何か期待とかされてそうだなぁ。
「さあ、ついたわ。先ずは魔術研究している所ね。」
だだっ広い部屋の所々で、魔法が入り乱れている。もっと本とか読みながら研究しているのを想像していたけど、かなりアクティブだ。
「シェラハちゃんは水属性だったわよね、あの辺りに集まってるから紹介するわね」
それからは、宮廷魔術師の方と水属性談義をした。霧の結界に氷霧、水圧水流操作を私はやってみせたけど、びっくりしたのはそれらに対して彼らがびっくりしていた事だ。初めは私が子供だから驚いているのかと思っていたけど、普通に魔法に関して驚いていた。
先ずは霧の結界だと、霧に感覚を移すという事に驚いていた。氷霧はその有効性に、これ使うとかなり優位に立てるからね、魔力消費大きいけど。でも誰にでも思いつく魔法だと思うんだけどな。
後は水圧に関して、なんというか圧力という概念が無かったというか、海の深い所だと苦しくなるのは知ってるけど、それに水流操作で対応していたというか。そんな感じで、びっくりされた。
私は代わりに、癒魔法を見せてもらった。今迄水属性と癒魔法の繋がりがあんまりピンと来なかったんだけど、止血位しか思いつかなかったんだよね。
水に包まれ、回復していく魔術を見せられ、私の中で繋がった。ああ、温泉みたいと。
温泉って疲労回復したり、骨折とかに良かったりするよね。怪我が治るかはわからないけど。
薬効温泉とかイメージすればいいかな。
そう考えると氷、霧は水の形の変化で、癒は水の質の変化って感じか。
毒魔法とか無いのかな?それとも薬も毒も使い方次第で同じ物ってよくいうし、癒魔法で毒も作れるのかな?
ちょっと疑問に思って聞いてみたら、はっとして試してみると走っていった。回復魔術研究する時ポーション飲んで研究したらしいけど、どうするんだろう?毒薬飲むのかな?
ちょっと怖くなったので、そこで切り上げて魔具研究の方に向かった。
魔具の方は、魔法陣やインク等色々勉強になった。これで素材さえ集めれば私の武器が完成するかもしれない。
こっちでは適当に現代機器の事を、こういうのあったらいいですねみたいな感じで話した。出来るかどうかは知らないが、目を輝かせていた人が何人か居たので、もっと便利になるかも知れない。
「シェラハちゃんのおかげで楽しかったわ、呼んでよかった」
「私も凄く勉強になりました、ありがとうございます」
「それで最後に模擬戦やってみない?」
「模擬戦ですか?」
「そう、魔術騎士の一人と」
「いえ、いくらなんでも無理ですよ」
「大丈夫よ、学生を卒業したばかりのまだなったばかりの子だから」
「はあ、それなら…」
「よし!じゃあ行きましょう!」
と、何故か模擬戦する事になり、今魔術騎士と相対している。相手は二十歳いかない位の偉そうな男だ。何で子供の相手をしなきゃいけないんだという思いが全身から出ている。
それを見て初めはそんなに真剣にやるつもり無かったけど、本気でやろうと思っている。別に態度にむかついたとかじゃない、実際格闘技とかで、大人が小学一年生と闘ってくれとか上の人に言われたらと思うと仕方無い部分もあるだろうし。ただ私はこういう人が子供に負けちゃった時にどういう感じになるか見てみたいだけだ。まあ勝てるかどうかわからないが。
開始と同時に無詠唱で相手から火の玉が五発打ち出される。威力はそれ程でもないが速さは充分で、これで終わらせようという思いが凄くわかる。
大人気ないなぁ、そこは不満でも子供側からの攻撃を待とうよ。
私はわざと自分の身体付近でそれを迎撃する。発生する水蒸気を操り、身を隠すと魔闘気を込めて一気に近付くと、油断していた相手に真正面から大斧を振り下ろす。相手は驚きつつもそれを防ぐが、私は大斧での攻撃と共に氷の槍を相手の左右と後ろから発生させており、その氷槍は相手の身体に当たる少し手前で止まる。
「そこまで!」
審判役の騎士さんが終了を告げた所で、氷槍を消す。
「凄いわぁシェラハちゃん!」
「流石ねシェラハ」
「ありがとう」
私達三人が盛り上がっている所をよそに、魔術騎士さんが呆然として落ち込んでいた。審判役だった騎士さんが励ましているのか傍であれこれ話している。秒殺で終わらせちゃったのは悪かったかなとちょっと思ったけど、まあ自業自得って事で。
さて帰ろうと私達が歩き出した所で、落ち込んでいた魔術騎士さんが顔を上げ、こっちに走ってくる。
「もう一度!もう一度やらせてくれ!」
「…良いですよ」
一度サリナさんに目をやると頷かれたので、もう一度やる事にする。さっきは火の玉の魔法しか見れなかったのでもっと色んな魔法が見たかったというのが大きい。
二度目の模擬戦も私の勝ちで終わる。今度は魔法戦を繰り広げた、相手の方が一発の威力は高い、魔力量も多い、けど魔法が正直過ぎる。ただでさえ私は霧の結界で死角が無いのに、発生場所やスピード等に変化が無いので防ぐのも簡単で、氷霧みたいに防ぎ辛い魔術もない。
魔術騎士さんは今度も落ち込んでいたが、負けを認めたので私達は帰る事にした。
「今日はありがとうシェラハちゃん。それでもし良かったら将来うちの職場に来ない?」
「…まだ、なんとも」
「そうね、まだ先の事だものね。いいわ、でも考えといてね」
「はい」
その後はフィアナと王都観光したり、魔法戦したり、たまに街の外に出て魔物狩ったりして休みを過ごす。途中何度か城に行って、新魔術や新魔具を見せてもらえたのは楽しかった。でもその度に再戦を申し込まれるのは何なのだろう?暇なのかな?




