sub mission3 お茶の準備をしておやつも作ろう!
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sub mission3 お茶の準備をしておやつも作ろう!
………
ニーナは思いっきり発熱した。
防衛戦の後処理に追われる銀狼城砦の中、ノワーレとクラウナーは「ニーナが起きた時にそばにいてくれないと困る」と丸め込まれ、二人してニーナが眠る部屋に詰めている。
防衛戦のあと、ニーナは高熱で昏睡した。数日後に目覚め、それからは寝たり起きたりしていたが、調子はその時々で異なる。調子の良い時は防衛戦のことを心配しているが、調子が悪いと黙ったまま何時間でも天井を見上げたまま微動だにしない。声をかけても無反応で、大抵そのまま眠ってしまう。
調子が良い時でもいつも通り、とは到底言い難く、ノワーレたち以外には解読できない発言をして皆を困らせるので、皆がノワーレとクラウナーに世話を全部押し付けた、と言う方が正しかった。救世主の発言はよくわからんが、とにかく懐いている人間を置いておけば良かろう、みんな死ぬほど忙しいし、ということらしい。
起きている間のニーナの発言は以下だ。
曰く
「そもそも私たち全員のレベルが今回の防衛戦には足りてなかった。女神も自覚はしてたけど、それより救済を進める方を選んだみたい」
「女神はこの世界を憂いているし、愛している。けれど、それと救う力があるかは別」
「隣界の神……普通は会えない。向こうの救世主は私より世界を知っていて、手を貸してくれた」
「私はもっと世界を知らなくちゃいけない……女神も攻略の遅さは自覚してるし、事実、アクティブユーザー平均よりはすごく遅い。そもそも女神は参加がかなり遅かったからリアルタイム攻略勢じゃない……そこはわかってあげたい」
クラウナーは少しだけわかりそうな顔をしていたが、ノワーレには本当にさっぱりだ。だんだん腹が立ってきて、ノワーレは「いいからお茶飲みな」と話を遮り茶を飲ませることにした。ニーナは素直に飲む。相変わらず小動物じみた動きで。
クラウナーは「うーん……熱のせいで忘れてる記憶がごちゃごちゃになってるのかな……」とか言いながらニーナの話を聞いている。ノワーレは、そんなん知るか、と思ったが、とにかくニーナの熱が下がらないことにはどうしようもない。
ニーナが茶碗を空にしたので、追加を注いでやろうとポットを手に取ると、こちらも空だった。ノワーレは「新しいの貰ってくる」と立ち上がり、後をクラウナーに任せることにする。クラウナーが「隣界ってなに?」のニーナに聞く声がする。
空のポットを持って台所へ行くと、すぐに新しいポットと交換してくれた。ついでに「ノワーレ様、実は暇でしょ?」と言われ、「これ、細かくしておいて」と茶塊を大量に放り込んだ袋を渡された。道具ももちろん渡される。
「寝込んでる人が多くてさ。みんなお茶しか飲めなくて、ほぐしてもほぐしてもなくなっちゃうのよ。これ全部やってくれると助かるんだけど」
「いいよ、やっておく。終わったら持ってくるよ」
――お茶ほぐしの依頼を受領しました。
――お茶ほぐしゲームを開始します。
――参加キャラクターを3名選択してください。
ノワーレはポットと茶袋を抱えてニーナの部屋に戻ると、卓を引き寄せ、盆の上に茶ほぐし用の道具を揃えた。団茶、茶刀、乳鉢、デカくて硬い塊茶に当たった時用の茶玄能。
クラウナーが興味津々で眺めに来て、ベッドに起き上がっていたニーナの目も少し動いた。クラウナーがノワーレの手元を眺めながら、手を出したそうにうずうずとする。
「それ、お茶の塊?」
「そう。これは茶脈から掘り出されたままの茶塊。このままだと煮出せないから……って、お茶ほぐすの、初めて?」
「やったことない」
「やってごらん。はい、茶刀」
ノワーレはクラウナーに茶刀を渡すと、じっとこちらを見ているニーナにも声をかけた。
「やってみる?」
「……やる」
ノワーレはベッドに起き上がったニーナの膝の上に、茶ほぐし用の受箱と団茶を置いた。ニーナの前にかがみ込み、「ほら、こう」と示してやる。
「三人でやるなら分担できるね。私が茶塊を砕くから、クラウナーが削って、ニーナがほぐして。優しくだよ」
――「ノワーレ」「クラウナー」「ニーナ」で参加します。
――タイミングよくボタンを押し、お茶をほぐしましょう。
――上手くほぐせた数によって報酬が計算されます。
――ready start!
ノワーレは煉瓦大の硬い茶の塊を玄能で打った。剥がれた塊を隣のクラウナーに渡し、クラウナーがおっかなびっくり茶刀を差し込むのを見守る。
「そう、ゆっくり……ほら、取れた」
――good! 8point get!
「じゃ、ニーナはこれを指でほぐして」
ニーナは寝ぼけた顔のまま、こちらもおっかなびっくり茶片に指を入れ、そっと塊をほぐしていく。
「そう、それで煮出せるようになったね」
――excellent! 10point get!
「じゃ、どんどんやるよ」
ノワーレが茶塊を砕き、クラウナーが更に剥がし、ニーナが黙々と指でほぐした。お茶の塊はどんどん細かくなり、部屋の中に茶粉の良い香りが満ちてゆく。
「……いい匂い」
ニーナがぼんやりと言い、必死に茶を剥がしていたクラウナーが顔を上げ、嬉しそうに笑んだ。
――お茶ほぐしを終了します。
――最高品質7個 良品質5個 失敗3個
――報酬を獲得しました。
――「ノワーレ」の緊張が20低下しました。
――「ニーナ」の人間性が20回復しました。
――「クラウナー」の人間性が20回復しました。
――「銀狼城砦」の関係性値が5上昇しました。
「じゃ、台所に渡してくるね」
ノワーレは皆でほぐし終わった粉茶を手早くまとめると、ニーナとクラウナーの頭をひと撫でして部屋を出て行った。
台所に成果物を渡すと、今度はパイ皮と木の実餡が山盛りになった器を渡された。
「まだ暇でしょ? これ全部包んでおいて。働いてる子達のおやつにするから」
「揚げ終わったら私たちにもくれる?」
「もちろん!」
ということで、今度は菓子包みだ。
ノワーレが材料を抱えて部屋に戻ると、やはりクラウナーは「やったことない」と興味津々の顔をするし、ニーナも「やる」と言うので、三人でやることになった。
――お菓子包みの依頼を受領しました。
――「ノワーレ」「クラウナー」「ニーナ」で参加します。
――タイミングよくボタンを押し、お菓子の下拵えを終えましょう。
――上手く包めた数によって報酬が計算されます。
――ready start!
パイ生地を手のひらに置き、餡を乗せ、三角に包む。
ノワーレが重なったパイ生地を剥がして1枚取り、クラウナーが餡を乗せ、ニーナがちまちま包んだ。
「あ、破れた」
「元々薄かったんだよ。指でちょっと寄せたらいい」
――miss!
「餡、乗せすぎたかも」
「いけるいける。餡が多いのは当たりだろ」
――good! 8point get!
「これ、上手くできた!」
「うん、上手だね」
――excellent! 10point get!
――お菓子包みを終了します。
――最高品質21個 良品質7個 失敗2個
――報酬を獲得しました。
――「ノワーレ」の緊張が30低下しました。
――「ニーナ」の人間性が30回復しました。
――「クラウナー」の人間性が30回復しました。
――「銀狼城砦」の関係性値が10上昇しました。
――「木の実包みパイ」を10個獲得しました。
ノワーレは包み終わった菓子を台所に持ち込み、揚げたてを数個貰ってニーナの部屋へ戻った。お茶を淹れ、「熱いよ」と言いながらそれぞれに菓子を配る。
「ほら、揚げたてだから早く食べな」
ニーナはぼんやり包み揚げを眺めていたが、ノワーレが促すと、やはり小動物のように肩をすくめ、おそるおそるかぶりついた。咀嚼した途端、濁っていた目に光が戻る。
「おいしい!……あっつい!」
「だから言ったろ、お茶飲みな」
「あっつい! あつあつあつ……ぶえ、咽せる」
「ほら、慌てない。まだあるから」
ノワーレが背中を叩いてやると、ニーナはげほげほやりながら、それでもお茶を飲んで二口目を頬張った。クラウナーが笑いながら見ている。
「ニーナ、食べられるようになったね」
クラウナーが言うとニーナは首を傾げたが、見開いた目に唐突に涙が溢れた。
「えっ、なに、なんで泣くの」
ノワーレは驚いて、その辺から手拭いをとって溢れた涙を拭ってやる。
「だって……怖かった……みんな死んじゃうかと思った……」
「……防衛戦のこと?」
「うん……生きててよかった……殺されなかった」
そのままニーナが子供のように泣き出したので、ノワーレとクラウナーは慌てふためいた。それでも食意地の張ったニーナはお菓子を食べるのをやめないので、なんだかどうでも良くなって来て、顔を見合わせ呆れて笑った。
笑いながら、ノワーレとクラウナーはこっそり目配せをする。
いつものニーナだ。
ニーナが、戻って来た。
――「木の実包みパイ」を3個消費しました。
――「ノワーレ」の緊張が50低下しました。
――「クラウナー」の人間性が50回復しました。
――「ニーナ」の人間性が50回復しました。
…………
銀狼城砦 ミニゲームを終了します。
他のミニゲームで遊びたい時は、銀狼城砦の使用人に声をかけてみましょう。




