幕間
「ガチャを……引くべきですか」
「いや、好きにしろよ」
新名あかりはスマートフォンを握りしめたまま、机の上に突っ伏した。隣の席の二ノ宮は、だるそうに新名を眺めている。
「ノワーレ起きたぁ……なんだよ戦闘ないとか言って、ほぼノベルゲーとか言うて、実質音ゲーじゃんここ!」
「おまえ、音ゲーだけは得意だろ」
「得意だけどお……涙で譜面が見えねえよ……サブミッションいれたらずっと音ゲーのターン! じゃんかぁ」
「フルコンボいけたろ?」
「いけたよぉ! BPM遅くて大変だったよお!」
「ここ音ゲークリアできないと次のストーリー読めない鬼畜仕様だからな」
「うわー音ゲー得意で助かった。え、てかさ、イライヤが言ってた十年前のやつって、もしかしてチュートリアル?」
「気づくのおっそ。チュートリアルの、負傷者を海から引き上げろ、のところだろ、どう考えても」
「じゃあ、騎士と歌唱者と協力して災厄獣を撃破せよ、は?」
「ジャッドとキリエリ」
「やっぱそうかぁー! うっわ私助けてたじゃんイライヤ! ムービーで走り回ってたの若ローランか!」
「そうそう。ちなみにあのチュートリアル、ノーミスなら勝てるぞ」
「マジで?! えっ勝ったの?!」
「サブ垢で鬼周回して四〇〇回目くらいで勝った」
「ストーリー変わる?」
「ネタバレなので言いませーん」
「うわーうるせー! やり込み勢め! いいもん私はガチャ引くもん」
「それなら主人公とカジャカ用の強化しろって。お前ノワーレ以外の近接キャラ下手くそだろ。強化アイテムガチャの方がいいって」
「うわーんうるせー!」
スマートフォンの画面では、ローランと眠るカジャカのスチルが大写しになっている。




