第九十八話 すれ違い、想い
毎日12時に投稿してます。
外伝である。『菊理姫様!お導きを』〜英雄の誕生〜もよろしくお願いします。
そちらは、毎日18時投稿します。
不揃いな石畳の上を蹴り上げて進む。
「ヒロに相談しとったんだが聞いとらん?」大輔が話す。
「…すみません。私は、何も…。」
「そうか…。櫻ちゃんには心配かけとうなかったんやな…。それに俺らは、忌守や。華族の令嬢に相談できやんかったんやろ…。」
胸が締め付けられる。
「華族とか!忌守とか!関係ないです!」語気が強くなってしまう。
「私は!私だし!ヒロはヒロです!」
怒鳴る相手が違う。
わかっているが止まらない。
「私は!ヒロが大切です!それだけです!」
大輔が私の顔を見る。
「すまんかった…。櫻ちゃんとヒロに野暮な話やな…。実は、村長が、外国から労働者を連れてきてな…。格安でそいつらを使うようになったんや…。」
「この鎖国状態の今の大和でですか?」
「せや。初めは、簡単な手伝いからそれでそいつら…。忌守の技術まで習得し始めて…。」
「神器の手入れも…ですか?」
「あぁ、俺は止めたんや。神器は、ここの神さんの奇跡や。よそ者に簡単にポンポン話してえぇ事やない。それでも安く雇えるからって…。その他にも魔道具の作り方まで…。」
これは、急がないといけない。
「大輔さん!すみません!国に救援信号を出します!」
そう言うと私は、腰に収めていた神器のハサミを天に突き立て救援信号を放った。
私が、放った魔力は小さな白龍となり大空を駆けた。
なぎさ達が驚く。
あの研究所の資料を読んでない者は事の重大さがわからないであろう。
「これで、徳田さんが騎士団を連れてきてくれる。大輔さん!その話が本当なら事変に関わっていた者がいるかもしれません。」
私は、そう言うと走り出す。
「櫻子さん!それは、ホンマなんですか?」なぎさが驚く。
「…多分。あいつらは、神の禊を危険視していた。そして、神器の研究も…。」事変の後にアイツらの研究所から出てきた資料を思い出す。
「ヒロは気が付いていた…。」そんな言葉が漏れる。
「なんで!なんで!私に言わんかったんや!」酷く腹立たしい。
視界が歪む。
「ずっと二人でやって来たやん!なんでなん!なんで!」
目の前にヒロがいたら氷嵐をぶっ放しているだろう。
それぐらい、腹が立つ。
「…櫻ちゃん。」大輔の言葉が聞こえた。
「私が、あかんなら…。豊富さんとか三条さんとか…。」
さらに視界が歪む。
自分の口から嗚咽が漏れる。
「一人で行くことないやん!」
「ヒロのバカぁぁぁ!」私の声が森にこだます。
かさかさと風が葉を揺らす。
「急ぎましょう。櫻子さん。そして、大夢さんと帰るんです。」私の隣でなぎさが静かに話す。
私は、駆けた。
忌守の集落が見えてきた。
集落には、明らかに異変が漂っていた。
民家の扉が開け放され、工房には火が入っていない。
誰もいない。
ご神犬がくんくんと辺りの匂いを嗅いでいる。
「…大輔さん。これは…。」
大輔自身も呆然としている。
「ワン!」ご神犬が吠えた。
近づくと道に血痕がベッタリとついていた。
まだ乾き切っていない。
その血痕は、一軒の工房へと続いていた。
こぼれ話
真剣な顔でモモンガカーを飛ばす輝夜。
祈るかよ。
??「騎士様やろ!助けてくれ!」
顔を上げるかよ。
??「大夢が!大夢が危ないんや!」
訝しがる輝夜。
そして、その目に白龍を捉える。
輝夜「これは、もう流暢にしていられません!かよちゃん空間移動魔法を使うよ。」
そう言って二人は消えてしまった。




