第九十三話 教官モード発令!
毎日12時に投稿してます。
外伝である。『菊理姫様!お導きを』〜英雄の誕生〜もよろしくお願いします。
そちらは、毎日18時投稿します。
※筆が乗っている時は18時にも時々更新します。
さらさらと風が流れる。
風から感じる魔素が濃い。
聖霊があちこちにいるようだ。
ここなら走った方が早いかもしれないな。
「走るぞ。ご神犬もよろしいでしょうか?」
前を歩くご神犬に許可をもらう。
「わん!」と吠える。
私とご神犬が土を蹴る。
ご神犬は、地を駆け抜けるように
私は、風から感じる魔素を少し借り、木々の幹を蹴って進む。
三人娘は戸惑った様子だったが、それぞれ魔素を体内に取り入れながら上手く移動している。
最初にへばったのは、かよだ。
「あかん。ウチ…。」水を飲みながら息が絶え絶えだ。
すると、ご神犬が大きくなり、かよを乗せてくれた。
まだ、30分しか経ってない…。
私は、情けなくて顳顬を押さえて首を振る。
30分後ーーーかよ脱落!
次にへばったのは、なぎさだ。
「殿下…。申し訳ありません…。」
また、ご神犬が大きくなり、なぎさを乗せてくれた。
私は、顔を覆った。
ご神犬に申し訳ない。
半日しか経っていないのにもうへばったのか…。
3時間後ーーーなぎさ脱落!
そして、私は予定よりだいぶ遅れて野営をしている。
最後について来たのは、輝夜一人だが。
その輝夜も夕方にフラフラと倒れてしまった。
夕方ーーー輝夜脱落!
本来なら熊野の大社付近の忌守集落にたどり着いてもよかったのに…。
座標を確認すると、紀州巡礼道をやっと半分ほど進んだところだった。
今は、私が張ったテントの中で携帯食をお通夜のようにもそもそと食べている三人娘を見ている。
このテントは、ヒロが作った優れ物でどんな環境下でも設営が簡単で中は広々している。
空調も心地よく、登録したら人数分のベットもついてくる。
もちろん、バス・トイレは別々になっており、独立洗面台もある。
私は、ハイボールのプルタブをプシュ!!と開ける。
三人がギョッとしている。
その様子を見て頭を抱える。
「あのねぇ。今日は、全然、魔力も体力も使わず来れたはずですが?途中に魔物がいるわけでも魔素が薄いところでもない。」ハイボールを半分ほど空にした。
「私も魔力は消耗している。しかし、私とヒロが若い頃にこなしていた任務に比べたら今日の移動とは、楽しいピクニックに来たようなものだなぁ?」私が、ハイボールを一本飲み干すとバン!とテーブルに置く。
三人がビクッとする。
「かよ。君は、これから伸び代がある。しかし、今のままの修行じゃあかん!それに!現代に来て何キロ太った!?」
「ヒンっ!」かよが涙目になった。
おもむろに夕ご飯を食べていた、なぎさと輝夜が慌てて立ち上がる。
私は、そんな二人をチラリと見る。
二人が冷や汗を流している。
「なぎさ。普段は、内勤だし、仕方ない部分もある。しかし、この程度の移動魔法は一日中出来て当たり前だと思っていた。君の評価を私は買い被りしすぎていた。すまない。」
「すっすみまません!」なぎさの声が上ずる。耳は、ペタンと垂れているが、たぬきのしっぽがぶるっと逆立つ。
「輝夜には、がっかりした。国の中枢である騎士団のしかも“オロチ”のメンバーがこのように脆弱とはな!再び事変の様な有事が起きた時にどの様に対処すべきか答えてみよ。」私は輝夜を見る。
輝夜は、口をパクパクと動かしているが言葉が出ない。
「徳田さんにこの事を報告した方がいいだろうか?“オロチのメンバーは一日中移動魔法を使うとへばる様になったのか?”…と?」輝夜を見る。
冷や汗が凄い。
私はため息をつく。
二人に座るように伝える。
クタクタとなったなぎさと輝夜が座る。
すると、ご神犬が外を見て「ワン!」と鳴き。
尻尾を振って入口を開けようとする。
私が、外を開けると田吾作さんが立っていた。
「櫻子さん達?なんでこんな所で?」田吾作さんが驚いている。
「ここで、野営をしています…。」自分で言っていて恥ずかしかった。
「それなら、ワシの小屋の前にしたらええです。ここから三時間ほどなので…。」
その言葉に私が顔を覆う。
こぼれ話
話を聞いた田吾作さんが翌日モモンガ型の乗り込み式の魔道具を持って来てくれた。
しかし、問題は二人乗り。
そして運転できる者には条件がある。
風属性が中級レベルないといけない。
条件を満たしているのは、櫻子と輝夜。
櫻子に隠れて三人娘が会議をした。
輝夜は小さくガッツポーズをしている。
かよとなぎさの負けられないジャンケンが繰り広げられる。
勝者!かよ!
かよが、ガッツポーズで喜んでいると…。
櫻子「楽しそうやな。勝った方はどうなるん?」
かよの顔から血の気が引いた。




